4月21日
難局を乗り越えたゴンチチ、ポップにイメチェンしようとがんばったけど…
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2ndアルバムの頃は「そんなプロレスラーみたいな名前じゃ売れねーよ」と販売スタッフからも揶揄されていた “GONTITI”… 言い過ぎました。みんなそんなに冷たくはなかった。

ともかく2ndで切られそうになりながら、サブカルチャー方面からちょっと面白がられ、3rdアルバム『PHYSICS』(1985年)は写真家の伊島薫さんのアートディレクションでリリースすることができました。

参考:「渡辺音楽出版からEPICへ 〜 ゴンチチはどうやって難局を乗り越えたのか?」

その頃、ちょっとうれしいことがありました。どういういきさつでかはわかりませんが、ニューヨークからマイケル・ブラウアー(Michael H. Brauer)というエンジニアが来日していて、彼に EPIC からリリースしている邦楽レコードをいろいろ聴いてもらったら、GONTITI をすごく気に入ってくれたということで、EPIC の海外担当の人が私を紹介してくれたのです。

ブラウアーさん、その時はルーサー・ヴァンドロス(Luther Vandross)なんかの仕事をしていたかな、これがきっかけで、その後実際 GONTITI のアルバムを何作かミックスダウンしていただくことになります。

コンプレッサーの使い方が上手で、音がぐっと前に張り出して立体的に聴こえるミックスができる人で(“コンプレッサー” って何? とお思いでしょうが長くなるので省略。ググってみて)、やっぱ世界クラスのエンジニアは違うなーと思っていましたが、ここ10年くらいすごい活躍をしていて、“コールドプレイ”、ジョン・メイヤー、コルビー・キャレイ(Colbie Caillat)、エル・キング(Elle King)らを手がけてヒットを連発し、グラミーの最優秀録音賞まで手にしたという(2011年、ジョン・メイヤー『Battle Studies』)、世界クラスどころか押しも押されもしない “世界トップクラス” のエンジニアになってしまいました。ビックリです。

彼のサイトにある「これまでの仕事リスト」に、当然 GONTITI の名前がいくつかありますが、『Sunday Market』というアルバム名もあって、これはウソです(^^)。『Sunday Market』は今回お話する4thアルバムで、ブラウアーさんに会った頃にはもう作ってたんじゃないかな? 彼に初めてミックスしてもらったのは6thアルバム『マダムQの遺産』(1987年)なんです。

さて『PHYSICS』で多少評価の声が聞こえてはきましたが、売上的にはまだヨチヨチ歩きもいいとこ。作戦としては、やはりイメージアップ。“物理学” なんて鹿爪らしいしかめっ面で言われても、特にギャルは見向きもしてくれません。まぁギャルはいいとしても、やはり一般ピープルに受けるためには、アコースティックギター→爽やか→夏! という図式が鉄板だろうということで、曲&アレンジをそんな方向に。そしてアルバムタイトルも『Sunday Market』、リードシングル曲も「Coconut Basket」とぐっと夏向きに。

だけど。

GONTITI には「地球一番快適音楽=The Most Comfortable Music on Earth」という長いこと使っていたキャッチフレーズがありまして、この時点でこれを打ち出せばバッチリだったんですが、まだできておらず、『Sunday Market』の帯に載せたキャッチコピーは「真実は視覚の彼方、音楽は聴覚の彼方」。固いなー。ぜーんぜん夏関係ない。ここに出てしまいましたね、ヒネクレ魂。

ただジャケットは、“魚の化石” ではなく、もっとポップにと、伊島薫さんといっしょにカセットマガジン『TRA』に関わっておられたミック板谷さんにお願いしました。おそらくミックさんがレコードジャケットを制作されたのはこれが初めてではないでしょうか。上がってきたのは色使いも鮮やかな切り絵のコラージュ。このアルバムに見事花を咲かせてくれた、そんなふうに感じました。彼の作風は、超ポップであると同時にある種 “毒” のようなものも隠し持っている、そんな一筋縄ではいかないところが、GONTITI とはピタリと嵌りまして、以後何作もお世話になることになります。

このようにして、GONTITI のそれまでのイメージを一新する、ポップなアルバムができあがりつつある中、EPIC の宣伝担当の藤沢葦夫さんが、時のポップカルチャーを担っている人を一人巻き込もうと、森永博志さんを引っ張ってきました。創刊当時の『POPEYE』や『BRUTUS』に関わっていた名編集者です。彼といっしょに宣伝用資料を作りつつ、メディアに対して発信してもらおうという目論見です。

やっぱり “夏” のイメージで、なんて話しつつ、その時点ではまだ2月だったので、じゃあ伊豆大島へ写真を撮りにいこうということになりました。大島なら暑いとまではいかないけど充分南国的な写真は撮れるということで、3月の初旬に撮影旅行に出かけたのですが、… ご想像の通り、そこでまた一波乱。

つづく。

2018.07.12
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カタリベ
1954年生まれ
福岡智彦
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