2021年 11月10日

走り続ける田原俊彦!一生に一度の還暦ライブレポート、60歳でも一等賞!

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田原俊彦のライブ「60th Birth Anniversary TOSHIHIKO TAHARA Double T Wonderland 2021」が東京国際フォーラムで開催された日
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photo:西村彩子  

ドレスコードは赤! 会場はお祝いムード一色


田原俊彦、1961年2月28日生まれ、今年で御年60歳。デビュー42年目。もはやベテランの域を超えて重鎮である。だが、そうした貫禄を微塵も感じさせない現役感バリバリの軽やかなフットワークがトシちゃんの一番の魅力であり、稀代のエンターテイナーと称される所以かもしれない。

などと考えながら、トシちゃんの還暦記念ライブ「60th Birth Anniversary TOSHIHIKO TAHARA Double T Wonderland 2021」を観るために東京国際フォーラムに急ぐ。開演時間にはまだ早い。けれど心がはやってしょうがない。到着する頃には日はとっぷりと暮れていた。

本当だったら4月25日開催だったはずがコロナ禍で延期になったことからの振替公演。彼の長い経歴の中でもたった一回の特別な還暦ライブだ。延期の悔しさから「100倍返しするぞ!」と公言していたというトシちゃんだが、ファンは皆、その言葉に励まされて11月10日を迎えたのだろう。絶対にこのライブを成功させようという気持ちが、会場に集った大勢のファン達から伝わってきた。

還暦のお祝いのため、ドレスコードは赤だ。どのファンもファッションに赤を取り入れている。背中に薔薇を描いたお揃いの赤いパーカーで決めているグループもいれば、往年のコスプレを楽しんでいるファンもいる。年齢層は様々で、金八先生からの筋金入りファン、びんびん世代のファン、YouTube世代の若いダンスファンなど、トシちゃんの人気の多様さを感じさせた。会場に入ると緞帳も真っ赤。会場内は赤で埋め尽くされてお祝いムード一色! 否が応でも期待が高まる。

たゆまぬ努力の賜物、田原俊彦は日本を代表するミスター・エンターテイナー


客電が落ち、ステージの両端に設置されたスクリーンにオープニング映像が流れ始めた。真っ赤なポルシェでレインボーブリッジを飛ばすトシちゃんが会場に到着する。遂に幕が上がった! ディープレッドにギラつく衣装に身を包んだ田原俊彦の登場だ。会場内には赤のペンライトが所狭しと揺れている。

そして一曲目「月のイヤリング」が始まる。還暦祝に相応しい誕生日をテーマにしたナンバーで自分におめでとうと歌い上げるトシちゃん! 圧巻! 続く「騎士道」はエキゾチックで艶めかしく、「グッドラックLOVE」になだれ込んでいく。すでに私のハートは掴まれまくっている。大拍手である。

ファンに本公演を待たせてしまった無念さ、来れなかったファンへの想いなどを語ったトークを挟み、「チャールストンにはまだ早い」が始まる。ここからは、11年もの間共に活動している田原組のダンサーたちが登場。ステージをさらに華やかに盛り上げる。トシちゃんの脚ったら上がる上がる! 普通に歩いてもムーンウォーク状態! など、マイケル・ジャクソン直系と謳われるダンスを夢中で堪能した。

トシちゃんは休まない。どんなに苦しそうでもほぼ原曲のまま歌う。ほぼオリジナルの振り付けで踊る。毎年新曲をリリースしてツアーを敢行する。継続は力なりと言われるが、それだけではない。たゆまぬ努力の賜物である。

すごいすごすぎる! こんな60歳他にいない。まさに日本を代表するミスター・エンターテイナーだ。

「キミに決定!」ではスケボーを転がしながら歌ってみせる。続く「ハッとしてGood!」でスクリーン越しにシルエットでの生着替えをやり出したと思ったらなんと学ラン姿に。そして歌うは「青春ひとりじめ」である。これはやっぱり自身が出演した学園ドラマ『ただいま放課後!』(フジテレビ系)に寄せてきたのだろう。主題歌だったもんね。やるなあトシちゃん!

その後お色直しを経て、「ジャングルJungle」では会場のペンライトが一斉にグリーンに変わった。背中がゾワッとした。ファンは誰もが声を出せない分、心から拍手を送り、精一杯の応援をしているのだ。感激で胸がいっぱいになる。



カメラ:西村彩子

五木ひろしと三浦知良も来場、還暦祝いのコメントメッセージがたくさん!


その後はステージであまり演奏しないというスペシャルレアナンバーのメドレー。1982年にリリースされた4枚目のアルバム『夏一番』から「刺激的サンバ」、1984年のアルバム『ジュリエットからの手紙』から筒美京平作曲の「ペンギンらんどのお嬢さんへ」と「海辺にて」をしっとりと披露した。

幕間中は、各界から還暦祝いのコメントメッセージが流れる。研ナオコ、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、爆笑問題、黒柳徹子、そして大先輩の五木ひろしと盟友の三浦知良。五木ひろしとカズは実際に観覧席に駆けつけていたようでトシちゃんが華々しく紹介していた。黒柳さんは「あらー、あの時は18歳だったのにもうそんなにおなりに」と仰っていてちょっと笑ってしまった。

シルバーのスーツに着替えたトシちゃんがステージに再登場し、後半一気にクライマックスへ。人生について思いの丈を歌い上げる59作目のシングル「Cordially」からの「哀愁でいと」、「悲しみ2ヤング」、「抱きしめてTonight」3連発は私もマスクの中で小声で歌ってしまった! ブラボー! そしてライブではおなじみの「Dynamite Survival」へ。この曲はグロリア・ゲイナーのカバーだが、天下を取るまで戦い抜く、と、まるで田原俊彦の生き様を綴っているような日本語詞が痛烈に胸を突く。かつてのトシちゃんの浮き沈みを見てきた往年のファンにはきっとグッとくる歌なのだろう。

第一幕の終了は「HA-HA-HAPPY」。「僕は死んだことがないからわからないけど、誰もが死ぬんだし、死んだらまた向こうで皆に会えるよね」とポジティブに観客を笑わせてからのスタート。「あの世でもよろしく」という歌詞がトシちゃんらしい74枚目の最新シングルをニコニコと歌い上げた。

2時間もの間、躍りっぱなし歌いっぱなし! アンコールだって全力投球!


アンコールは何とセグウェイに乗って踊った運動神経良すぎの「ラブ・シュプール」と、これまたおなじみの盛り上げ曲「センチメンタル・ハイウェイ」。銀色夏生×大澤誉志幸コンビの疾走感に満ちたナンバーでライブを締め括った。2時間もの間躍りっぱなし歌いっぱなしの全28曲(メドレー含む)、全力投球のショーだった。

最後のMCで「人生100年時代。60歳なんてまだまだこれからだと思います」と、70代への意気込みを笑いを交えて語ったトシちゃん。
時に観客席をからかい、何度も何度も「ファンの皆のマスクなしの顔が見たい。声が聞きたい」と繰り返したトシちゃん。
彼にとって還暦ライブなんて通過点でしかありはしない。彼はこれからも何度でも茨の道を切り拓き、何度でも新たなレコードを更新していくのだろう。
70歳に向かえ! 向かうのだトシちゃん!

一つ心残りがある――
それはペンライトを購入しなかったことだ。私もあの場で皆と一緒に腕がちぎれるほど降りたかった。
そんなライブ初見の自分をも虜にする強烈な生の魅力とオーラが田原俊彦からはふんぷんと発せられていたのだ。

全てが終わった会場には幸福と陶酔、パワーと希望がみなぎっていた。
トシちゃんがいてくれて、トシちゃんを見続けてきて本当に良かった。
そんな想いがあちこちで情熱の真っ赤な薔薇のように咲き誇る一夜だった。

特集 田原俊彦 No.1の軌跡

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2021.11.20
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カタリベ
1968年生まれ
親王塚 リカ
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