3月21日
セブンティーンズ・マップ、ゆとり世代の聴いた尾崎豊はメロンソーダの味
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尾崎豊のセカンドシングル「十七歳の地図」がリリースされた日
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photo:SonyMusic  

出会うべき時に出会う音楽というものがある。もし人生の中で出会うべきその時に、その音楽に出会っていたらそれはすでに一つの幸福なのかもしれない。

僕にとって尾崎豊の音楽がそうだ。彼が殉教者のように死んだ翌年に僕は産まれた。そして彼の音楽に出会ったのは17歳の時だった。

平成前半生まれ、つまり「ゆとり世代」にとって尾崎豊の音楽はすでに「古典」だった。いわゆる「ゆとり」は抗うためにタバコは吸わないし家出もしない。逆に教師よりも勉強をして知識を増やし「大人たち」をせせら笑うのが真の反抗と(少なくとも僕の周りの反抗児たちは)感じていた。

ともかくそんな僕らには、尾崎豊という固有名詞には前時代的なステレオタイプな反抗のイメージがなんとなくついていたのだ。

ところで17歳の僕は日本語の歌を必要としていた。理由はカラオケである。いくら「ロンドン・コーリング」や「サティスファクション」を歌ったところで高校生同士のカラオケでは浮いてしまう。そんな時偶然聴いた一曲が尾崎豊の「十七歳の地図」だった。

そしてその曲は僕の尾崎豊へのイメージを一新させるに十分だったのだ。そこに刻まれたのはありきたりな反抗ではない。彼が歌っているのは心から何かを奪っていくような都市、とりわけ渋谷や新宿といった場所に何かを見ようとするロマンティシズムなのだ。

彼は心を一つの「地図」とみなす。いわば渋谷や新宿は『今 心の地図の上で』と歌う尾崎豊の「内面」に存在する。そして「ストリートの詩人」の中で内面化された『街の風景』はついに人格すら持ちだす。

尾崎豊が『手を差しのべて おまえを求めないさ この街』と歌う時がまさにその瞬間だ。

しかしここで分裂が起こる。つまり「俺」は「街」に溶け込めないのだ。よって心の中に存在する「街」は尾崎豊の中で割り切れない人格(多分それが彼の言う「大人たち」なのだろうが…)として存在することになる。

さて、そうした『半分大人』な状態をどうすればいいのか。叫ぶしかないのである! サビの前に入る身を振り絞って出したかのようなシャウト。それはまさに街から、何しろ自分自身から疎外される心の「叫び」なのだ。

なだれ込むようなドラムロールと歪んだギターの音から始まる歌は、軋む僕のウブな心と共鳴していた。まさに「十七歳の地図」は17歳の僕のテーマソングとなった。

そしてそこでは前時代的なる形容詞など用をなさない。「街」がそこにある限り、彼の歌は響き続けるのだ。

完璧に「十七歳の地図」をマスターした僕は友人たちとのカラオケで披露した。正直いつもと変わらず滑っていた。しかし気を利かせた一人の女の子が「尾崎豊ってこんなこと歌ってるんだね」なんて言ってくれたことを覚えている。

そして歌い終わった後の喉を潤したカラオケのメロンソーダ。それこそ17歳の僕にとっての尾崎豊のイメージだ。

彼の歌からはあのメロンソーダの味が今でもする。



歌詞引用:
十七歳の地図 / 尾崎豊

2017.09.27
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  YouTube / きゃっとあず
 

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カタリベ
1991年生まれ
 白石・しゅーげ
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