共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.6 Ride Like The Wind / Christopher Cross 80年代女性アイドルで「風立ちぬ」といえば、かの松田聖子が歌った大瀧詠一入魂の極上ポップソング以外の何物でもない。 では80年代洋楽ヒットでといえば、それはもうクリストファー・クロスのデビューシングル「Ride Like The Wind」で満場一致だろう。 80年代の幕開けとともに颯爽と登場し、1980年4~5月にかけて80年代突入後4番目に生まれた最高位2位ソングとなったのが、「Ride Like The Wind」~日本語タイトル「風立ちぬ」だ。 現在65歳のクリストファー・クロスは今だ現役のシンガーとして活躍しているわけで、そのおっさん然としたルックスは当然衆目の知るところだが、今とさほど変わらない36年前のふくよかなおっさん青年的な見目をあえて隠してデビューしたことは(当時28歳)あまりに有名な事実である。 「風立ちぬ」のヒットからほどなくしてリリースされた初アルバム『南から来た男(原題:Christopher Cross)』は、全米1位を獲得したセカンドシングル「セイリング」の後押しもあって日米、いや全世界で大ヒットアルバムとなった。 アルバムのジャケットにはフラミンゴのイラストをどーんと配して本人の写真を一切使用しなかったのは、レコード会社側のあえて意図したところだったのだろうが、透明感のあるハイトーンボイスと類まれなるソングライティング能力で勝負に出たその戦略は見事に当たった。 新人としてデビューした年に一気に大ブレイクを果たしたクリストファー・クロスは、グラミー賞においても前人未踏にして今だ破られぬ大記録を打ち立てている。 翌81年第23回グラミー賞にて、「アルバム・オブ・ザ・イヤー」「ソング・オブ・ザ・イヤー」「レコード・オブ・ザ・イヤー」、そして「ベスト・ニュー・アーティスト」の主要4部門を同時受賞したのだ。 これはビートルズもローリング・ストーンズもスティーヴィー・ワンダーもマイケル・ジャクソンも成し遂げられなかった大偉業である(新人賞がある限り新人とみなさられる時期しかチャンスはないというのもあるが)。 マイケルの『スリラー』(84年グラミー賞)が、サンタナの『スーパーナチュラル』(00年グラミー賞)が、いくら最多8部門だ9部門だ受賞していても、新人の年に突出した活躍をしなければ主要4部門受賞は成しえない。 クリストファー・クロスが後世までその名を轟かせているのは、それなりの素晴らしい理由があるということである。 80年代のクリストファーは、映画『アーサー』の主題歌「ニューヨークシティ・セレナーデ(Arthur’s Theme ~ Best That You Can Do)」、「オール・ライト」、「忘れ路のローラ(Think Of Laura)」といったヒット曲をいくつか放っていたが、いわゆるスーパースターたちと比べるとそれほどヒットソングの数が多いわけではない。 AOR文脈で獲得した人気という要素もあるとはいえ、日本でキープされている長い人気の方が特筆すべきなのかもしれない。 脚注: 「Ride Like The Wind」(80年2位) 「Sailing」(80年1位) 「Arthur’s Theme ~ Best That You Can Do」(81年1位) 「All Right」(83年12位) 「Think Of Laura」(84年9位)
2016.07.07
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