チバテレ伝説の番組「ハロー・ジャガー」
チバテレ伝説の番組『ハロー・ジャガー』は、私がよくみていた87~88年当時は、月曜の7時5分前、つまり18:55からのオンエアであった。視聴のきっかけは、ハードロック好きだった私が何気なく回したUHFの46チャンネルに、あの金髪・鋲打ち衣装の怪人物が映っていたこと。意外にも容姿とは裏腹の弱々しい声で、王道のメタルサウンドとはほど遠い。友人からの噂では、千葉県のクリーニングチェーン店の社長だという。大金持ちなので自分で番組の枠を買っているという伝説も、その頃から囁かれていた。
正直に告白すると、私が本当に見たかったのは、『ハロー・ジャガー』ではなく、その番組に続いて7時から放送される『テレジオ7』だった。『テレジオ』は珍しい洋楽クリップを1時間にわたって流す番組で、ジャガーを初めて目撃したその日も、大好きだったマイケル・シェンカーの新しいMVをチェックするためだった。MTVが番組販売スタイルで深夜に放送されたり、『ベストヒットUSA』もやってはいたが、いかんせん地上波キー局ゆえ、選曲されるのはシングルチャート上位のメジャーなものばかり。視聴率の取れそうにもないヘビメタのMVなんか流してくれないのである。
月曜夜はロック三昧!「ハロー・ジャガー」からの「テレジオ7」
そんななか、UHFの千葉テレビやTVKはマニアックなMVをフルコーラスでみせてくれた(関西圏におけるKBS京都やサンテレビも同じような機能を果たしていたと思われる)。今考えると、予算がないから少しでもMVで尺を稼ごうということだったのだろうが、そんな事情も知らぬ学生には、ロックに理解のあるUHFテレビは素晴らしいなぁと思えた。まるで放送事故のように現れた『ハロー・ジャガー』と『テレジオ7』の2段積みで、月曜の夜はロック三昧、至福の時間だった。
90年代に入るとジャガーさんは『だまってJAGUARについて来い!』というMVを発表した。往年の円谷プロ怪獣番組『ウルトラファイト』のパロディという珍妙なプロモに爆笑したものだが、まさか、それから25年後に、MV監督である河崎実カントクと親しくお付き合いすることになるとは… あの頃の俺に教えてやりたい。
※2016年1月30日に掲載された記事をアップデート
2020.10.02