6月21日

ジャパメタシーンに都市伝説を生んだギタリスト、湯浅晋が率いたX-RAY

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X-RAYのアルバム「魔天~HARD SECTION~」がリリースされた日
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photo:Amazon  

百花繚乱の様相を呈した80年代のジャパニーズメタル・ムーブメント。フェイバリットバンドを選ぶのは本当に難しいが、敢えて言うなら僕はX-RAY(エックス・レイ)を挙げたい。

彼らのシーンへの登場の仕方は異例づくしで、ライヴ活動をほとんど行わずにアルバム『魔天~HARD SECTION~』でいきなりメジャーデビューを果たしたのだ。ギタリストの湯浅晋は弱冠17歳。当時16歳だった僕は、僅か1年年上のギターヒーロー登場に衝撃を受けた。

振り返るとX-RAYのデビュー作には、あの長戸大幸氏の名がクレジットされているように、ラウドネスに端を発する初期ビーイング人脈がプロデュースに深く関与していた。

実際、ラウドネスの高崎プロデュースによる日本初のメタルクイーンの本城美砂子、同じく樋口による浜田麻里の作品にデビュー前の湯浅がゲスト参加している。当時は不可解だったデビュー作のジャケットも、今思えばどことなく90年代のビーイングっぽいテイストなのが興味深い。

X-RAYは湯浅を高崎晃に次ぐ若き天才ギターヒーローとして売り出すために「作り込まれた」バンドだったが、それに相応しい確かな力量を各メンバーが兼ね備えていたのも事実だ。

湯浅のテクニックとメロディセンスを兼ね備えたギタープレイと優れたソングライティング力、4オクターブと称された藤本朗の抜群の歌唱力も相まって、シーンでたちまち高い評価を獲得していく。

続けて『伝統破壊~TRADITION BREAKER~』をリリースすると(ヌード女性のジャケットが恥ずかしく、当時購入できなかったが)、キーボード奏者を加えて一気にメジャー感を増した『OUTSIDER』、『SHOUT!』と半年スパンで次々と作品を発表。この頃の彼らのライヴを僕は観ているが、バンドの破竹の勢いと無限のポテンシャルを存分に感じたのを記憶している。

しかし、好事魔多し。バンドの意に反したトゥイステッド・シスターの珍カヴァー「愛のヒーロー」を発表した辺りから、新マネジメントとの確執などで歯車が狂い始め、4枚目のアルバム『STRIKE BACK』を発表するもツアーすら行えず、ほどなくして活動終了を発表。解散ライヴの音源と映像を残し、絶頂期のまま86年に惜しまれつつシーンを去っていったのだった。

解散後、湯浅は渡米を表明し動向が注目されたが、一切の情報が途絶えてしまう。そのため様々な憶測が、まるで都市伝説のように語られることになる。

例えば、海外でバンドを結成したとか、指の手術を受けたとか、はたまた死亡説に至るまで、真偽が定かでない情報が飛び交ったのも、彼への注目度の高さ故だろう。

時は流れ、2003年にイベントライヴでX-RAYとして1度だけ復活。そのタイミングでのインタビューで湯浅は空白期間の真実を語っている。それによると、解散後にアメリカ西海岸を拠点に音楽学校GITに入学、現地でバンド活動をしながらジェイク・E・リーの後任として、オジー・オズボーンのバンドのオーディションも受けたという。

最終合格とはならなかったが、もし湯浅が加入していたらオジーと優れた作品が創れたのではと妄想してしまう。結局、10年ほどの渡米で彼の音楽的指向性は大きく変化し、クラブミュージックのDJで帰国後も活動していたというのだから驚きだ。

X-RAYが解散せずに順調に活動を続けていたならば、彼らはきっと音楽シーンの広いマーケットで受け入れられる存在になっていたはず。伝統的なハードロックに歌謡曲ライクなメロディを絶妙にミックスした後期のサウンドは、90年代に一世風靡した数多のビーイング系のバンド達にある意味通じるものだったからだ。

僕の一番好きな楽曲は「STARDUST WAY」。どこか哀感を内包したメロディがグッと胸に迫る名曲だ。当時バンドでもコピーしたこの曲を聞くと、あの頃の様々な記憶が鮮明に甦ってくる…。

2017.09.25
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カタリベ
1968年生まれ
中塚一晶
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