サザンオールスターズ初の “Cメジャー” シングル「栞のテーマ」
さて、サザンが名曲を生み出すキーコード。とっておきのキーコードを見つけちゃいました! 今回ご紹介するのは、サザンの勝負キーコード、“Cメジャー” でございます。
このキーコードを使ったサザンの名曲はたくさんあるのですが、色々とピックアップしてみると、サザンの歴史や音楽性など、後に影響していく分岐点ともとれる名曲が多いということに気付いたのです。
サザンオールスターズ初のCメジャーキーコード・シングルとなったのは「栞(しおり)のテーマ」でございます。1981年9月21日にリリースされました。
これは、テレビでは必ずと言っていいほど“海” “湘南” “江ノ電” といった映像のバックに流れる曲としてお馴染みです。僕は中学2年の頃に初めて、サザンオールスターズのベストアルバム『海のYeah!!』で、この歌、サザンの歌なの!? と驚いたのを鮮明に覚えています。
続いての “Cメジャー” は「ミス・ブランニュー・デイ」
続いては、1984年6月25日に発売された20枚目のシングル「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」でございます。私はこの曲がサザンオールスターズの最初の分岐点だと思っています。なぜなら今までロック街道を突っ走ってきたサザンオールスターズが初めてコンピューターサウンドを取り入れた楽曲だからです。サザンに革命が起こったと言ってもいいでしょう。
しかも、サザンマニアの間では有名な話ですが、元々はアルバム『人気者で行こう』に収録されている「海」という曲をシングルにする予定だったのですが、発売の約1週間前に「ミス・ブランニュー・デイ」に急遽変更され大ヒット! 勝負がかかっていたことがわかりますよね。これも何かの運命だったのかもしれません。
ところで「栞のテーマ」と「ミス・ブランニュー・デイ」は共通して、イントロ部分の演奏は原由子さんなんです。このしてやったり感。いい音を奏でています。
さらには「メロディ」、そして活動休止明けの「みんなのうた」
さぁ、ここからがサザン分岐点キーコード、Cメジャーの要と言っても過言ではございません。重要ポイントです!
1985年に原由子さんの産休を機に訪れた最初の活動休止宣言。これにはファンはおろか日本中が驚いたのではないかと思います。この最初の活動休止前にリリースされた23枚目のシングルが「メロディ(Melody)」、サザンの中では泣き歌としても有名です。メロウなサウンドに、日本語と英語が上手い具合に折り重なった歌詞。男と女の別れをグッと切なく、悲しみを誘います。
それから約3年後に原由子さんが産休中から戻り、完全復活を果たした1988年6月のサザン。ちょうどデビュー10周年となった復帰第1弾シングルが偶然にもCメジャーキーコードでした。それが24枚目の「みんなのうた」です! これはサザンのライブでは大定番の一曲で1番盛り上がるメッセージ性の強い楽曲なのですが、桑田さんがライブで歌詞をよく間違える曲です。ファンの間では “サザンあるある” として認知されていますね。
90年代なら「涙のキッス」“Cメジャー” はサザン必殺の勝負キーコード!
このようにサザンの歴史において重要なポイントには必ずCメジャーキーコードの楽曲が出てきます。
1985年から1988年のサザンオールスターズが休止中の間に絞ってみると、KUWATA BAND のデビューシングル「BAN BAN BAN」(1986年)の他に、桑田さんのソロデビューシングル「悲しい気持ち(JUST A MAN IN LOVE)」(1987年)があります。この2曲もCメジャーキーコードだった事がわかりました。
ちなみに90年代以降に出たCメジャーキーコードでいうと、1992年7月18日に発売された名曲「涙のキッス」があります。これは、サザンオールスターズのシングル売上で初の100万枚を突破した大ヒット曲です。
そして2008年8月6日には「I AM YOUR SINGER」がリリースされます。サザンオールスターズはこの年に無期限活動休止を発表、休止前の最後のシングルとなりましたが、こちらもCメジャーキーコードとなっております。
私の推測ですが、桑田さんが勝負をかける時は、決まってCメジャーキーコードを使うのではないかと思います。つまり、Cメジャーとは、ここぞという時にブレずに自身の信念を持って直球勝負! 必ず話題をかっさらい、活動休止となっても次へと繋げる “サザン必殺の勝負キーコード”。お笑いで言うところの、何度でも蘇えるレジェンド、ビートたけしさんに値するものじゃないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。
※2018年10月8日に掲載された記事をアップデート
2020.08.21