6月25日

サザンだ、TUBEだ、アイドルだ!80年代ニッポンの夏うたベスト10

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純国産の夏うたの定番といえば…!


若い頃は夏が一番好きな季節だった。開放的な気分になり、ヒット曲も明るく前向きなものが多い。なんといっても学生にとっては夏休みの存在が大きかったのだ。

昭和の一時期、歌謡界の女王・美空ひばりが「やってきました、日本の夏が」と毎年煽り気味に夏の到来を告げていたのはかなり昔の話。それより前から夏といえばベンチャーズと相場が決まっていた。もはや洋楽と呼べないくらい日本人に馴染んだエレキインストの王者は、現在に至るまで毎年のように来日して夏の高揚感を盛り立ててくれている。

それに対して純国産の夏うたの定番はやはりサザンやTUBEということになるだろうか。さらにアイドルソングは昔も今もしっかりと季節感が盛り込まれているのが特徴といえる。正に今の季節、暑い夏にこそ聴きたい80年代の夏うたを、独断と偏見の下で10曲選んでみた。

青い珊瑚礁 / 松田聖子


1980年7月1日リリース。
とにかく新鮮だった。麻丘めぐみやキャンディーズ等々、70年代に好きになったアイドルはたくさんいたけれど、80年代を迎えたのを待っていたかのように登場した松田聖子には、従来のどのアイドルとも違う何かを感じた。

華奢でちょっと頼りなさげなルックスからは想像出来ない、驚くほど伸びやかで魅力的な歌声。CMで声だけ流れていたデビュー曲「裸足の季節」も気になっていたけれど、テレビの歌番組でビジュアルとともに飛び込んできたこのセカンドシングルのインパクトは絶大だったのだ。

その後どんな名曲を歌おうとも、自分の中ではずっとナンバーワン聖子ソングとして揺るぎない。

君は天然色 / 大滝詠一




1981年3月21日リリース。
不覚にも、初めて大滝詠一の名を知ったのはアルバム『A LONG VACATION』が出てからのこと。たしか友人の薦めでLPを買ったのだが、ドーナツ盤好きの自分は同時発売のこのシングルも一緒に買わずにはいられなかった。永井博の涼しげなイラストに惹かれたところも大きかったと思う。

それまで聴いたことのなかったカラフルなサウンドに魅了され、3月のリリースから夏が近づくほどに何度もかけて、その夏から毎年の愛聴盤となったのだった。40年以上経った今でもまったく古びていない、“ジャバニーズ・サマー・ポップス” 屈指のスタンダードナンバー。

いたいけな夏 / ビートたけし


1981年6月5日リリース。
これは決して奇を衒おうとか、ウケをとろうとかいう選曲ではなくて、純粋に当時から好きな夏の歌なのだ。なんといっても作曲は加瀬邦彦。ちょうど同時期にはザ・ワイルドワンズが約10年ぶりに本格復活を果たしていたタイミングでもあった。ぶっきらぼうなたけしの歌いっぷりがまたいい。

絶好調だった『オレたちひょうきん族』で飛び交っていた “いたいけ” というワードが反映されており、アレンジが伊藤銀次… というのもその辺りとリンクする。漫才ブーム下で新たな湘南サウンドの傑作が誕生した。

守ってあげたい / 松任谷由実




1981年6月21日リリース。
1981年の夏には想い出がいっぱい。自分て同世代の女優・薬師丸ひろ子に普通のアイドルとは一味違う魅力を感じて、グッズを集めたり映画館へ足を運んだ。7月に封切られた2作目の主演映画『ねらわれた学園』は大林宣彦監督によるSFファンタジー。なんだかとても不思議な作品だったがそれが癖になり、何度も観にいってしまった。

その映像に絶妙にマッチしていたのがユーミンの主題歌だったのだ。大ヒットとなり、たった一度だけ出演した『ザ・ベストテン』での歌唱を固唾を飲んで見守ったことを想い出す。今でもあの頃の薬師丸ひろ子の姿と重なって、甘酸っぱい気持ちにさせてくれる。夏の蜉蝣のようなゆったりとした浮遊感、優しさに包まれるメロディである。

夏色のナンシー / 早見優


1983年4月1日リリース。
女性アイドルの “夏うた” の多さはまた格別。松田聖子は別格としても、80年代でもう一曲だけ挙げるとしたら、やはりこの曲になるのでは。もっとも夏が似合う清涼飲料水、コカ・コーラのCMソングに起用され、早見本人も出演した。

いきなりサビから始まる展開で、全編がキラキラと輝いている。ドット柄で切り込みの入ったミニスカートの衣装も可愛かった。作曲家・筒美京平の第2期黄金時代とも呼べる頃に作られた、アイドルポップス史を彩るサマーソング。元・四人囃子の茂木由多加による歯切れのよいアレンジも抜群だ。

高気圧ガール / 山下達郎




1983年4月23日リリース。
シティポップブーム下でアナログ盤が驚くほど高騰しているわけだが、そのおかげで当時を知らない若い世代にも凝りに凝った山下達郎のサウンドが浸透したことも事実だろう。1983年のアルバム『MELODIES』の先行シングルとして出され、全日空のキャンペーンソングとしてヒットした。これ以上ないくらい突き抜けた快活なサマーソング。

後に山下自身が明かしたところによれば、高気圧の溜息は竹内まりやだそう。ムーン・レーベルからの第1弾で、ジャケットデザインともマッチする真っ青なカンパニースリーヴが印象的だった。

YOU惑-MAY惑 / The Good-Bye


1984年7月5日リリース。
80年代の男性アイドルといえば、田原俊彦に近藤真彦、後半になると少年隊が登場してくる。特にトシちゃんやマッチには夏のヒットソングがたくさんあるが、第3の男、ヨッちゃんこと野村義男のバンド、The Good-Byeにとびきりゴキゲンな夏うたがある。それが4枚目のシングルだったこの曲。

野村と曾我泰久のツインヴォーカルを中心に、洗練されたバンドサウンドを展開した彼らだったが、これは最も大衆路線に寄せたオールディーズ風味の歌謡曲といえる。既知感のあるフレーズ満載で、いわゆるノヴェルティソングの範疇に入る一曲かもしれない。

夏の日 / オフコース




1984年7月18日リリース。
東芝EMIからファンハウスへ移籍しての第2弾シングル。その間にメンバー変動があり、少しの間休止した後の活動再開で注目を集めていた時期でもあった。決して派手ではないけれど、ずっと聴きたくなる穏やかな夏の歌。海で遊んだ日の帰り、夏の太陽を浴びて疲れた体を癒してくれるような優しさがある。実際海辺のドライブの際によく聴きながら浸っていた。

それともうひとつ、この曲を推したいのは、ストーリー仕立ての凝ったPVに田中美佐子が出演していたことだ。当時かなり傾倒していた女優の起用が嬉しく曲もますます好きになった。PVの最後にとあるお笑い芸人が出てオチをさらってゆくのもご愛嬌で、クールなオフコースとのギャップの妙がまた良かった。

SUMMER DREAM / TUBE




1987年4月10日リリース。
そろそろ彼らに登板してもらわないと、このコラムのタイトルが嘘になる。別に温存していたわけではなくて、時系列に並べたらこの位置になってしまった。TUBEの登場は、サザンオールスターズ以降、久しく停滞していた湘南サウンドの歴史を繋げたという点でも意義深い。

神奈川の座間市で結成された彼らを湘南サウンドと呼べるのかなどという向きもあったが、ブレずに夏と海の歌を歌い続け、『湘南』と題したアルバムを発表するに至ってそんな物言いは完全に霧消した。ブレイク作となったサードシングル「シーズン・イン・ザ・サン」も良いが、よりトロピカルで、“TUBE=夏” の図式が完全に確立された5枚目のシングルが本作。ちなみにTUBEは冬の歌にも名曲が多い。

みんなのうた / サザンオールスターズ


1988年6月25日リリース。
いよいよ真打ちの登場。実はサザンの代表的な夏うたは90年代以降に多く、大名曲「真夏の果実」も1990年なので惜しくもここには入らない。「チャコの海岸物語」は誰もが知るヒット曲ながらパロディの要素が強く、本線の作品ではないだろう。となるとここは、昭和の終わりに出された本作がこのベストテンの締めに相応しいはず。

サザンには圧倒的に片想いや恋の終わりが描かれた切ないラブソングが多いのだが、これは必ずしもハッピーな内容ではないにせよとても前向きな歌。というのも、1985年にアルバム『KAMAKURA』を出してから活動休止していたサザンが、約3年ぶりに活動を再開した復帰作品だったから。その後、ライブでも最も盛り上がる曲のひとつとなっている。リリースからちょうど30年後に、メンバーも出演した三ツ矢サイダーのCMに使われたのは記憶に新しいところだ。


―― というわけで、10曲に絞るのがとても難しいくらい、80年代だけでも夏の名曲は山ほどあるわけで。季節毎にお気に入りの曲をカセットテープに編集して聴いていたあの頃のように選んでみた。同時にそれぞれの曲が流行っていた背景のプライベートな出来事やその時の気持ちまでもが甦ってくる。夏に対する思いは今より昭和の時代の方がずっと熱かった。

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2022.08.17
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カタリベ
1965年生まれ
鈴木啓之
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