自分たちとしては精一杯ポップに作った“GONTITI” の4thアルバム『Sunday Market』。ポップカルチャーに造詣の深い名エディター、森永博志さんを担ぎ出し、宣伝パンフレットの制作をお願いしたら、伊豆大島に写真を撮りにいくことになった、という話のつづきなんですが、まずお詫び。
前回「3月初旬に撮影旅行」と書いたのですが、この企画発案者だった EPIC の宣伝担当の藤沢葦夫さんに確認したら、2月8日出発だった。失礼しましたー。
2月上旬でも大島なら夏っぽい写真を撮れるだろうということだったんですね。そりゃグァムとかサイパンに行けば万全でしょうが、同行人数も多いので、さすがに予算上伊豆大島がギリ。
森永さん、カメラマンの伊島薫さん、デザイン担当のミック板谷さんに、GONTITI の二人、マネージャーの佐脇くん、藤沢さんと私、総勢8名が、調布の飛行場から小型飛行機に乗りました。9人乗りだかで、こんな小さな飛行機に乗ったのは生まれて初めて。
プロペラが回りだすともう轟音と振動で話もできません。高度は800mと聞いたように思います。地上を走るクルマなどもかなりの大きさに見えて、怖かった。私はやや高所恐怖症なのです。大型旅客機なら上空過ぎて逆に平気なんですが、この飛行機は鉄の塊が空を飛んでいることがリアルに感じられて、背筋がゾクゾク。スカイダイビングとかパラグライダーとか、死んでもやりたくないですね。死んだらできないけど。
さて、東京は晴れていたように思うんですが、大島に近づくに連れて、俄に雲行きが怪しくなってきました。
実は、GONTITI の TiTi松村さんは「雨男」として定評がありまして、初めての日比谷野音でのコンサートが大雨だったとか、いろんな「雨男伝説」があるんですが、その日も「おっと、またですか」と思いながら、空港に着いたら、なんと雨どころか雪です。
夏の写真を撮るためにわざわざ大島に来たのに、雪とは!… 天気予報くらい調べとけよと言われるでしょうが、いや当然チェックしていたと思いますよ。突然の、予想外の雪、それも温暖な伊豆大島にとっては何十年ぶりという大雪が、その日に限って降ってしまったのでした。
可哀想だけどみんなの松村さんを見る目が若干厳しくなり、本人は苦笑するばかり。
その日はロケハンの予定だったのですが、「リス村」に行ってみたら、スタッフさんたちはリスを雪から避難させるのに大わらわ。そしたら固まっているリスがいました。凍ってるんです。ヤバいってことでストーブのそばに置いたら、しばらくしてフッと息を吹き返しました。やれやれ(このリス村、2013年に閉園してしまったみたいです)。
宿は大島温泉ホテル(これも藤沢さん情報)。ホテルといっても旅館です。夕食は広間(といっても20畳くらい)でみんなで食べて、そのうちなんとなく二人がギターを爪弾き出しました。そしたら興が乗ってきたらしく、それから小一時間のスペシャルライブです。畳敷きの和室で、マイクを通さないアコースティックギターの生音。ものすごく気持ちいい音でした。GONTITI のライブは何度も観ましたが、この時が音響的には間違いなく最高でしたね。もったいないことに観客は我々6人のみでしたが。
翌日、写真撮影には出かけましたが一面の雪景色。大島には棕櫚の木なんかもたくさんあって、それが南国っぽいのですが、それも雪まみれ。困った、困った。でもこうなったらものは考えよう。雪と棕櫚の木なんて取り合わせ、そう撮れるものではないんだから、と撮影強行。
幸いその翌日は晴れて、そうなるとまたたく間に雪も消えて、本来の夏的写真も少しは撮ることができました。
結局、GONTITI の二人のアイデアで、「地上1mまでが常夏、1m以上が常冬となっている。けれど夜になると不可思議な逆転現象が起きて、地上1mを境に冬と夏が入れ替わってしまう」という「モダネラ島」に行ったことにしよう、なんてことになりました。
完成したパンフレット、私の手元に1部だけあるのですが、縦22cm✕横10.5cm。ページは少ないのに背が1.5cmもあって、紙は上質だし、あるページには稲みたいな(本物の)種子が糊で貼ってあって「モダネラに繁生する植物の種子。(栽培可)」なんて注釈が。すごいコストと手間がかかっています。そのクセ、宣伝パンフなのに、宣伝らしきことは何も書いてない。アルバム『Sunday Market』の情報すら1行もなく、モダネラ島の空想話とかに終始している、という大胆な(?)シロモノです。
「モダネラ」ってなんだって?「Modern Era」ですよ。
大人が集まって真剣に遊んでいた、そんな感じですね。
2018.07.24
YouTube / SunnyEndingQuaintBye
Information