2024年 9月23日

ヴァン・ヘイレンの名曲連発!サミー・ヘイガー【有明ライブレポート】76歳とは思えない!

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サミー・ヘイガー「The Best of All Worlds 2024 Tour」東京公演日(有明アリーナ)
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photo:Timothy Norris  

叶わぬ願いを覆すサミー栄光のキャリアを総括するライブツアー!


2013年、僕は東京ドームでヴァン・ヘイレンの来日公演を観た。それはデイヴ・リー・ロス時代を総括する素晴らしいライブだった。もし再度来日が実現するならば、次はサミー・ヘイガー時代を総括するライブも観たい。そう願ったファンも少なくないはず。ところが、2020年のエディ・ヴァン・ヘイレン急逝により、それは叶わぬ願いとなってしまった。

そんな無念な気持ちを抱いてから約4年後、サミー・ヘイガーがヴァン・ヘイレンの楽曲を中心に披露する来日公演が実現した。この『The Best of All Worlds 2024 Tour』のメンバーには元ヴァン・ヘイレンのベーシスト、マイケル・アンソニーが帯同しており、さながら “½ ヴァン・ヘイレン” の様相を呈しているのも実に頼もしい。

さらに、ギターにジョー・サトリアー二、ドラムスにはジェイソン・ボーナムという人気実力ともに申し分ない凄いメンツ。ところが、ジェイソンが家庭の事情でツアー中に離脱。もしや来日中止? という緊張感が走ったが、代役に全米ナンバーワンのセッションドラマーと評される大御所、ケニー・アロノフが急遽参加することになり、無事来日を果たしたのだ。



序盤から惜しみなくヴァン・ヘイレンが残したレガシーを連発!


会場の有明アリーナには、年季の入ったロックファンがこぞって集結し、さながら洋楽ハードロックを愛する者たちの同窓会のごとく和やかなムードすら漂う。程なくしてヴァン・ヘイレンの「ドリームス」が、暗転前のスピーカーから大音量で流れ始めた。

今夜のセットリストに入っていないのかという残念な気持ち以上にテンションが一気に高揚し、大勢の観客が曲に合わせて歓喜の声を上げ始める。ギターソロに差し掛かると、その歓声は一層大きくなり、まるでエディの魂がこの会場に降臨するかのような感覚に襲われた。曲がエンディングを迎えると場内が暗転。ステージ後方の大小3面のスクリーンに、サミーの輝かしいキャリアを振り返る映像が流された。興奮と歓声がピークに達した瞬間、“Hello baby” の掛け声一発を合図に、1986年のアルバム『5150』のオープニングを飾る「グッド・イナフ」が始まった。ああ、完璧な演出とショウのスタートだ。

ステージ上センターには黒のTシャツに白いパンツ、サングラスを着用したラフなスタイルのサミー・ヘイガー。下手にはヴァン・ヘイレンの頃とイメージが全く変わらないマイケル・アンソニー。上手にはギターを持ったジョー・サトリアー二。後方の巨大ドラムセットにはケニー・アロノフが鎮座。その横にキーボード、コーラス、ギターをこなすレイ・シッスルウェイトが位置している。最初こそ籠り気味だったPAサウンドも曲中で芯が太くクリアな音像に持ち直し、これぞアメリカンハードの醍醐味!といわんばかりの極上の爆音を吐き出していく。心地よく身を委ねるだけで、この夜のライブが凄いものになることを確信させられた。



「パナマ」のリフが刻まれ、オーディエンスのボルテージが一気に加速


1曲目の興奮が冷めやらぬまま、イントロからエディ・ヴァン・ヘイレンをなぞったドリル奏法が炸裂し、1991年のアルバム『F@U#C%K』からの「パウンドケーキ」へと繋がっていく。ギターサウンドは抜けの良い強烈な歪みで、ダイレクトに耳を刺激する。ドラムのケニーもアレックス・ヴァン・ヘイレンに寄せた、スコンと抜けるスネアの音色なのが嬉しい。続く「ランアラウンド」ではサビの歌詞に合わせてサミーがぐるぐる腕を回すアクションを連発。ご機嫌なサミーは、日本のオーディエンスに感謝を伝えつつ “cheer!” とジャパニーズビールで乾杯。この後もMCタイミングでノドを潤していたが、ステージドリンクがアルコールなのもサミーらしい(笑)

そんなサミーがレッドボディのギター、エクスプローラーを抱え、エモーショナルな短いソロを奏でて始まった「ワン・ウェイ・トゥ・ロック」。ヴァン・ヘイレンでも演奏していた、ソロ時代のサミー・ヘイガーの代表曲だ。サミーが歌う主旋律の上を行く、マイケルのハイノートなコーラスも実に気持ちよく響いてくる。中盤のジョーとのリードギターバトルもヴァン・ヘイレンさながらで、ハードロックギターのダイナミズムを見せつけてくれた。

5曲目、“ヴァン・ヘイレンの大好きな曲だよ!” というサミーのMCとともに、早くもデイヴ・リー・ロス時代の人気曲「パナマ」のリフが刻まれ、オーディエンスのボルテージが一気に加速していく。序盤から惜しげもなく披露するあたり、この夜のセットリストがいかに名曲オンパレードなのかを表すかのようだ。中盤では“もっと大きな声を!”と煽りまくり、会場はサビの大合唱が巻き起こった。



80年代の洋楽ロックシーンを席巻した「5150」の凄みを再認識!


興奮も冷めやらぬ中、巨大スクリーンに『5150』のジャケットが映し出されると、怒涛のような歓声が沸き上がる。タイトル曲「5150」の特徴的なリフをジョーが奏で始めると、思わず涙腺が決壊してしまう。リリースから38年の時を経ても色褪せない、サミーがエディらと作り上げた名曲のチカラをまざまざと見せつけられた瞬間だった。

マイケルの紹介を合図に始まったのが、ヴァン・ヘイレンのデビューアルバムから「叶わぬ賭け」(Ain't Talkin' 'bout Love)だ。マイケルがセンターに移動し、サミーの真っ赤な変形マイクスタンドに向かい、もの凄いシャウトをぶちかます。ジャックダニエル型のベースを弾きながら、脳天に突き抜ける変わらぬハイトーンでソロヴォーカルを披露してくれた。

そしてキャッチーな「トップ・オブ・ザ・ワールド」から、“さあ、セレブレーションの時間だ!” と、本ツアーのタイトル “The Best of All Worlds” を連想させる「ベスト・オブ・ボース・ワールズ」へと繋いでいく。曲中では、80年代当時のライブ映像で見られる、リズムに合わせて行進するユニークなアクションを、サミー、マイケル、レイが楽しげに再現すると、観客からやんやの歓声が巻き起こる。



日本公演だけのサプライズ!「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」を披露


今回のツアーは、ヴァン・ヘイレンを含んだ “サミー・ヘイガーのキャリア” を振り返る構成になっており、ライブの終盤ではソロ時代の楽曲を立て続けに披露。本編の締めに相応しいエナジー全開の激アツなパフォーマンスを繰り広げ、有明アリーナのボルテージは最高潮に達した。

大きな歓声の渦の中で、メンバーがステージに残ったままアンコールに突入。ここで嬉しいサプライズとして、日本公演で特別にセトリに加えられたヴァン・ヘイレンの人気曲「キャント・ストップ・ラヴィン・ユー」が、日本のファンへの感謝とともに演奏された。さらには、ヴァン・ヘイレンの超有名曲「ジャンプ」を、サミーのヴァージョンでしっかりと届けてくれた。

この夜の最後に演奏されたのは、全米シングルチャート5位に輝いた、ヴァン・ヘイレンのメロウサイドのヒット曲「ホエン・イッツ・ラヴ」。シンガロングのパートでは、会場中から合唱が響き渡り、爽快な感動を共有しながらショウは幕を閉じた。



サミーとヴァン・ヘイレン双方のレガシーへの敬意に満ちた記憶に刻まれるライブ


原曲のキーをほぼ崩さずに、2時間余りエネルギッシュに歌いまくったサミーは、76歳とは思えない溌剌としたパフォーマンスを終始披露。 “ヴォイス・オブ・アメリカ” に相応しい歌声で観客を魅了し尽くした。マイケル・アンソニー、ジョー・サトリアー二、ケニー・アロノフ、レイ・シッスルウェイト、4人のコンビネーションが織り成す、真にプロフェッショナルで完璧な演奏も実に素晴らしかった。

ライブの終わりには、スクリーン一杯に巨大な “THANK YOU” の文字が表示された。こちらこそ、その言葉を倍にしてサミーとメンバーに返したい。この夜のライブを通じて多く感動を貰ったが、それ以上に元気の源を身体の芯までいっぱいに貰うことができた。帰路の足どりが不思議と軽く感じられたのは、気のせいではないはずだ。ひょっとしたら、この先に繋がるものが待っているかもしれない。

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2024.10.19
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カタリベ
1968年生まれ
中塚一晶
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