7月10日

B'z、X JAPAN、ZARD… ブリザードが90年代のビッグネームに与えた影響

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ブリザードのデビューアルバム「暗黒の聖書 ~ BLIZARD OF WIZARD」が発売された日
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photo:Warner Music Japan  

約1年半ぶりのニューアルバム『NEW LOVE』をリリースする B'z。その歴史や成り立ちを辿ると、80年代のジャパメタシーンに帰結していくのは、ファンの間でも知られたことだろう。

B'z を生んだビーイングの歴史を彩るアーティストの中で、稲葉浩志が影響を受けたラウドネス、松本孝弘がサポートを務めた浜田麻里などに加え、彼らとの関わりで浮かび上がるのが、“ラン” の愛称で呼ばれたギタリスト、松川敏也率いる美形ジャパメタバンドのブリザードだ(以下、松川敏也をランと表記)。

そのランが85年に発表したソロアルバム『バーニング~今は亡きランディ・ローズに捧ぐ』では、“Mr. CRAZY TIGER”という謎の人物が全編で歌唱している。オフィシャルには一切触れられていないが、このヴォーカリストが当時まだ大学生の稲葉であることは、熱心なファンの間では周知の事実だ。

黎明期の稲葉の歌唱が聴けることから、『バーニング』は80年代ジャパメタ随一のレアアイテムとして、中古盤でプレミア価格がついている。ちなみに稲葉は後年、ブリザード後期のアルバムにコーラスでも参加している。

ラン、ブリザードとの接点を持つもうひとつのビッグネームが、X JAPAN のギタリスト、hide だ。X JAPAN もその歴史や成り立ちを辿ると、80年代のジャパメタシーンに帰結していくが、ブリザードのライヴに当時足を運んでいたという hide が、ギタリストとして影響を受けたのがランだったという。

そうした経緯から、90年代に hide がソロ活動を始める際にはランに協力を求めており、実際に94年のファーストソロツアーに、ランがギタリストとして参加している。

B'z と X JAPAN は、80年代のジャパメタムーブメント終息後に、HM / HR のエッセンスを散りばめた音を、誰よりも一般層にまで浸透させた立役者だ。そんな彼等へと繋がる分岐点に、ブリザード、ランが位置しているのは実に興味深いことだ。

ブリザードは、のちに音楽シーンを席巻する以前のビーイングに所属し、デビューに際してのメンバー選びもスカウトやオーディションで行うなど、事務所主導のプロデュースで世に送り出されたバンドだった。以前のコラムで書いた X-RAY のケース同様に、ライヴ活動も殆どないままに、いきなりメジャーのワーナーからアルバムをリリースした。

全員が若くてイケメン揃いであることを前面に押し出した異例のコンセプト。特にシーン随一の美形のランは、その雰囲気が酷似していたことで「和製ランディ・ローズ」と呼ばれた。ギターとドラムスで双子の村上兄弟は、二人そっくりな甘いマスクで、女性ファンへのアピールは絶大だった。

しかしながら、こうした方向性はコアな男性ファンが多いHM / HRおいて、もろ刃の剣となった。さらに、ライヴシーンからの叩き上げのバンドが評価される中で、ライヴ経験の少なさやジャーニーからの提供曲が2曲も収められた音源等、“作られたバンド感” があまりに色濃く出てしまったことがHM / HRファンの過小評価に繋がってしまったと思う。

実際には、彼らは決して見てくれだけのバンドではなかった。大半の楽曲を手掛けた、ランのランディ・ローズが憑依したような叙情的なギタープレイは、ギターヒーローとして男性からも羨望を受けるに十分だった。個性の強いハイトーンヴォイスの下村成二郎や、確固たる実力を持ったプレイヤー陣も、作を追う毎に着実な成長を遂げていった。

ブリザードは84年から90年までの間に、ワーナー、CBSソニーと一貫してメジャーレーベルを渡り歩き、7枚のアルバムを残している。典型的な80年代のジャパメタサウンドを標榜した前期から、次第にサウンドの完成度を高め音楽性の幅を拡げていった後期にかけて、どれも甲乙付けがたい良作揃いだ。

ハードさとメロディアスさが絶妙なバランスで同居した音楽性や各メンバーのキャラを際立たせた美しいルックスイメージ等、後生のアイドル的なロックバンドやヴィジュアル系バンドにもヒントを与えたのではないか。

さて、ビーイング系アーティストの中でラン、ブリザードとの関係が見えてくるのが、坂井泉水のソロユニット、ZARD である。「BLIZARD」が転じて「ZARD」と名づけたのでは? という、冗談とも本気ともつかない説まで囁かれるが、両者に幾つかのつながりがあるのは事実だ。

ZARD のファーストシングルのカップリング曲「愛は暗闇の中で」の原曲は、ブリザードの6作目『SHOW ME THE WAY』に収録された「エンプティ・デイズ」で、両者を聞き比べると面白い。さらにランは ZARD「汗の中でCRY」を作曲しているが、いかにもランらしい切なさを感じるメロディアスなハードロックに仕上がっている。

ほかにもビーイング系で、TUBE の前田亘輝のソロアルバムに、ランが楽曲提供やゲストギタリストとして参加するなど多方面での活躍を確認できるが、ランは96年頃を境に音楽シーンから距離を置いてしまう。

広義な日本の音楽シーンで、ブリザードは商業的に大きな成功を納めたとは言えない。けれども、90年代以降の音楽シーンでのビッグネーム達にさまざまな形で影響を与えた意味は、決して小さくはなかったことは間違いない。そして、ルックスの美しさだけでなく、その残された彼等の楽曲の美しさにこそ、最大の魅力と価値があったのだと改めて思えるのだ。

2019.05.29
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