11月1日

ボーカリスト NOKKO の真髄を見た!雨中の早稲田祭レベッカライブ in 1986

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スージー鈴木「いいボーカリスト」3つの基準


『切れ味鋭いコピーライター、NOKKOは作詞家としてもっと評価されるべき』に続いて、レベッカ時代のNOKKOの、音楽家としての凄みについて書きたいと思います。

前回は作詞家、いや「コピーライター」としてNOKKOが、歌詞の中に、実に鋭いフレーズをはさみ込んでいたことを検証しました。今回は、ボーカリスト・NOKKOの歌が、とても素晴らしかったという話です。

ここでまずボーカルについての、個人的な評価基準を述べておきます。私が考える、「いいボーカリスト」の概念は、ざっくり3つの基準で構成されるものです。

(1)音程(ピッチ)が合っていること
(2)ビブラートが必要以上に大きくないこと
(3)声量があること

(1)は、これは一般的にいう「歌の上手さ」の概念ですよね。ですが、やっぱり大切なことだと思います。これに関連して(2)。私は、極論すれば、ビブラートまったく無しで、後ろの伴奏と、音程がぴったり合っているような、まるでオルガンみたいな歌い方をするボーカリストこそが「歌が上手い」と考える立場です。

逆に、過剰にビブラートをかけるボーカルは、下手、とは言いませんが、好きではありません。主に演歌の世界で多いのですが、過剰に、これでもかこれでもかとビブラートをかけて(こぶしを回して)、どの音程を取っているのか、分からなくなっているような歌があります。

更にはそういう、感情移入の過剰な歌こそが上等だとする、昭和からの風潮があって、キツイ言い方をすれば、私は、そういうのを、貧乏くさいと思うんですよね。

重視すべきは “声量”、聴けばわかる「Maybe Tomorrow」の表現力


そして(3)。実は私は、この基準を最も重視しています。ボーカリストは、とりわけロックボーカリストは、大声であるべきです。大声が出るということは「小声」も出るわけで、大声から小声の間での、声量の変化による表現力も備わっているということなのですから。

そんな私が「あぁ素晴らしいなぁ」と思った女性ボーカリストは、後で触れるNOKKOに加えて、デビューからちょっと経ったあたりの松田聖子(「夏の扉」のあたり。その後、もったいないことに声を潰してしまいます)や、最近では木村カエラですね。

さて本論です。上の(1)~(3)の条件を、それぞれ高得点で満たしたNOKKOのボーカルを聴いていきましょう。

まずは、アルバム『Maybe Tomorrow』のタイトル曲=「Maybe Tomorrow」でしょう。できれば全編聴いていただきたいのですが、お時間の無い方は、曲の4分35秒あたりからの、「♪ Maybe Tomo《rrow》」の《 》内のロングトーン・ボーカルをお聴き下さい。

どうでしょう? この、抜群の音程と声量で、みずみずしく響き渡るボーカルは。あまりにも個性的なボーカルだったため、「NOKKO=優秀なボーカリスト」だとは、当時ほとんど語られなかったと記憶しますが、あれから30年を超えて、今これを聴けば、そういう聴き方をしなかったことが、いかにもったいなかったかと思ってしまいます。

早稲田祭で実感、レベッカ・NOKKOの圧倒的なパフォーマンス


そして、極めつけは、1986年11月1日、早稲田大学の学園祭=『早稲田祭』で行われたライブにおける「プライベイト・ヒロイン」です。実は私、早稲田大学の1年生として、この場に居合わせていました。

大阪から上京してきた1年生。初めての大学祭なので、一応、行っておこうと足を運んだのですが、知り合いもいないし、天気も悪いので、帰ろうか思っていたら、レベッカが来るという噂が流れてきたので、文学部のある戸山キャンパスに向かったのです。

行ったら、すでにかなり人が集まっていて、そこにレベッカが登場、どんどん盛り上がっていくのに気後れして、穴八幡宮の方から遠巻きに見つめていました。

今から考えると、この圧倒的なパフォーマンスに、なぜもっと近づかなかったのか、飛び込まなかったのかと悔やまれます。そういう意気地なしの少年が、30数年後に音楽評論家になっている。人生とはそんなものでしょう。

『早稲田祭』でのNOKKOを見て頂くとわかるのですが、これは音楽というより、もうスポーツの領域です。少なくとも、80年代の日本ロック界を代表するライブパフォーマンスの1つであることは言うまでもありません。意味もなく「ざまあみろ」と叫びたくなります。

このライブを体験した若者たちの多くは、もう50歳を超えています。みんな元気でしょうか。今でもレベッカを、そしてロックンロールを聴いているでしょうか――。

最後に。

早稲田祭ライブ全6曲の完全版が収録されたDVD 2枚組『REBECCA LIVE ’85-’86 -Maybe Tomorrow&Secret Gig Complete Edition-』は、2017年7月26日に発売されました。


※2017年10月29日、2018年11月1日に掲載された記事をアップデート

BOØWY 40thアニバーサリー特集「ライブハウス武道館へようこそ」

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2021.11.04
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ひろ
いかに彼女がパフォーマーとして、何よりボーカリストとして凄かったのかがビンビン伝わってくる映像です。ちなみに個人的レベッカのベストは『London Boy』でした。
2018/01/29 21:55
3
返信
1967年生まれ
パックンチョ。
実は、当日会場にいました。REBECCA目当てではなく、早稲田祭を見に行ったら、やたら盛り上がっていて“なんだコリャ?”と思った記憶を思い出しました。
2017/11/09 14:21
1
返信
1966年生まれ
太田秀樹(ohtachan)
この早稲田祭の映像はすごい。当時、見に行こうとしたけど面倒くさくなって行かなかった事を覚えている。パフォーマンスはもとより、今につながるライブ映像収録のプロトタイプ。
2017/10/29 11:58
2
返信
カタリベ
1966年生まれ
スージー鈴木
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