10月12日

80年代の大学音楽サークルでチャカ・カーンがもてはやされた理由は?

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チャカ・カーンのシングル「I Feel for You」がリリースされた日
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photo:The FlinterFiles  

チャカ・カーンの名前を聞いたら、多くの人が「フィール・フォー・ユー(I Feel For You)」を思い出すだろう。この曲は、今は亡きプリンスのカバーであり、今は亡きアリフ・マーディンがプロデュースした彼女の最大のヒット曲である。そしてこの曲のイントロには、もの凄く印象的な2つのポイントがある。

1つ目は、ヒップホップのオリジネーターの一人であるメリー・メルによる「Ch-ch-ch-chaka-chaka-chaka Khan……」というラップだ。これはアリフ・マーディンのアイデアだったが、この曲によってラップがメインストリームに持ち込まれたとも言われている。

2つ目は、このラップに続くスティーヴィー・ワンダーのハーモニカである。実はチャカとスティーヴィーには縁があって、彼女のキャリア初のトップ10ヒットが、ルーファス時代に発表されたスティーヴィー書き下ろしの「テル・ミー・サムシング・グッド」であった。

いずれにせよ、この曲はヒップホップの先駆けとも言える先進的なサウンドで、デイヴィッド・フォスター作のバラード「スルー・ザ・ファイア」と共にヒットした。しかし、当時、僕たち音楽サークルの人間にとってのチャカ・カーンとは、決してこの頃の完成度の高いポップス作品を指してはいなかった。

もしかしたら僕の大学だけだったかもしれないが、当時の音楽サークルのおそらく半数位の人間が、クロスオーバー、フュージョン系の音楽を志向していた。その手の音楽は聴き心地が良いこともあるが、それ以上にプレーヤーにとっては技術的にチャレンジングな曲が多く、コピーに成功した時に快感を得られるということも大きかった。

ところが、殆どの曲がインストゥルメンタルだったから、ライブや学園祭で演ってもイマイチ盛り上がりに欠けてしまう。そこでセットリストにボーカルものを入れようと考えた時に、チャカ・カーンが選ばれることが多かったのだ。例えば、ルーファス時代にクインシー・ジョーンズ軍団の支援を得た『マスタージャム』や、ソロとして発表した『恋のハプニング(What Cha' Gonna Do For Me)』などは、演奏欲求を掻き立てるのに十分な作品だったし、インスト曲に挟んでも違和感がなかった。

とは言え、日本にチャカ・カーンのように歌えるボーカリストが、ましてアマチュアの中にいるはずはない。つまり、いつも女子の誰かが無理を強いられていたことになるが、それはそれでやむを得なかったということだろう。


I Feel for You / Chaka Khan
作詞・作曲:Prince
プロデュース:Arif Mardin
発売:1984年10月12日


脚注:
■ Rufus featuring Chaka Khan
「Tell Me Something Good」(74年8月24日3位)
『Masterjam』(79年11月24日 14位)※アルバム

■ Chaka Khan
『What Cha' Gonna Do For Me』(81年5月16日 17位)※アルバム
「I Feel For You」(84年11月24日3位)
「Through the Fire」(85年5月25日 60位)

2016.09.30
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