ロサンゼルスオリンピックが開催された1984年、私は13歳でした。中学で吹奏楽部に所属していた私は、スポーツにはほとんど関心が無く、母が熱心に観ていたオリンピックの開会式の中継も、ごはんを食べながら横目でちらちら覗く程度。
そんなとき、これまで出会ったことのないタイプの壮大な音楽が流れてきました。この音楽の始まりと共にテレビにくぎ付けになりました!
そう、オリンピックの開会を告げたその音楽は、映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズ作曲、「オリンピック・ファンファーレ(Olympic Fanfare And Theme)」でした。
100人は下らないラッパ隊と太鼓隊の圧倒的にぶっとい音。ザッツアメリカ! この音楽を繰り返し聞きたくて聞きたくて、テレビのスピーカーの前にマイク機能つきのカセットテープレコーダーを置き、妹と弟に絶対しゃべるなと言い聞かせ、ファンファーレのシーンをビデオで再生しながら、カセットテープに録音したものです。
ほかにもロサンゼルスオリンピックのために当時のアメリカのビッグネームたちが作曲したかっこいいテーマ曲が各競技を彩り、そのたびにテレビの前にカセットテープレコーダーを置いて録音、手作りオリンピックアルバムを作り上げたのでした。
後日、私のそんな姿を見かねた父が、ロサンゼルスオリンピックの公式アルバムをプレゼントしてくれました。ジョン・ウィリアムズを始め、TOTO、ボブ・ジェームス、クリストファー・クロスなどなどが手掛けたオリンピック公式テーマ曲の入った名盤でした。
もちろん、この時代はまだアナログ盤で、私の大好きなファンファーレはB面の一曲目であったと記憶しています。
針を落として「プツ! プップッ」の雑音の後に少しの静寂を挟んで鮮やかなダブルタンギングと共に開放されるトランペットの響き―― あの鳥肌が立つ感覚は、あれから30数年たった今でもリアルに思い出せます。
※2016年3月5日 に掲載された記事をアップデート
2018.07.28
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