2018年のハイライトがボン・ジョヴィの殿堂入りだったことは誰にも異論はないはずだ。まず彼らを紹介しステージに呼び込んだのはアメリカを代表するラジオ DJ ハワード・スターンで、彼自身もスーパースター級の存在である。ところがバンドの面々が登場した瞬間、桁違いのオーラと観客の熱狂が会場を一気にボン・ジョヴィのコンサートアリーナに変えてしまった。そして、そこで普段のライブでは決して観られないシーンが展開したのである。
家族よりも近い存在として奇跡のような音楽の旅を続けてきたバンドには、想像を絶するような危機もあったことだろう。しかしジョンが最後に両腕を大きく伸ばして全員とハグした瞬間、全てのわだかまりは氷解し、観客もビデオを観ている私たちもが彼らと一緒に長い旅を続けてきた旅人として、一つのエピソードを一緒に終えた気持ちになった。続いての演奏、「禁じられた愛(You Give Love A Bad Name)」「ホエン・ウィー・ワー・アス」「リヴィン・オン・ア・プレイヤー」はまさにボン・ジョヴィと世界のファンとのセレブレーションになったのである。
殿堂入りアーティストとしては、80年代のニューウェーブバンド、ザ・カーズが「ユー・マイト・シンク」などのヒット曲を演奏。そして60年第後半にプログレというジャンルを確立、今も活発な活動を続けるムーディー・ブルースが「サテンの夜(Nights In White Satin)」などを披露。一方で残念だったのは、ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーが出演を辞退したことである。