11月28日

尾崎豊とNOKKOが綴った地下鉄の風景!2人には失われた30年が見えていたのか?

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日本の地下鉄は1927年に開業。意外に多い地下鉄ソング


子供の頃から無性に地下鉄が好きである。地上を走る電車ではなく “地下鉄” が好きなのだ。

なぜか… と聞かれると困ってしまうが、なにしろ、小学校1年の夏休みの自由研究は地下鉄をテーマにしていたし、大人になった今でも出張の機会があれば、現地の地下鉄路線図を眺めては、地下鉄に乗ってどこへ行こうかと考えてしまう程だ。そんな僕の夢は、世界のありとあらゆる都市を巡り、その都市の地下鉄を路線図片手に隅々まで乗り倒すことだったりする。

日本で初めて地下鉄が開業したのは1927年12月30日。百年近くも経つのかと思うと感慨深い…。あれ? ここは「乗りものニュース」じゃなくて音楽サイトのRe:minderだったよな。というわけで、地下鉄が脱線したら大変なので本題に入ろう。

皆さんは、昭和〜平成を彩る数多の楽曲の中で、「地下鉄」がタイトルや歌詞に登場する曲が意外と多くあるということを御存知だろうか。そして、時代の移り変わりによって、地下鉄の描かれ方が変化していく様子は興味深い。

70年代、高度成長期の日本に見る、地下鉄ソングのキラキラ感


70年代、最も有名な地下鉄ソングと言えば、フォークグループ “猫” の代表曲である「地下鉄にのって」(作詞:岡本おさみ、曲:吉田拓郎)であろう。

 もっと大きな声で もっと大きな声で
 でなけりゃ 次の駅にとまったら
 走り出すまでの
 あのわずかな静けさに話そうか
 今 赤坂見附をすぎたばかり
 新宿まではまだまだだね

この曲が発売された1972年は、日本は列島改造ブームに沸く高度経済成長期真っ只中だった。東京の地下鉄も雨後の筍の如く建設されていた時期だ。所々入る「♪丸の内線で〜」、というコーラスが印象的なこの曲は、当時のカップルが、地下鉄のデートにすら、新鮮でキラキラした空気を感じていたことを想像させる。



ところが、80年代に入り、歌詞の中における地下鉄は、それまでとは違った描かれ方をするようになる。70年代、高度経済成長の一種の象徴として登場していた地下鉄が、80年代には、都会の中の孤独を表現するアイテムとして数多く使われるようになってきたのだ。

80年代、バブル景気前に綴られた地下鉄の風景とは


次に紹介する2曲は、ちょうど僕が多感な中学生の頃にカセットテープが伸びる程繰り返し聴いていた2枚のアルバムからピックアップしたい。

■ レベッカ / CHEAP HIPPIES(アルバム「TIME」より)
 あたしもあいかわらず
 地下鉄で通ってるの
 長すぎる夢を見て

■ 尾崎豊 / 誰かのクラクション(アルバム「壊れた扉から」より)
 たたずむ時には
 地下鉄の乾いた風の中で
 “誰のために泣けるだろう”
 大切なもの
 どこかに 忘れた気がする

これら2曲が発売されたのは、1985〜1986年のことであり、日本はこのあと空前のバブル景気に突入していく。しかし、80年代の若者であるNOKKOと尾崎が綴った地下鉄の風景は、どこか醒めていて乾いた感じがするし、その歌詞からは、地下鉄という地下空間特有の閉塞感、どこまでも続いていくトンネルの情景が浮かんでくる。

そして、そのトンネルは、30年以上を経た今でも続いているかのようである。もしかしたら、2人には、バブル経済の向こう側、その後の日本の世相『失われた30年』が、ぼんやりと見えていたのかもしれない。



車窓に映るものは何?地下鉄から見えてくる「都市の情景」と「時代の空気」


地下鉄を扱った曲は他にも数多く存在しているが、これらの曲に共通するのは、地下鉄をフィルターにしてその時代の「都市の情景」が綴られているということだ。そして、地下鉄の車窓に映るのは、美しい空でも無ければ生い茂る木々でもない、自分自身そのもの。時として、心の闇や人間の欲望や「時代の空気」すらも映し出す。

歌は世につれ、世は地下鉄につれ――

令和のいま、この日本ではもう、地下鉄の新線が開通することは殆ど無くなってしまった。そういった面では少々寂しい気もするが、都市の地下鉄を舞台とした曲は、これから先の時代にも、きっと生まれてゆくことだろう。そして、これらの歌は、どんな時代の空気を奏でていってくれるだろうか。

歌詞に「地下鉄」が入った流行歌が色々な街角で流れる日の再来。これを僕は秘かに待ち望んでいたいと思う。ひとりの “音楽LOVERS” として、そして “地下鉄LOVERS” として。


※2018年11月19日に掲載された記事をアップデート

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2022.12.30
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カタリベ
1972年生まれ
古木秀典
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