LET ME KNOWの10曲 ⑩
Jumping Someone Else's Train / The Cure
さらなる活躍が期待されるニューカマー、LET ME KNOW 快進撃が止まらないLET ME KNOW。4月に配信され、耳の肥えたシティポップファンまでも唸らせた「偽愛とハイボール」Instagramのリールで600万回以上の再生を記録して大ブレイク。続く「100円キッス」「初なfeeling」ではそれぞれ異なる色合いを見せ、バンドの新境地を開拓。その懐の深さを体現してくれた。夏フェスも好評を博し、さらなる活躍が期待されるニューカマーである。10回に渡るインタビュー連載『LET ME KNOW が選ぶ10曲』も今回がいよいよ最終回。これまでの連載で、メンバーそれぞれが挙げてくれた曲は以下になる。
① Blurry Eyes / L’Arc〜en〜Ciel(Ken_M)
② カルアミルク / 岡村靖幸(Matty)
③ Elephant Stone / The Stone Roses(Lyo)
④ MEMORY / BOØWY(Ken_M)
⑤ Rock 'N' Roll Star / Oasis(Matty)
⑥ 風にきえないで / L'Arc〜en〜Ciel(Lyo)
⑦ Some Girls Are Bigger Than Others / The Smiths(Ken_M)
⑧ Stay Young / Oasis(Matty)
⑨ Isolation / Joy Divison(Lyo)
ここに羅列された曲を見ても、LET ME KNOWの音楽がいかに多様性を持っているかが分かるだろう。こういったバンドからのインスピレーションを源に、独自の “ノスタルジックモダン” というオリジナリティに富んだ音楽形態を作り続けている。そして、最終回にギターのKen_Mが挙げてくれたのはキュアーの「ジャンピング・サムワン・エルス・トレイン」だ。
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「ジャンピング・サムワン・エルス・トレイン」のような曲を作っていきたい ―― 今回はザ・キュアーの「ジャンピング・サムワン・エルス・トレイン」を挙げてもらっています。
Ken_M:これは、まずギターがカッコいい!と。
―― やはりギタリスト目線なんですね。
Ken_M:そこはどうしても外せないですね。どんな曲を聴く時もギターに集中します。
―― ザ・キュアーのサウンドの良さはどこにありますか?
Ken_M:随所随所のフレーズが自分の中でツボですね。
―― ザ・キュアーは泣けるフレーズが多いですよね。
Ken_M:泣けますね。「ボーイズ・ドント・クライ」のギターのリフなんかも歴史に残るものだと思います。だけど、今回は、敢えてそこは外そうと思いました。ベタすぎるかなと思いまして。だから同じアルバムに収録されているこの曲にしました。「ジャンピング・サムワン・エルス・トレイン」のリフも「ボーイズ・ドント・クライ」と同じぐらいカッコよくて、まさにポストパンク期の名曲ですね。大好きです。
―― このあたりもLET ME KNOWのファンにも掘り下げて欲しいですよね。
Ken_M:ただ、「ジャンピング・サムワン・エルス・トレイン」のような曲は現状のLET ME KNOWにはないので、今後作っていきたいですね。
来年にはアルバムを出したい ―― LET ME KNOWは今までは1曲ごとの配信に力を入れてきたわけですが、アルバム制作についてはいかがですか?
Ken_M:まだ決め切れていないですが、来年(2025年)にはやりたいなと考えています。
―― ただ、今の時代はサブスクが主流になっているので、アルバムという概念がない音楽ファンも多いですよね。
Ken_M:そこが難しくて、例えば、10数曲入りのアルバムを出しても、聴かれない曲もあるんだろうなと考えてしまうと、まとめてしまうのはどうなのかなという気持ちは正直あります。アルバムを出すという方向性はありますが、それが果たしてベストなのか、考え続けています。プロモーション的に考えると、キュレーターがやっている各種ストリーミングサービスのプレイリストも1曲1曲を配信で出した方が入りやすいという現状もあります。プレイリストにはアルバムのリード曲しか入らない。売れているアーティストならアルバム曲がバンバン入ると思いますが、僕らのような新人にそういうチャンスはないのかな?と機会損失だと思うことがあります。
―― 40代以上の音楽ファンは、アルバムで聴く習慣がまだ残っています。
Ken_M:そうなんですよね。それは素晴らしいです。
―― 若い世代のファンに向けてということを考えると確かにアルバムを聴かせるというのは難しいですね。
Ken_M:僕も小さい時はそうでしたが、かつての音楽ファンはフィジカルを1枚1枚買いますよね。買ったら、どうしても全曲聞かざるを得ない。やはりお金を出すので、貴重ですよね。1回聴いて微妙だなと思った曲でも4回、5回と聴いていくうちに “あ、いい曲だな!” と思えてくる場合もあります。そういうところで、アーティスト側も “全曲聴いてくれるだろう” という考えでアルバムを作っていたのではないでしょうか。その当時は全曲聴く人が大多数だったと思いますし、時代に相応しい在り方だったと思います。ただ、今の時代は無料でなんでも聴けるので、アルバムを出したとしても聴かれない曲もあるだろうし、時代に合った形態ではないのは確かですね。
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エネルギーのある曲をいかに集約してアルバムを出せるかということ ―― それは音楽業界全体の悩みでもありますね。
Ken_M:そういう悩みを今のアーティストみんなが持っていると思います。それでもアルバムを出す。逆にアルバムを全くリリースしなかったら新しいと思います。LET ME KNOWはいつまでたっても出さない!みたいな(笑)
―― 昔のアーティストは、ハイペースだと半年に1枚ぐらい出していました。アルバムでアーティストの歴史が作られていくというのが、これまでの姿でした。これからはライブで印象付けていくということでしょうか?
Ken_M:ライブで演奏された曲を “あの曲、よかったな” と改めてアルバムで聴くのは、今でもあると思います。日本でもX-JAPANはメジャー以降、スタジオアルバムを4枚しか出していません。彼らもアルバムを出すという構想はあるようですが、このような状態が続いても東京ドームが満杯になります。つまり、エネルギーのある曲をいかに集約してアルバムを出せるかということかもしれません。
―― 配信に関してはLET ME KNOWも1曲1曲にエネルギーを注いでいますよね。
Ken_M:注いでいます。それもあって、アルバムとなると、1曲1曲に注ぐエネルギーの量が分散されてしまうのかな?とも考えてしまいます。僕の場合、火事場の馬鹿力ではないですが、時間がなくなって、窮地に追い込まれた時に良いフレーズが思いついたりするので。
―― フレーズって降りてくることがあると聞いたことがあります。
Ken_M:ありますね。ほとんどの曲は試行錯誤を繰り返しながら完成させますが、「偽愛とハイボール」の間奏のフレーズは頭の中で鳴り響いたものをそのまま使いました。この時はギターに触らずに出来上がりましたね。
―― “降りてくる” というのはミュージシャンとしての経験値にもよると思います。
Ken_M:今後、経験を重ねて “降りてくる” 打率を上げなくてはならないですね。頑張ります。
新しい価値観、新しいロックの形を体現できるバンドでありたい ―― 今後LET ME KNOWをどんなバンドにしていきたいですか?
Ken_M:誰とも被らないバンドでありたいですね。長いロックの歴史があって “○○っぽい” というのは、どうしても生まれるものだと思います。だけど、LET ME KNOWは、出す曲出す曲が “新しい!” と思ってもらえる、いわゆるパイオニア的な新しい価値観、新しいロックの形を体現できるバンドでありたいです。
―― バンドを長く継続させていきたいという気持ちはありますか?
Ken_M:それはもちろんあります。このメンバーでずっとやっていきたいです。
―― 自分の10年後はどうなっていると思いますか?
Ken_M:今はそこまで考える余裕はないかもしれないです。毎月配信される曲づくりのことで頭がいっぱいなので。先を考える余裕ができると良いのですが…。ただ、音楽は続けていると思います。
―― 最後にファンに向けてメッセージをお願いします。
Ken_M:今のファンには、早い段階から見つけてくれてありがとうという感謝を伝えたいです。これから好きになってもらえる人たちには “新しいロックがここにあるよ” ということをまず伝えたいですね。
Information NEW LIVE「LET ME KNOW LIVE TOUR 2024 -Nostalgic Modern- II」 開催決定! ▶︎ 2024年12月10日(火)
【愛知】名古屋DIAMOND HALL
▶︎ 2024年12月19日(木)
【東京】EX THEATER ROPPONGI
▶︎ 2024年12月21日(土)
【韓国】YES24 WONDERLOCH HALL
▶︎ 2024年12月26日(木)
【大阪】梅田CLUB QUATTRO
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2024.11.25