ひとつのバンドを好きになると、そのバンドの過去のアルバムにも遡って聞きたくなるのは音楽好きの人なら当然とも言える思いだろう(そうでもない?)。僕の場合、PANTAがそうだ。PANTA&HALにはまった僕は、それ以前のPANTAのソロアルバム2枚を聞き、さらにその前の頭脳警察へと遡るわけなのだが、そこには大きな障壁があった。
なぜなら当時、頭脳警察の6枚のアルバムは全て発売中止か生産中止になっていて入手が非常に困難なものだったからだ。発売禁止のファーストアルバムと発売中止のセカンドアルバムは入手不可能なので早々に諦めたのだが、サードアルバム以降は「生産中止」だったので世の中のどこかにあるはずだと探し始めた。
まずは近所のレコード店に注文してみたのだが「メーカーに在庫なし」との返事。試しに他のレコード店にも注文してみたが結果は同じ。そりゃ当然だなと。「メーカーに在庫なし」ということはレコード店の店頭にあるものを探すしかないということで、とにかく街中を歩いていてレコード店が目に入ったら必ず店に入って「ず」のコーナーを探す、ついでに「は」と「P」と「Z」も。神保町エリアの中古レコード店ももちろんだ。
そんな地道な捜索活動を続けていると突然神風が吹いた。長いこと発売中止になっていた「頭脳警察セカンド」が再発されるという。それまで頭脳警察の曲を一曲も聴いたことがなかったのでこの再発は本当に嬉しかった。やっと聴けた!という思いもあってか、僕は頭脳警察の6枚のアルバムでこの「セカンド」がダントツに好きだ。一曲目の「銃を取れ」のイントロを聴くと今でも初めて聞いた時の感覚が蘇ってくる。
そして、不思議なことにこれをきっかけにして他のアルバムも手に入り始めた。努力は報われるということを、僕はこんなことから学んだのかもしれない。それでも5枚目の「仮面劇のヒーローを告訴しろ」、この一枚だけがどうしても手に入らなかった。タイトルから妄想だけが広がっていく。もう勝手に自分で歌を作っちゃおうかと思うほど。
そのアルバムの入手を諦めていたある日、御茶ノ水にあるレンタルレコード店「ジャニス」に入った時の事。ふと「こんなところにあるわけないよな〜」と思いながら探してみると「あら?よく似たジャケット、でも嘘だろ?」ともう一度よ〜く見ると、間違いない。力が抜けるほど簡単に見つかってしまった。でも僕のゴールはこれを借りてテープに録音することではない。この盤、それ自体が欲しいのだ。
迷うことなくカウンターにこのレコードを持っていき店員のお兄さんに「このレコードを売ってください」とお願いしてみた。お兄さんは優しく「うちはレンタル店なので貸し出しだけです」。ごもっともです。悔しいやら嬉しいやら複雑な気持ちでこのレコードを借りて帰ったのは言うまでもない。
その数年後、ファーストアルバムを含め頭脳警察のアルバムは全てレコードで再発、さらにCDで再発、紙ジャケでも再発と、再発のオンパレード。そしてその都度購入しているのも言うまでもない。
2016.10.11
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