ずっと昔のこと、あれは大学生時代でしたが、黒澤明監督の『羅生門』という映画をみて、やたらと感心した覚えがあります。
ストーリーはというと、夫妻が森の中で山賊に襲われ、旦那が殺される。それで裁判になる。でも目撃者や当事者の証言が食い違うから、犯人が誰だか分からない。
残された妻、山賊、挙げ句の果てには、死んだ夫まで霊媒に呼び出されて事の次第を語るのですが、どうも話がかみ合わない。目撃者も現れて、これでやっと解決なんて思いきや、それでもやっぱり決着がつかず裁判官お手上げ、というお騒がせムービーです。
なぜ話がかみ合わないかといえば、妻は夫と別れたいと考えたとか(不倫願望)、目撃者は残された金品を着服したとか(拾得物横領)、どうも触れてほしくない弱みがあるために、自分なりのストーリーを創りあげているようで疑わしい。唯一尋問をしている裁判官だけは利害関係がなさそうですが、それでも早く面倒な裁判を終わらせたいとか、名裁判官の名声がほしいのでは? なんて疑い始めるとどうなんでしょうか。
さて、僕は最近になってようやく、EP-4というバンドに出逢いました。 80年代初頭に京都を中心に活動したグループだったそうです。或る本(毛利嘉孝『ストリートの思想』)で JAGATARA と名前が並んでいたために、つまみ食い感覚で聴いてみました。
そこでCDを買い漁り情報を求めて検索しまくるのですが、どうも正体がつかめない。Wikiではいきなり「日本のニュー・ウェーヴバンド」、先の本では「ファンク」としつつ、「ダンスミュージック」の名と「実験的なインダストリアル・ノイズ系バンドの影響」が挙げられています。家の同居人はこのところのヘビロテにうんざりして、「何この、ヴォーカルのないゲームミュージックのようなのは?」と嫌みをたれています(そもそもゲームミュージックにはヴォーカルはないのでは?)。
市内のレコード屋さんで働く友人は、数年前に京都の再結成ライブに行っていたそうで、彼曰くザ・ポップ・グループに近い。僕は一聴、 YMOと同時期のテクノやキーボードサウンド、ジャズと実験音楽の匂いを嗅ぎつけたのです。
どれもかすっているようでいて、いずれもそうそうこれだという、たった一つの形容が見つからないので日々悶々と過ごしています。正解が見つかれば、さぞ良く眠れるでしょうに。でも,いまさらですかね。
2018.04.10
YouTube / Unit521Tokyo
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