このコラムのネタを考えていた時、ふと3年前に観た2時間ドラマを思い出した。竹内結子主演の『チープ・フライト』は、新規設立のLCC <CHERRY'S航空>が立ち上がって就航するまでを描いた物語で、F2層(35-49歳の女性)をターゲットにしていることは、ドラマのBGMを聴いてすぐに判った。
クライマックスシーンになると、必ずシンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」とバングルスの「胸いっぱいの愛(Eternal Flame)」が流れるのだ。
1980年代は女性ボーカリスト、特にガールグループ(3人以上の女性だけで編成されたグループ)にとって、新しい時代の幕開けだった。80年当時、女性だけのロックバンドの楽曲が1位になったことはなかったし、70年代のガールグループのほとんどがディスコ指向だった。そんな中、LAの5人組、ゴーゴーズが「ビューティ・アンド・ザ・ビート」で、女性ロックバンド初のアルバムチャート1位という快挙を達成する。
このゴーゴーズとその後に続いたバングルスは、自分で楽器を演奏し、曲の多くを自作していた点で、バナナラマやエクスポゼのように男性がプロデュースするガールグループとは完全に一線を画していた。高度な技術はなかったが、明るいヤンキー娘(ここでの「ヤンキー」とは「米国人」の意)が肩肘を張らずに自分の気持ちをロックに乗せる様は、ちょっぴり懐かしく、どこか胸をキュンとさせるツボを押さえていたと思う。
バングルスの名バラード「胸いっぱいの愛(Eternal Flame)」は、日本では結婚式のBGMとして人気の曲だが、リードボーカルのスザンナ・ホフスの甘く切ない歌声を聴くと、涙が自然と溢れだす女子も多いのだとか。
ちなみに、この曲の共作者であるトム・ケリーとビリー・スタインバーグの2人は、マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」、シンディ・ローパーの「トゥルー・カラーズ」、ハートの「アローン」、ホイットニー・ヒューストンの「やさしくエモーション(So Emotional)」でもNo.1を獲得している。
Eternal Flame / The Bangles
作詞・作曲:Susanna Hoffs / Tom Kelly / Billy Steinberg
プロデュース:Davitt Sigerson
発売:1989年2月17日
脚注:
■ The Go-Go's
「Beauty and the Beat」(81年9月26日1位)※アルバム
■ Cyndi Lauper
「Time After Time」(84年6月9日1位)
「True Colors」(86年10月25日1位)
■ Madonna
「Like a Virgin」(84年12月22日1位)
■ Heart
「Alone」(87年7月11日1位)
■ Whitney Houston
「So Emotional」(88年1月9日1位)
■ The Bangles
「Eternal Flame」(89年4月1日1位)
2016.03.08
YouTube / TheBanglesVEVO
Information