2023年 11月5日

シティポップ・マエストロ【林哲司インタビュー】③ 偉大な作曲家・筒美京平との違い

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林哲司のコンサート「ザ・シティ・ポップ・クロニクル 林哲司の世界 in コンサート」開催日
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歌謡曲の世界で絶対的な存在だった筒美京平


―― これまで多くの作品を手がけられて、最初にアレンジの依頼があってご一緒されたという筒美京平さんは、やはり歌謡曲の世界で絶対的な存在だったと思います。林さんは筒美さんの一番の後継者ではないかと。洋楽を取り入れてらっしゃったりとか、ご自身で編曲もされたりとか、そういうところを重ね合わせてもすごく感じるところがあるんですけれども。

林哲司(以下、林):それはもう偉大な先輩ですから。なんて言ったらいいのかな、目の前のものすごく巨大な参考資料ですよね。それは作風とかじゃなくて、作曲家としてのスタンスに始まり、極端に言うと、そのヒットメーカーの作曲家を形作るプロデューサーとしての見解とかが見えてくるんですよね。とにかく得るところがものすごく大きかった先輩ですね。ほかの作曲家のみなさんとは違っている、いわば孤高の人っていう感じがして。音楽業界の人のもつ雰囲気というより、アスリートのようなイメージ。つまり群れてないっていう意味で。僕も似たようなところはあるかもしれませんが、後継者なんて言っていただけるのはすごく光栄なことなんですけど、一作曲家として見た時に、自分と京平先生の個性は全く違うと思いますよ。



京平先生はとにかくヒット曲を書くことに拘った偉大なホームラン王でしたから、時代とかアーティストに対して、時には変化球でも自分のフォームを変えてまでもヒットやホームランに持っていく技を持っていらした。マッチ(近藤 真彦)の曲と「魅せられて」とは全然違うじゃないですか。だけど、僕の場合は、自分の理想としてヒットメーカーになりたいと思っていたけど、「この作品を書いたのはもしかして林?」って言われるような、作風に個性をもった作曲家でありたいと思っていますから。かつて自分がバート・バカラックに感じていたように、このメロディやフィーリングはバカラックだよなと思い、その曲をたどっていくと彼に繋がる。この曲も、この曲もそうだというように、その個性に魅了される。そうした感性や個性でファンの人たちと一体になれる、おそらく僕はそういうタイプの作曲家になりたかったんだと思っているんですよね。

―― 筒美さんはヒットの使命を課せられながら、変幻自在のメロディを書かれていた印象がありますね。

林:はい。それぞれのアーティストに対して、自分がどういうバッティングをすればいいか、どうしたらヒットを出せるかっていうことに対して、 ものすごく研究されて、その上で巧みな答えを出していくという、天才的な作曲家であって。“ヒットメーカー” っていうのは、正しく京平さんのためにあるような言葉ですよね。僕はヒットメーカーって言われちゃうと、実際ヒットから外れている時代もあるんで面映いんです。記録なのか記憶なのかって言われると、明らかに数字よりも記憶に残る作品を書きたいというスタンスですね。自分が時代を追いかけるというより、たまに時代が寄ってくるっていう感じですかね。

―― それでもあれだけのヒット曲を生み出されていることに、筒美さんと同じ作曲家としての矜持を感じます。

林:先生の追悼コンサートの時に歌われた作品群を聴きながら、僕がついニヤっとしてしまったのは、本来の京平さんならではのメロディーが時々垣間見える時があるんですよ。あ、曲の中に京平さんがいたねっていう。その他のところは京平先生がヒットメーカーとして計算して書いているところだから、同じ作曲家としてその技術的なところを感じる時があるわけです。「京平先生、ここはもう職人としての技術で書いているな」っていうね。本来の京平さんが持っている部分、例えば弘田三枝子さんの「渚のうわさ」とかは先生の本質が見えてくるんですよ。いろんな時代の曲があるんだけど、その中で僕が知っているそういう飾らない、やさしい人柄の部分が見えた時は、ホッとしてしまう瞬間があって。僭越ながらも同業者として嬉しくなっちゃうんですよ。



「ザ・シティ・ポップ・クロニクル 林哲司の世界 in コンサート」に寄せて


―― 11月5日に行われる今度のコンサート(『ザ・シティ・ポップ・クロニクル 林哲司の世界 in コンサート』)は、音楽監督が萩田光雄さんと船山基紀さんという、ある意味で鉄壁の布陣ですね。

林:それはね、このコンサートを企画した方の託宣ですけどね。普通に考えれば音楽監督は僕じゃないですか。ですが、これはもうヤマハ時代から同じ屋根の下で育ってきた3人ですから。絶対的に信頼のおけるおふたりがサポートしてくれるっていうのは、自分としても願ってもないことですけど、逆に彼らはやりにくいっていうことはないのかな。プロフェッショナルに割り切っているかもしれませんが。今回は作曲家・林哲司のコンサートなんだけど、通常のコンサートと一線を画すっていうのは、はじめにもお話したように、作品が主役だっていうことなんですね。そこにおいては、 彼らのプロフェッショナリティでまとめてもらった方がいいんだろうなっていう判断があったので、それはお受けしました。

僕の方の希望としては、 京平先生の追悼コンサートから船山さんがずっとやられてきたから、それだったら自分の3ヶ月先輩にあたる萩田さんにもサポートしていただけると、当時の3人が一緒に一つの舞台を作り上げることができるってことは嬉しいっていう話をしたんですね。

このふたりがバックアップしてくれるってことは、音楽通の人たちにとってみると嬉しいことでしょう? 本当にありがたいことだなと思います。

伊東ゆかり、寺尾聰… またとない顔ぶれ


―― 本当にまたとない顔ぶれだと思います。大ベテランの伊東ゆかりさんもご出演されますね。



林:嬉しいですね。寺尾聰さんも。自分だけで考えていたら、ここまでのラインナップは揃わなかったと思います。そういう方たちが入ってくださることによって、自分の作品を幅広く聴いていただけると思います。このコンサートの作り方を見ながら、昔のように自分のクリエイティビティを押し出すってこととはまたちょっと違う局面に来てると解釈しているんです。いろんな人たちが集まって、アイディアを出してくれて、自分でもそれを受け入れられるような歳になってきたなっていうことを感じるし。もちろんどう考えてもダメなものはダメですけど、言われたことに対して、こういう見方もあるんだなと、随分柔軟になったなと我ながら思う。

如実に感じるのが、プロデュースワークが昔と変わってきたっていうこと。若いスタッフとやりながら、彼らから引き出したい、若手が求めるものと自分が自分に求めるもの、それに折り合いをつけながらものを作ってゆく楽しさを今は味わっています。逆にこちらの世界に来いよって言ってパッケージングしていた時代とはまたちょっと違う。それはそれで、そういう自分のカラーでまとめることも面白かったんですけどね。衝突もありましたけど。

―― 今回は半分ぐらいは客席から見られるようなお立場でもあるわけですね。

林:それはあるかもしれない。自分は出演者の1人としてクレジットされてますから、何を歌おうかなっていうのもたしかにありますね。

僕が書いてきた作品が主役になっているコンサート


―― 今度のコンサートには、いわゆる青春時代に林さんの音楽を聴きながら過ごしたお客様がたくさんいらっしゃると思います。最後にその世代へ向けて、さらにはシティポップをきっかけに林さんの音楽に触れた新たな世代にも向けてのメッセージをいただけましたら。

林:今回は「林哲司の世界」ということで、僕が書いてきた作品が主役になっているコンサートですけど、これだけのアーティストが 一堂に会して、次々に自分の作品を歌ってくれる中で、きっと林哲司の実像や世界観みたいなものが見えてくると思います。長時間になりますが、たっぷりとその世界に浸っていただきたいと思いますし、その中でご自分の過ごした時代、過去にこの曲が流れていた時を思い出すと同時に、その世界に戻っていただければな、っていう気持ちでいっぱいです。最近になって聴いていただいている方々にも、作品自体は昔でも、新鮮なものとしてお届けできるはずです。ぜひ楽しんでください。


Information
~林哲司 作曲活動50周年記念 オフィシャル・プロジェクト~ ザ・シティ・ポップ・クロニクル 林哲司の世界 in コンサート



2023年11月5日(日)東京国際フォーラム ホールA 16:00開場 / 17:00 開演
全席指定 15,000円(税込)
チケット発売中!

■ 出演
杏里 / 伊東ゆかり / 稲垣潤一 / 上田正樹 /エミ・マイヤー/ 菊池桃子 / 国分友里恵 / 佐藤竹善 / 杉山清貴 / 杉山清貴&オメガトライブ / 鈴木瑛美子 / 寺尾聰 / 土岐麻子 / 林哲司 / 松城ゆきの /松本伊代 / 武藤彩未 / Little Black Dress  
※50音順。都合により出演者が変更になる場合がございます。予めご了承ください。

■ 音楽監督
萩田光雄 / 船山基紀

■ 演奏
SAMURAI BAND
今剛(Guitar)/ 増崎孝司(Guitar)/ 富樫春生(Keyboards)/ 安部 潤(Keyboards)/ 髙水健司(Bass)/ 江口信夫(Drums)/ 斉藤ノヴ(Percussion)/ 高尾直樹・大滝裕子・稲泉りん(Chorus)/ ルイス・バジェ(Trumpet)/ アンディ・ウルフ(Saxophone)

■予定演奏曲目
真夜中のドア 〜stay with me / September / 北ウイング / ふたりの夏物語 NEVER ENDING
SUMMER / 卒業 -GRADUATION- / 悲しみがとまらない / 思い出のビーチクラブ / 天国にいちばん近い島 / 悲しい色やね / SUMMER SUSPICION /デビュー 〜Fly Me To Love / The Stolen Memories / 入江にて / 強がり / Just A Joke / 信じかたを教えて / If I Have To Go Away / 悲しみがいっぱい / 逆転のレジーナ / 戀
and more…

■ オフィシャルサイト
https://tetsuji-hayashi-live.com

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2023.10.01
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