12月1日

オフコースの純然たるクリスマスソング!小田和正 “クリスマスの約束” のルーツがここに?

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オフコースのシングル「愛の中へ / Christmas Day」発売日
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シティポップ・クリスマス vol.4
▶ Christmas Day / オフコース
・作詞:小田和正 · 鈴木康博
・作曲:小田和正 · 鈴木康博
・編曲:オフコース
・リリース:1981年12月1日

オフコースが1981年にリリースした「Christmas Day」


クリスマスはいつから恋人たちが愛を誓い合う日になったのだろうか? 特にポップミュージックの世界では、なにかと愛だの恋だのと結びつけられるもので、どんな季節でもどんなイベントでもラブソング化してしまう。御多分に洩れずクリスマスソングもすなわちラブソングということになり、いまや、そうでないクリスマスソングを探すほうが難しいのではないか。

そんな中でオフコースが1981年にシングル「愛の中へ」のB面曲としてひっそりとリリースした「Christmas Day」は硬派な彼ららしい、純然たるクリスマスソングである。なにを持ってして “純然" なのか、そう思われた方はぜひ一度聴いていただきたい。聖歌や讃美歌といった教会音楽をベースに、静かで厳かな、伝統的なマナーに沿った1曲となっている。曲は鐘と鈴の音に導かれて始まり、オフコースがもっとも得意としていたコーラスワークが全編で楽しめる。一応歌詞には「♪恋びとたち」が登場するものの、ラブソングというわけではない。

オフコースがクリスマスソングを作る理由は?


なぜ彼らがクリスマスソングを作ると、このようになるのか。これには明確な理由がある。ファンにはおなじみの話ではあるが、オリジナルメンバーの小田和正と鈴木康博は、現在も神奈川県横浜市、駅で言うと山手駅と根岸駅のちょうど真ん中に建っている中高一貫校・聖光学院の出身。ここが伝統あるカトリックのミッションスクールで、この聖歌と讃美歌が身近にあった環境のなかで彼らは若き感性を育んでいたのであった。

1964年のクリスマスーー 当時、高校2年生だった小田と鈴木は校内イベントのパーティーでバンドを組む。この時は8人編成で、そこからさらに残ったメンバーがのちに “ジ・オフ・コース” を名乗ることになる。アマチュア時代の彼らが地元の評判をとったのが、ピーター・ポール&マリーやブラザース・フォアといったモダンフォークのグループを精巧にコピーしたコーラスワーク。レコードデビュー間もない頃のオフコースのレコードを聴くと、そこにはさらに讃美歌の要素が含まれていたことがわかる。

ミッションスクール出身であるというバックグラウンド


小田と鈴木の2人組になってようやくリリースにこぎつけたオフコースのファーストアルバム『僕の贈りもの』に「ほんの少しの間だけ」という楽曲がある。驚くなかれ、後半にストリングスが入るものの、大部分は小田と鈴木の2人の多重録音によるアカペラで、文語体を交えた歌詞も格調高い、彼ら流の讃美歌である。“日本のカーペーンターズここに誕生 !!” とアルバムの帯コピーに書かれたように、初期オフコースのサウンドの方向性はカーペンターズやアソシエイションといったソフトロックのグループがよく引き合いに出されるが、ミッションスクール出身であるというバックグラウンドを念頭に入れるとまた聴こえ方が変わってくる。

さらにソフトロック好きにはたまらない楽曲「歩こう」も、例えばエドウィン・ホーキンスの「Oh Happy Day」のようなゴスペルの要素が入っていることに気がつくと、「ほんの少しの間だけ」と並んで、収録されている曲順にも大いに納得ができる。次作以降のアルバムで小田と鈴木がそれぞれソウルミュージックへ傾倒していく道筋もすでに最初から示されていたのだった。

ライブアルバム「LIVE」で聴ける見事なコーラスワーク


松尾一彦、大間ジロー、清水仁を新メンバーに迎えた中期の5人時代はさらにイーグルスなどのロックバンドをお手本に演奏力の高さとコーラスの巧みさに磨きをかけていくことになる。ステージでは初期の頃からレパートリーにしてきたモダンフォークやポピュラー・スタンダードのカバーも引き続き披露しており、その一環で日本の童謡「もみじ(紅葉)」を独自のアカペラアレンジで歌うこともあった。

テレビには滅多に出ることのなかったオフコースだが、FMの音楽番組には頻繁に出演し、レコード化されていない貴重な洋楽カバーで見事なコーラスワークを披露している。公式音源でその雰囲気を唯一伝えているのが、ライブアルバム『LIVE』に収められたファーストアルバムの収録曲「さわやかな朝を迎えるために」。1979年8月、松尾、大間、清水の3人が初めて正式メンバーとして紹介された記念すべきステージでの演奏だった。

オフコースのルーツとしてのクリスマスソング


ここでようやく「Christmas Day」に話が戻る。1978年12月、エフエム東京の『パイオニア・サウンドアプローチ』のマンスリーゲストとして出演したオフコース(大間は盲腸の手術のため欠席)はスタジオライブやトークなどさまざまな企画に参加した。3週目の放送がちょうど12月24日で、番組のためにオリジナルのクリスマスソングを作ることになった、というのがその経緯だった。作曲は小田と鈴木の連名で、ボーカルも2人時代を彷彿とさせるスタイルで一緒に歌っている。



前述したように、この曲がレコードになったのは3年後の1981年で、シングル「愛の中へ」はアルバム『over』と同時発売された。当時は公になっていなかったが、すでに鈴木の脱退が避けられない状況で制作されたこの作品のただならぬ雰囲気はすでにリスナーには伝わっていたようで、シングルのカップリングに小田と鈴木の共作曲が収められたことで、レコーディングが3年前であったことを知らないファンの間では幾分かその不安なムードが和らいだようだ。こうした当時のファンの生々しい証言はネット上をくまなく探すと、個人ブログやネットの掲示板、あるいはYouTubeのコメント欄などで確認することができる。そしてもちろんその半年後には伝説の日本武道館公演が控えているわけで、歴史はなんとも残酷なものである。

2025年、『コンプリート・シングル・コレクション』のリリースと配信によって、「Christmas Day」も含め、これまで歯抜け状態で入手困難になっていたアルバム未収録曲を一度に入手できることになった。リリース当時、「Christmas Day」がファンの心を癒した時間はごく限られた時間だったが、改めてオフコースのルーツとしてのクリスマスソングに耳を傾けてみたい。近年までクリスマスの風物詩であった小田和正のTVスペシャル『クリスマスの約束』で、たびたび大勢のゲストミュージシャンを集めて合唱させていたのも、“クリスマスの聖歌隊” というルーツで1本の線がつながって見えてくるはずだ。

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2025.12.25
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カタリベ
1987年生まれ
真鍋新一
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