13歳だったころ、ブラジルでエアロビクスがなぜかとても流行っていて、私も妹も自宅から歩いて3分のジムに通っていました。 いつも一緒に遊んでいた近所の仲間の一人、カチアもそこへ通っていて、記憶はあいまいですが、遊び仲間の女の子たちが全員一緒に入ることになり、みんなで週に3回はレッスンを受けていたでしょうか。 足と腕の動きがランダムに次々と追加されて行き、1セットとなる仕組みになっていて、エアロビクスは体を動かしながら頭も使うスポーツ。初めてのエアロビクスはテンポが速く、最初はついていけなくて大変でした。 私が習っていた教室では、30分アップテンポ、30分は床でスローテンポで行われていました。スローテンポのエクササイズでは腕立てや腹筋、脚の内転筋などが鍛えられるのですが、毎回筋肉が悲鳴をあげていたのを思い出します。しかし、面白いことに、3カ月も週に3回のエアロビクスをすると、体が慣れて今度は筋肉や体が動きたくてウズウズしてくるのです。 眼鏡っ子で運動の苦手な私は、そんな経験は人生で初めてでした。ある日、エアロビクスの先生が新しいテープを持ってきたと言って、スローテンポのエクササイズに音楽をかけてくれました。渋い声で耳に残るキャッチーな曲、リック・アストリーの「ギヴ・ユー・アップ(Never Gonna Give You Up)」でした。 「ね、リック・アストリー知ってる? ジムでかかってるんだよ」 とすぐさま仲間の男の子たちに言ったものだから、次の日から近所の男子5人がエアロビクス教室に見学にやってくる…… いや、通ってくるようになり、私たち女子は彼らの目の前でレオタードを着、手足以外にも体や腰を振ることになってしまったのです。 いくら遊び仲間とはいえ、私たちも年頃の女の子。しばらくの間、赤面しながらエクササイズをすることになりました。 男子たちは見学の熱心さの割に誰も入会しませんでした。それを先生も見極めて「入る気がないならもう見学は終わりよ」と言ってくれて、ようやく私たち女の子は男子の視線から解放され、ほっとしたのでした。 彼らのお目当てはもちろん私ではありませんでしたが、当時私がもっとグラマーだったらよかったのになと、「ギヴ・ユー・アップ」を聴くたびに思い出して、ついクスクスっと笑ってしまいます。
2018.01.15
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YouTube / RickAstleyVEVO
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