リリイベ初体験！ツッパリの山田麗子こと三原順子「セクシー・ナイト」

70年代も大詰めの1979年10月に始まったドラマ『３年B組金八先生』は、海援隊による主題歌「贈る言葉」がヒットしている最中の1980年３月にひとまず放映を終える。

それまでドラマではあまり描かれなかった受験戦争、非行、いじめ、家庭問題など、教育の暗部が克明に描かれ、学園ドラマの新たなスタイルを確立したヒットドラマは、テレビ史に残る重要な作品となった。

そして、その後もシリーズ化されてしばらく続いてゆくのだが、世間の評価とはまた違う意味で個人的にこのドラマに格別な思い入れがあるのは、放映時に自分も中学３年生だったから。

「贈る言葉」をリアルタイムの卒業ソングとして歌いながら、別れの季節の哀しみを生まれて初めて知った春の日。まだ純粋な涙を流せる年頃だった。

そんないたいけな中３生が毎週ドラマを見ているうちに憧れの対象になってしまった女性がいる。それは優等生・阿部トシエ役のつちやかおりでも、15歳の母になる浅井雪乃役の杉田かおるでも、ましてや理科の国井先生役の茅島成美でももちろんなく、ツッパリの山田麗子役の三原順子なのでありました（この稿では以降も旧名で表記）。

不良学生とはいえ、一本筋が通って凛としていた彼女は妙に魅力的で、クラスメイトにはちょっといないタイプのコとして興味を持った。もっとも男子校に通っていた自分には女生徒自体が周りにいなかったのであるが･･･。

実は三原順子のことを意識したのは『３年B組金八先生』が最初ではない。それより少し前、荒木由美子主演のスポ根ドラマ『燃えろアタック』にバレーボール部員として出演していたのを見てから気になる存在だったのだ。

８歳の時から劇団に入っていたというから、女優としてのキャリアは長い。金八先生終了後は、４月から始まった『青春諸君・夏！』という田中健主演のドラマで追っかけた。またもやツッパリ役であったものの、並み居るベテラン勢の中、なかなかの奮闘ぶりであった。

ちなみにこのドラマには年頃の女性がたくさん出ており、グラビアで活躍していた沢田和美も好きになった。野口五郎が歌う主題歌「さすらい気分」も事ある度に口ずさむほどに好きな曲で、また見てみたいドラマのひとつである。

逸早く情報を得るため、７月に結成されたファンクラブにも入会した。早速送られてきた会報には、９月５日にキングレコードから歌手デビューしますとの待望のニュースが載っていて、思わずガッツポーズ。８月８日に行われた『第１回ファンの集い』ではデビュー曲の初披露もあると明記されていたが、ついつい臆してしまい参加しなかったことを今でも悔やんでいる。

その後予定変更され、実際のレコード発売は９月21日になった。その前日に池袋のサンシャインシティ噴水広場で催されたデビューイベントへは友人と共に足を運び、そこで初めて本人に会って握手とサインをもらうことが出来た。これが自分にとってのアイドルのリリイベ初体験となる。

長戸大幸作曲の「セクシー・ナイト」はチャートを上昇し、『ザ・ベストテン』にも出演する大ヒットとなったのがファンには嬉しかった。

シングル盤のジャケットは２種類作られ、最初の髪をアップにした緑色のジャケット写真があまりに大人っぽ過ぎたためであろうか、すぐに顔アップの少女っぽいイメージのものに差し替えられた。おかげでこちらは２枚買う破目になったが、今のアイドルのCD形態を考えれば可愛いもの。

11月からは主演ドラマ『GOGO！ チアガール』もスタートし、12月には主題歌「Let's Go 青春」が “JUNKO＆CHEER LEADERS” 名義でリリースされる。年が明けて1981年１月に出された正式なセカンドシングル「ド・ラ・ム」もまたヒットと、歌手・女優ともに大活躍を遂げたのであった。

1981年の夏、コカ・コーラをがぶ飲みしたのは、販促品として作られた三原順子のピクチャーレコードを手に入れるためである。ほかにもクリスタルキングやノーランズがある中で、見事に三原盤をゲット。これがまた「いとしのサマーボーイ」という爽やかな夏うたで、貴重な非売品レコードをカセットに録音して、夏の間中ずっと聴いていた。

その後、1982年には、横浜銀蝿のTAKUが作曲した「だって・フォーリンラブ・突然」をヒットさせ、「セクシー・ナイト」では実現しなかった『NHK紅白歌合戦』への出場も果たすのであるが、歌われたのはなぜか「ホンキでLove me Good!!」だった。これは紅白七不思議のひとつだ（嘘）。

高校１年の頃、松田聖子の歌に魅せられていた一方で、初めて好きになった80年代アイドルは三原順子だったという、極めて私的な片恋いのラブレターにて失礼いたしました。念のため付け加えておくと、三原じゅん子さんの政治理念にも共感する部分は非常に多い。今でも応援いたしております。

2017.08.07