2022年 6月22日

新曲「ロマンティストでいいじゃない」田原俊彦はいつだってエンターテイナー!

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いつだって全力投球! 田原俊彦のダンディズム


田原俊彦は、稀有な人だ。自分がスターであることを全肯定し、そう呼ばれるに相応しい行動をつねに心掛け、自らを律して生きている。アイドルとしてデビューしてから40年以上、ずっと。

一時代を築いたスターなのだから、別にそんな疲れることをする必要はないのだ。ある程度の年齢になれば、しんどいステージは極力減らし、名前だけでできるもっと楽な仕事をこなしていけばいい。

たまに行うライブは、黙ってついてきてくれる “太客” のファンを相手に、往年のヒット曲を楽なキーで歌い、キツい踊りは若いダンサーたちに任せ、メイン部分だけ踊ってお茶を濁す…… そんなズルはいくらでもできる。

だが田原は、絶対にそんな手抜きはしない。エンターテイナーとしてつねに第一線にいて、ほぼ毎年新曲をリリースし、ツアーを行う。 その現役感こそ「田原俊彦であること」の条件なのだ。

還暦を過ぎても、脚が高く上がることなど当たり前。ライブでは往時と同じキー、同じ振り付けで歌い “全力投球” でファンをきっちり満足させて帰す。それが、トシちゃん流ダンディズムなのだ。

待望の新曲「ロマンティストでいいじゃない」




そんな田原が6月22日にリリースした通算78枚目の新曲が「ロマンティストでいいじゃない」。もうタイトルからして全肯定だ。サウンドはわかりやすく豪華絢爛、田原が憧憬するブロードウェイの世界。"いかにも" なのだが、その「"いかにも" をやっている田原俊彦」を田原自身が楽しんでいる、というメタな構造が面白い。

これは1月に出した還暦記念写真集『DOCUMENTARY』(講談社)にも言えることで、赤ふんどし一丁の “還暦ヌード” は大きな話題を呼んだ。あれを見て「おー、トシちゃん、やっとるなー!」とつい嬉しくなってしまったが、いちばん喜んでいたのは、他ならぬ田原自身だと思う。

あんなことができるのは、不断の努力で引き締まった肉体を維持しているからこそだが、その身体を普通にカッコよく撮っても、それはただの若さ自慢にしかならない。

「赤ふんどし」という、下手をするとお笑いになりかねないアイテムをあえて身にまとい、ギリギリの線で勝負する。これこそ、エンターテイナー・田原俊彦に課せられた使命だ。どうよ?…… そう顔に書いてある。もう拍手喝采しかない。

オトナの余裕を醸し出す松井五郎の詞


話を新曲に戻そう。作詞は松井五郎。「いかにも」な枠の中で、オトナの余裕を醸し出すには最適の人選だ。冒頭、

 One more time
 月のシャワー浴びて
 今夜どんな夢を見ようか

… という超甘フレーズを還暦過ぎてもサラッと歌えるのは田原しかいない。

そのあとも、直接田原の歌で聴いてほしいのであえて書かないが、歯の浮くようなフレーズが満載。そんな中、一瞬ハッとしてグッとくるのが、2番のこの歌詞だ。

 Doorがあるのは向こうに
 知らないことがある証拠
 ずっと二人 言い訳はしない
 いつだってロマンティストでいい

ぶっちゃけこの歌詞、ちょっとエロくないっすか? 直接的な言葉は一切入ってないのに、田原が歌うと「Doorの向こうで、知らないことを体験してみない?」という “お誘い” にも聴こえてドキッとする。

そう聴こえるのは、本人も公言しているように、今もプライベートで(妻帯者なので、あくまで許される範囲で)若い女性とのデートを楽しんでいる “現役選手” だからだ。

そんなこんな、遊び心が随所に感じられる「ロマンティストでいいじゃない」。作曲は前作シングルのカップリング曲「夢幻LOVE」を手掛けた青葉紘季・大山聖福コンビに依頼。

青葉はAKBグループや坂道グループにも曲を提供している作曲家で、編曲は安定の船山基紀に任す一方で、しっかり新しい血も入れている。このへん、ただの「ベタな曲」にはしないぞ、という心意気が見て取れる。

ミュージックビデオに垣間見るトシちゃんらしさ


本曲のミュージックビデオについても触れておこう。ヨーロッパの城を思わせる館の中を、ボルサリーノハット+ワイドパンツ姿の田原が駆け回り、タップダンスなど小粋なパフォーマンスを見せてくれる。しかも1カメ、編集点ナシの長回しだ。

なんでも、10回以上リハを繰り返して撮影したそうで、この過剰なサービス精神こそ田原の真骨頂。そして彼は、ついそんなことをしてしまう「お茶目な自分」が大好きなのだ。この気概がある限り、彼がステージを降りることはない。「ずっとエンターテイナーでいいじゃない」…… この曲、私にはそう聴こえた。

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2022.06.22
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カタリベ
1967年生まれ
チャッピー加藤
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