10月21日

石井竜也の嫁にもなれず、米米CLUBにも入り損ねた私の妄想劇場

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ブレイク前の米米CLUB「浪漫飛行」はライブでしか聴けない曲だった!

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photo:SonyMusic  

過去のコラムで何度か自身の妄想癖をネタにさせていただきましたが、今回も妄想族 Polco が爆走しますよ。

1987年、無気力な学生生活を送っていた私に差し込んだ一条の光―― それは 米米CLUB であり、てっぺいちゃん(当時のカールスモーキー石井のニックネーム)だった。

よその大学の学校祭に 米米CLUB が来るというので、のこのこと出かけていったのだが、そこで私は鈍器で頭を殴打されたような衝撃を受けた。その頃、少し音楽への興味を失っていたのだけれど、そんな心の隙間にするりと入り込んだのが、まさにブレイク前夜の 米米CLUB だった。

ライブは、ただ生の音楽を聴いてワーッと盛り上がって終わりだと思っていたので、米米の型破りなパフォーマンスには、ただただ圧倒されるばかりだった。そして、とにかく楽しくてたまらなかった。こんなの初めてッ!

彼らの音楽については言うまでもないのでここでは割愛するが、まずは、ステージを埋め尽くすメンバーの多さにビックリ。バンドメンバー6名+ダンサー(シュークリームシュ)3名+ホーンセクション(BIG HORNS BEE)4名の計13名が、学校祭の小さなステージに立ち、所狭しと歌って踊って暴れていたのである。

そして、てっぺいちゃんは10歳若くなったジュリーがホストになったみたいな見てくれ、トークが軽妙で、謎の妄想小芝居を繰り広げ、観客は最初から最後まで爆笑の渦。

この人は歌が上手くてルックスがいいだけじゃない、頭のいいお方や… 惚れるわ…

そこから私の妄想劇場が始まった。


大学の一般教養科目として情報科学を選択していた私。“ワープロを使ってみよう” という授業があって、「二十歳の誕生日にカールスモーキー石井さんと東京ドームで結婚式を執り行います」という招待状を作って印刷し喜んでいた。さらには、同じくてっぺいちゃんファンだった友人と毎日のように「彼は私のもの!」「いいえ! 私のもの!」と妄想取り合い劇場を繰り広げていた。まだ十八、九だったと思うが、今思えばあまりにも幼稚だ。バカだ。本当にバカだ。

余談だが、のちに友人はてっぺいちゃんではない男性と結婚した。もちろん私も彼とは結婚していない。ライブにせっせと通い、私は 米米CLUB(=てっぺいちゃん)に入れあげることで、青春の最後っ屁をブーブーこいていた。そして、彼らはみるみるうちにビッグになった。どんどん遠い存在になっていくことに私は一抹の寂しさを覚える。そんなある日、雑誌の記事が目に留まった

それは「米米CLUB、新メンバー募集!」という、オーディションのお知らせだったのだ。その記事には「おもしろい人なら何でもOK」と書いてあった。「Polcoちゃんっておもしろいよね~」と友達にはよく言われていたので、単純(バカ)な私は応募することにした。

だけど、自分に何ができるのだろうか。

散々考え込んだあげく、その辺にあった便せんに書いたのは、「私は『きょうの料理』のテーマを木琴で演奏できます!」というようなことだった。中学時代に吹奏楽部のパーカッション担当で、暇なときによくそうやって遊んでいたのだ。

当然、私がオーディションに呼ばれることなどはなかったし、バンドに入ってきた人たちはバリバリのミュージシャンたち。当たり前だが、米米CLUB には『きょうの料理』しか演奏できないミュージシャンは必要なかったのだ。たいしておもしろくもないし…

そもそも私は何故応募しようと思ったんだろう?

バンドに入ればてっぺいちゃんに近づけると思ったから? いや、彼らと一緒に楽しく歌ったり踊ったりしたかった。そして、自分を表現することで、内向的な自分を変えることができると思った。卒業後の進路に悩み始めていた頃だったし、会社員よりはむしろ自分を表現する職業に憧れを抱いていた。狭いステージでのびのびと自分を表現する13人に、私は自身を投影して「こんなふうになれたらいいな」と虚しい夢を見ていたのだ。

てっぺいちゃんの嫁になる妄想はいつの間にか終わり、私も平凡な社会人になったが、何かを表現していくことで認められたいという妄想は、実は今も続いている――

ここにこうして駄文を掲載して頂けることで、少しでもてっぺいちゃんたちに近づけているかしら?

じゃあ、私… 今からシュークリームシュに加入し… 何? やめて!

何するの?!

キャアアア… てっぺいちゃーん!

(妄想劇場、強制終了)

2018.10.21
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  YouTube / Sony Music (Japan)


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カタリベ
1968年生まれ
モコーツカ
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