80’s Idols Remind Me Of… vol.8
ティーンエイジ・セレナーデ / 里中茶美
2018年、「U.S.A.」のヒットによって DA PUMP が再ブレイクを果たしている。度々メディアに登場する ISSA を目にするにつれ、およそ30年前に颯爽とシーンに出現した、あるひとりの女性アイドルシンガーを思い出す。そう、里中茶美だ。
1989年にデビューしたアイドルシンガー、里中茶美は、何を隠そう ISSA の3歳上の姉である。13歳の彼女がデビューした時、ISSAはまだ10歳、もちろん DA PUMP が世に出ているわけでもなく『沖縄から元気でかわいい中学生現る』という謳い文句でアイドルシーンに打って出たのが里中茶美だった。
さて1989年といえば、活況を呈した80年代ピン・アイドルシーンもかなり陰りが見えてきた時期。正統派アイドルのデビュー数が激減した訳ではないが、大方は80年代前半~中盤期の幻想を追いながらも鳴かず飛ばず状態に陥るというパターン。飛び道具的なスタンスで台頭した Wink と森高千里のふたり勝ち時代に突入、90年代に襲来した「アイドル冬の時代」が静かな足音を立てながら近づいてきていた。
そんな中でも里中茶美は、ポニーキャニオンが鳴り物入りで立ち上げた HeBeE(ヒービー)レーベル第1号シンガーとして「ティーンエイジ・セレナーデ」(89年4月リリース)でデビューした。彼女のデビュー時の印象はというと…
とにかくかわいい!
めちゃくちゃかわいい!
ちょっと上を向いた鼻もご愛敬に、すこぶるかわいい!
もちろんシンガーデビューするにあたって、大抵の子は一定のハードルをクリアしたかわいさを擁しているのは確かではあるが、(個人的な好みではあるかもしれないけど)里中茶美の「アイドル的かわいさ」の素養はピカイチだったと今でも確信している。
ほぼ同時期ならば、島田奈美、伊藤美紀、小川範子、本田理沙(完全に個人的好み!)にも匹敵するとでも言えばいいか… いや、それ以上か。少なくとも筆者には里中茶美が、アイドル冬の時代突入直前の救世主に思えたということだ。そして、偶然にもこの頃私はポニーキャニオンの地方セールス担当として働いていた。CD ショップにポニーキャニオン作品を1枚でも多く仕入れてもらう仕事だ。
当然、里中茶美のデビューシングル「ティーンエイジ・セレナーデ」には、人知れず大いなる力を注いだのは言うまでもない。力の注入が乗じて、担当ショップの中でも、全国レベルで1、2を争うアイドルに強い店でインストア・イベントまでブッキングしたほど―― 類まれなる逸材に厳しいアイドル戦線をサバイブして欲しくて、裏方の立場から応援電波をビンビンに送っていたんだな。
結局、里中茶美は90年までに5枚のシングルとアルバム『Cotton Candy』をリリースするも特段ブレイクすることなくシーンから消えていった。もしかしたら彼女は、89年から90年という短い期間に咲いていた、幻の徒花だったのか…
2018.12.09
YouTube / PiITYAN channel
「里中茶美」SINGLESコンプリート - EP
Information