7月25日

【佐橋佳幸の40曲】太田貴子「Long Good-bye」村松邦男とシュガー・ベイブの香り

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連載【佐橋佳幸の40曲】vol.3
Long Good-bye / 太田貴子
作詞:山根栄子
作曲:佐橋佳幸
編曲:村松邦男

若き日の佐橋佳幸が太田貴子に楽曲提供


UGUISSのデビューと同じく1983年に、自ら声優として主演したアニメ『魔法の天使 クリィミーマミ』の主題歌「デリケートに好きして」で歌手活動をスタートさせた太田貴子。もともと歌手志望で芸能界入りした彼女、これまで数多くの名曲、名盤を残してきた。その中に1曲だけ、若き日の佐橋佳幸による提供曲がある。

「バンドを解散後、最初の大きな仕事というと初めてサウンド・プロデュースを任せてもらった藤井康一さん(現:藤井 “ヤクハチ” 康一 / ウシャコダ)のソロアルバムだったんだけど。それが1986年だから、これはそれより前。本当に超・超・初期に提供した曲のひとつですね」

85年7月、映画『魔法の天使 クリィミーマミ ロング・グッドバイ』の公開に合わせてリリースされた3作目のアルバム『Long Good-bye』。そのラストに収められているのが、佐橋佳幸の作曲による「Long Good-bye」だ。映画のタイアップ曲ではなかったが、山川恵津子、尾関裕司、松田良、織田哲郎、三枝成章(現:成彰)ら豪華作家陣が名を連ねるアルバムのラストを飾るタイトルチューン。新進作曲家としては、なかなかの快挙だったはずだ。作詞を手がけたのは盟友・山根栄子。つまりUGUISSのソングライター・コンビの再結成作品でもあった。

「バンドが解散した後、僕はノブさん(清水信之)の紹介でヴァーゴ・ミュージックというところに所属して、主にスタジオセッションの仕事を始めたんです。その頃、太田貴子さんのアルバム用の曲を書いてみないかと、マネージャーがコンペの話を持ってきてくれたの。それで書いたら、採用になった。僕がヴァーゴに入って、初めてコンペを通った曲だったんじゃないかな」

編曲は元シュガー・ベイブの村松邦男が担当


このマネージャー氏は、佐橋の他に元シュガー・ベイブの村松邦男も担当していた。そんな縁もあり、編曲は新人の佐橋よりも、すでにアイドルやポップス系のヒット曲で実績のあった村松に頼もう… ということになった。



「マネージャーの判断だったけど、もちろん僕としては村松さんが編曲してくれるなら喜んでお願いします、と。だとしたら、当然、ギターも全部ギタリストである村松さんが弾くんだろうなと思っていたんだけど。村松さんが “これは佐橋の曲なんだから、佐橋にも弾かせようよ” って言ってくれたの。それで、僕と村松さんとふたりでギターを弾くことになった。右側で、ジョン・ホールっぽいオブリとかソロを弾いているのが僕ですね。真ん中のリズムギターが村松さん」

今の佐橋ならば基本的に自身の楽曲はすべて自分でアレンジを手がけ、ギターを弾く。そういう意味でも、これは確かに駆け出し時代ならではの変則的なパターンだったのかもしれない。が、この数年後、佐橋は山下達郎がシュガー・ベイブ時代の楽曲を歌う特別企画 “Sings Sugar Babe” コンサートで、初めて山下バンドに参加。シュガー・ベイブ時代に村松が弾いていたフレーズを “村松役” として弾くことになる。そのことを思えば、この時、佐橋と村松が並んでクレジットされているというのも、ちょっと運命的な巡り合わせに思えてくる。

そして、そんなことを前提に改めて「Long Good-bye」を聴けば、この曲にはどこか “シュガー・ベイブ meets 佐橋佳幸” 的な匂いがあることに気づく。シティポップの源流を思わせるメロディを女性ボーカルが綴る、その様子にはまさにシュガー・ベイブで大貫妙子が歌っていた頃の雰囲気が…。

「わっ、たしかに。今ごろ気がついたけど、これ、めっちゃシュガー・ベイブだったんだね(笑)。ドラムスもユカリさん(上原 “ユカリ” 裕、元シュガー・ベイブ)だしね。うん、サウンドは全然違うかもしれないけど、シュガー・ベイブのグルーヴがある。曲もね、今と変わらない趣味の、僕らしい元ネタが入ってるしさ(笑)。曲を書いたのはシュガー・ベイブを聴いて育った僕で、アレンジは村松さんで、ドラムはユカリさん。歌う人が変わったら、もっとシュガー・ベイブになるのかもね。あの時は全然考えてもみなかったけど、面白いものだね」

洋画・アニメのマニアが仰天するサハシ・トリビア


ちなみに、それほど数は多くないものの、佐橋はアニメ界のアーティストたちとの思い出深い仕事も多いという。たとえば「Long Good-bye」と同じ1985年、清水信之と村上ポンタ秀一のユニット “NOBUYUKI, PONTA UNIT” にも佐橋は「DIGI-VOO」という楽曲を提供しているのだが。この曲を歌った “Mikan Chang” とは、後に数々のアニソンヒットを放つことになる新居昭乃だ。そして、太田貴子と同じくもともとは歌手志望ながら声優として世に出た飯島真理とは、彼女のデビュー前のデモ制作から共演してきた。最近では人気声優の花澤香菜とがっちりタッグを組んで、彼女のシングル、アルバムをプロデュース、海外公演を含むライヴにも出演している。



「声優さんは歌がうまい人が多いしね。考えてみると、意外といろいろご縁があるんだよね。やっぱり、僕、叔母さんがマリリン・モンローだったのも関係あるのかなぁ…」

はぁ? マリリン・モンローの甥… だと!?

「僕の叔母さんが、向井真理子という声優さんなんです」

洋画・アニメのマニアならばビックリ仰天するであろうサハシ・トリビア。マリリン・モンローのあの “声” で知られる声優界の大レジェンド、向井真理子は佐橋にとって父方の叔母にあたる。50年代から声優として活動を始めた先駆者のひとりであり、マリリン・モンローの全作品で日本語吹き替えを担当した他、『魔法使いサリー』でのサリーちゃんのママ / すみれちゃん役、『Dr.スランプ アラレちゃん』の山吹先生役など、数えきれないほど多くの作品で声優を務めてきた。プロフィールによれば、50年代に国民的人気者となったSONYのマスコット・キャラクター “ソニー坊や” の声も務めていたとか。これにもまた、EPIC・ソニーからデビューした甥っ子・佐橋との縁を感じたりして…。


次回【SUPER CHIMPANZEE「クリといつまでも」桑田佳祐が結成した幻のバンド】につづく

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2023.11.18
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カタリベ
1964年生まれ
能地祐子
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