「みんなのノリが最高だったよ。特に今日はステージ裏のやつらがクレージーだった。日本人は比較的おとなしくステージを見るタイプかと思っていたけど、あんなに楽しそうに踊っているやつらもいるんだね。こっちもついステージ裏に向かって演奏しちゃったよ」
そんな趣旨のインタビュー記事がミュージックライフだったか、バーンだったかに掲載されたの読んで大喜びしたのを覚えている。そう、そのクレージーなやつらは僕たちのことだ。
1990年5月16日の日本武道館、この日はモトリー・クルーの『ドクター・フィールグッド・ツアー』の最終日。親友のHくんと一緒に行ったこの時のツアーは、贅沢にも初日と最終日の2回武道館に足を運んだ。
初日はアリーナのかなりいい席で観ることできたので大満足だったんだけど、最終日は残念ながら1階スタンドのステージがあまり見えなさそうな席。案の定、会場に入ってみるとあまりステージが見えないどころか、ほとんどステージに真裏に近い。
これじゃメンバーの後ろ姿しか見えないよ、いくらなんでもこんな席売り出すなよ、とウドー音楽事務所に悪態をつきつつ、コンサートが始まる。
ところが、いざコンサートが始まると、すぐにこの席がなかなか面白いことに気付くことになる。とにかくステージが近いので、手を伸ばせばメンバーに手が届きそうだ。
ステージ裏のスタッフの動きも良く見え、まるでバックステージパスを手に入れてスタッフ目線でコンサートを鑑賞している感じ。アリーナで観た初日とはまったく違う楽しみ方でコンサートを体験することができたんだ。
特に最高だったのは、このツアーに帯同していたナース姿で踊りまくるバック・コーラスの女性デュオ、ナスティ・ハビッツが近い近い。
まさに、お色気たっぷりの二人と同じフロアで一緒に踊っている感じ。このエリアの席にいた僕たち以外の人たちも、多分同じ気持ちだったと思う。どうせメンバーの後ろ姿しか見れないなら、開き直って踊りまくるしかないと。
前述のインタビュー記事はギターのミック・マーズの言葉。ミックは踊りまくる僕たちに気付いて、結構こっちを向いて演奏してくれたんだよね。そのうちヴォーカルのヴィンス・ニールもこっちを向いて歌ってくれたりね。結果大満足の武道館だったという思い出。
『ドクター・フィールグッド』は1989年9月に発売されたモトリー・クルー5枚目のアルバムで、全米チャート1位を記録し、アメリカだけで700万枚を売り上げたモンスターアルバムだ。収録曲の「ドクター・フィールグッド」と「キックスタート・マイ・ハート」はグラミー賞のベスト・ハード・ロック・パフォーマンスにノミネートされたほど。
歴史に残る名盤のひとつです。
2016.07.02
YouTube / wimpyliberalbuster32
YouTube / ioannis agapitidis
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