高校生活最後の文化祭で、バンドを組んだことがある。私が通っていた高校は男女仲がよかったが、なぜかバンドは男女しっかりと分かれ、男女混合バンドはほとんどなかった。複数の男子バンドがカバーしていたのが、ザ・モッズ。さんざん青くさい「激しい雨が」を聴かされた記憶がある。一方、女子バンドに人気が高かったのが、当時大ヒットしていたアン・ルイスの「六本木心中」。私がいたバンドも、この曲をカバーした。 「六本木心中」は好きだ。でも、「ヒットしすぎてて、なんか安直」と、ベース担当の私はこの曲を演奏することを反対した。ベース初心者で、一番バンドの足をひっぱってたくせに。 ちなみに他の演奏曲は、シンディ・ローパーの「タイム・アフター・タイム」、ローマン・ホリデイの「涙のラスト・クルーズ(Hear It In The Night)」、ブライアン・アダムスの「サムバディ」とアダムスもう1曲(何だったか、どうしても追い出せない)。高校生ガールズバンドとは思えない、地味めな曲ばかり。 私はプリテンダーズを押したのだが、メンバーに即却下された。「プリテンダーズなんて、誰も知らないよ。せめて1曲は、誰もが知ってて盛り上がる曲を入れよう」と、リーダー兼ギターで、ブライアン・アダムス好きの佐藤さん。他のメンバーも「六本木心中」押しだったため、私は折れた。 結果、この曲を入れたことは大正解。5曲の中で最も盛り上がり、邦楽大ヒット曲の威力を思い知った。それに、ベースはさほど難しくないし、なんだか他の曲より気持ちよく演奏できるのだ。バブルを象徴するアッパーな曲という印象が強い「六本木心中」だが、私には高校時代の思い出の曲になった。今も耳にすると、ベースラインを追ってしまう。他の4曲は忘れてるけど、これだけはまだ弾けるんじゃないだろか。 そういえば、2曲演奏したブライアン・アダムスはあまり盛り上がらなかった。せめてアダムスは1曲にして、プリテンダーズの「恋のブラス・イン・ポケット」やりたかったなぁ。ね、佐藤さん。
2017.02.02
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