7月27日

ポール・ヤングとホール&オーツ「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」

32
1
 
 この日何の日? 
ポール・ヤングの「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」が全米1位になった
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます
▶ アーティスト一覧

 
 1985年のコラム 
松本典子「Straw Hat」ポスト松田聖子の夢を託された上質なデビューアルバム

【佐橋佳幸の40曲】太田貴子「Long Good-bye」村松邦男とシュガー・ベイブの香り

小泉今日子「魔女」に感じるシンパシー、キョンキョンならわかってくれるはず!

ビリー・ジョエル「ビリー・ザ・ベスト」洋楽2枚組でも50万枚の大ベストセラー!

ポール・ウェラーも愛した?英国的ゲイ映画「アナザー・カントリー」

早見優「PASSION」アイドルポップスとロックのバランスが絶妙!

もっとみる≫



photo:SonyMusic  
photo:SonyMusic  

ホール&オーツの名曲「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」は、1980年発表のアルバム『モダン・ヴォイス(Voices)』に収録され、当時シングルカットはされなかった。この曲が広く知られるようになったのは、それから5年後にポール・ヤングがカヴァーし、全米1位の大ヒットを記録してからだろう。

ポール・ヤングのヴァージョンがヒットチャートを上昇しているときから、この曲のオリジナルがホール&オーツであることは話題になっていた。ダリル・ホールのメロディーメーカーとしての才能が遺憾なく発揮されたナンバーで、すぐに好きになった。

でも、本当の意味でこの曲の凄さを知ったのは、ホール&オーツのオリジナルヴァージョンを聴いてからだった。

ラジオでホール&オーツのインタビューが放送されたとき、ダリル・ホールがこの曲について語っているのを聞いた。実際にあった悲しい別れの歌で、自分でもいい曲だと思うし、気に入っている。ポール・ヤングがカヴァーしてくれて嬉しい。そんな話をしていたのだが、途中、言葉を詰まらせるように無音になる瞬間があった。インタビュアーが「あのとき、ダリルの目から涙がこぼれてびっくりしました」と言い、そこに被せるようして、ホール&オーツのオリジナルヴァージョンが流れてきた。

サビの部分をほんの数秒だったが、ダリル・ホールのシャウトが痛ましく胸に響いた。軽快さをまとったポール・ヤングの歌とは別物で、これがこの歌の素顔だった。そして、シングルカットしなかったのではなく、できなかったのかもしれないと思った。

出て行っては戻ってくることを繰り返す彼女。そのたびに男は心を擦り減らしてきた。今また彼女は別の男のところへ行こうとしている。もうこれ以上は耐えられそうにない。


 君は出て行くたび、
 僕の一部を持ち去って行く


彼女が去るたびに、男は自分の一部を失ってきたと言っているのだ。何度も何度も、心と体を切り刻まれるような思いをしてきたのだと。

ポール・ヤングのヴァージョンよりも少しテンポは遅く、ソウルバラードのマナーで切々と歌われるオリジナルヴァージョンは、真剣で、痛ましく、地味で、重たい。きっとシングルカットしても大ヒットはしなかっただろう。でも、だからこそ、心の深いところまで届くのかもしれない。

おそらく、ポール・ヤングもこの歌の深みを感じ取ったからこそカヴァーしたのだと思う。もっと多くの人にこの歌を届けたくて、より普遍性をもたせようと腐心したに違いない。

彼の歌からは、そんな誠実さが伝わってくる。

2018.07.27
32
  YouTube / paulyoungchannel


  Spotify
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1970年生まれ
宮井章裕
コラムリスト≫
12
1
9
8
1
まさかの10週連続2位!オリヴィアに阻まれ1位になれなかったフォリナー
カタリベ / KARL南澤
24
1
9
8
6
プリンス・トラスト'86 ポール・マッカートニーがライヴに還ってきた夜!
カタリベ / 宮木 宣嗣
34
1
9
7
9
距離感はロバート・パーマーから学べ!ブラックミュージックと寄り添うクールな視点
カタリベ / 岡田 ヒロシ
30
1
9
8
6
シンプリー・レッドのミック・ハックネルは「赤い悪魔」の熱狂的サポーター
カタリベ / 中川 肇
42
1
9
8
5
全米ナンバー1のシンガーソングライターが河合奈保子に提供した王道AOR
カタリベ / 千代田区のUra
37
2
0
1
8
ポール・ウェラーは親バカなのか? 子煩悩ミュージシャンに物申す!
カタリベ / 平マリアンヌ