1960年代に活躍したリトル・エヴァのヒットナンバー「ロコモ-ション」。その聞き慣れたオールディーズを大胆にダンス曲にアレンジしたサウンドと共にフェロモン全開でやってきたのが、我らがミューズ、カイリー・ミノーグ様である。
1980年代に青春を送った僕たちはアメリカに行けば、カイリーのようなフェロモン系美女にすぐに出会えると本気で思っていた。
数年前のある日のこと。ロケで初めてニューヨークに行くという先輩ディレクターが「俺はブロンドのかわいい娘と今回の旅でたぶん出会っちゃうな。あははは。」などと嘯いて出掛けていった。
しかし帰国後、一転。「ダメだな。アメリカは。全然ダメだ。」等と言い出した。「何か嫌なことでもあったんですか?」と聞くと、どうやらこういうことらしい。
かの先輩はクリーブランドでテレビ番組の撮影を終えた後、ニューヨークに移動しグランドゼロを訪問したり、コアーズのライブを見に行くなど、充実した時間を過ごしていた。ところがである。ある時、彼は気付いてしまったのだ。
アメリカに上陸して以来、通行人も含めてコアーズ以外、一人も美女に出会っていないということに。
厳密に言うとコアーズとは出会ったのではなく、ライブ会場で遠目に見たに過ぎない。彼の言い分はこうである。
「だってアメリカだぞ。カイリー・ミノーグとかフツーに街を歩いてそうじゃないか。あの国の美女は一体どこへ行ったんだ。」
そんな先輩に対して「カイリーはオーストラリア人ですよ。」などと無粋なことはさすがに言えない。だが、業界人はただでは転ばない。彼は新たなる妄想を脳内に巡らせはじめる。
「たぶん世界中のすべての美女がハリウッドと六本木に集合している!」
こう名言(迷言)を残すとすぐに六本木の夕闇に消えていった。
The Loco-Motion
作詞・作曲:Gerry Goffin / Carole King
発売:1988年(昭和63年)7月28日
2016.02.10
YouTube / KylieAustralian
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