留守番電話が一気に普及、「LULLABY IN BLUE」の歌詞に注目
独身男女の必須アイテム “留守電” がついに歌詞に登場! 1987年発売の横山輝一6枚目のシングル「LULLABY IN BLUE」は、こんな歌詞から始まります。
留守番電話に 君のメッセージ
誰に聞いたの 僕のナンバーを
今でこそ当たり前の留守番電話ですが、この曲がリリースされた当時は、留守電機能付きの家庭用電話機が一気に普及したころで、留守電は一人暮らしの独身男女に必須のアイテムでした。この曲を聴いて、「おぉ、ついに留守番電話が歌詞に登場したぞ!」と思った記憶があります。
吐き捨てるように忘れたかったよ
ドアに隠れた君のラブシーン
ショッキングなシーンです。彼女を驚かせようと部屋を訪ねたら、別の男と抱き合っていた。この時代の恋愛市場は圧倒的に女性が有利でした。ボーイフレンドが複数人いる女性も多かったと思います。角松敏生の「サンタが泣いた日」も同様の歌詞がありますが、“彼女は自分だけのもの” と思っていたら、ほかにも付き合っている人がいた、なんて苦い経験のある男性はけっして少なくないはずです。
だけどさよなら決めた恋だぜ
冷たい受話器に背中向ける
この曲は自分を裏切った彼女からの留守電メッセージに気持ちが揺れながらも、最後は自分の意地を貫き通し、彼女からの電話に背を向ける、そんな若き男性の葛藤を描いた曲なんですね。
バブル経済まっさかり、デートコースはプールバー!
歌詞だけを読むと、まるでイケてない軟弱な男性に思えますが、横山輝一は長身でスリム、端正な顔立ちと、とってもイケメンなのです。甘い歌声もあってファンは圧倒的に女性が多かったのですが、歌詞が若者の恋愛観にマッチしたところもあり、一部の男性からも支持を得ました。
そしてもうひとつ、「LULLABY IN BLUE」のCDシングルにカップリングされている「Freedom」の一節にも注目したいところです。
退屈しのぎに
今日も呼び出されたね ビリヤード
横山輝一が脚光を浴びた時代はバブル経済まっさかり。イタリアンレストランで食事のあとはプールバーでビリヤード、それは流行りのデートコースでもありました。この「Freedom」もそうですが、横山輝一の曲にはさりげなく当時の流行を取り入れた歌詞が使われています。横山輝一はバブル景気の華やかな時代に乗ったミュージシャンでもあったのです。
活動休止から渡米、90年代には「Lovin' You」が大ヒット
しかし1989年にアルバム『YOU GOT IT!』と、ベストアルバム『A Long Good Bye』をリリースした後、横山輝一は活動を休止し渡米します。そして2年後の1991年に日本へ戻り、リリースしたアルバム『JACK』は前面にブラックミュージック色を押し出し、ラップも取り入れた、今までの明るくポップな曲とは異なったアルバムが完成します。
アルバム『JACK』と同時発売のシングル「Come On D.C.」そして「EX GIRLFRIEND」と、R&B色の強いシングルが新たなファンを引き寄せます。1992年には再びポップ色の強い「Get Love」をリリースの後、1993年2月には横山輝一最大のヒット曲「Lovin' You」が誕生するのです。その後はZOOに「YA-YA-YA」、MAXに「Ride on time」の提供と、活躍の場を広げたことは皆さんもご存じのとおりです。
現在の横山輝一はファンクラブメンバー限定のライブを行っている模様で、やりたい音楽を自由に演じているのでしょう。最近では彼の音楽を聴く機会も少なくなりましたが、テレビでバブル時代の映像を見るたび、「♪ 留守番電話に君のメッセージ」と口ずさんでしまうのです。
2020.06.19