90年代ハリウッド映画の金字塔「ジュラシック・パーク」とシリーズ作
1993年にマイケル・クライトンの人気小説を巨匠スティーブン・スピルバーグが映画化した『ジュラシック・パーク』。スピルバーグ自らが保持していた『E.T.』(1982)の全世界興行収入を更新し当時の新記録(約10億ドル)を打ち立てた90年代ハリウッド映画の金字塔だ。
その後は『ロスト・ワールド / ジュラシック・パーク』(1997 / スティーブン・スピルバーグ監督)、『ジュラシック・パークⅢ』(2001 / ジョー・ジョンストン監督)のジュラシック・パーク3部作へと発展。さらに14年のインターバルを経て新たな3部作として再始動。『ジュラシック・ワールド』(2015 / コリン・トレボロウ監督)は全世界興収16億ドルを突破し歴代トップ10に入る空前のヒット。続く『ジュラシック・ワールド/炎の王国』(2018 / J・A・バヨナ監督)も歴代トップ20に入る連続メガヒット。
そして2022年。『ジュラシック・パーク』シリーズと『ジュラシック・ワールド』シリーズがひとつなった最終章『ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者』(コリン・トレボロウ監督)がついに公開された。
「ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者」公開!
“ジュラシック・ワールド” のあった島イスラ・ヌブラルが火山の大噴火で壊滅(『ジュラシック・ワールド / 炎の王国』)。救出された恐竜たちは世界中へと放たれてしまった。あれから4年。世界は「支配者」人類と「かつての支配者」恐竜たちが混在する時代を迎え、恐竜行動学の専門家オーウェン(クリス・プラット)とクレア(ブライス・ダラス・ハワード)は4年前にロックウッド邸で出会った少女メイジー(イザベラ・サーモン)を連れ人里離れた地でひっそりと暮らしている。人類と恐竜の共存未来を阻みかねない新たな難題が降りかかる。そこに力を貸すのはかつて“ジュラシック・パーク” での惨劇に立ち会った3人の伝説の博士たちだった……。
ティラノサウルス、トリケラトプス、プテラノドン、ステゴザウルス…… 図鑑のなかで見た絵の恐竜が、博物館で見た化石の恐竜が実際に目の前に現れたらどうなる?
―― 世界共通ともいえる子供の素朴な夢。最初はアトラクション「パーク」の非現実な世界で驚きとスリルのど迫力の映像で想像を超える世界を魅せてくれた。それじゃ、今度はこの甦った恐竜たちが僕らの暮らす現実の「ワールド」に現れたらどうなるの? そんな期待に見事に応え続けたのは大スクリーンで躍動する恐竜たちのアクション。
全作で製作総指揮も務めたスピルバーグが、この30年間での映画技術のめざましい進歩をそのままわかりやすく体現させたハリウッド教科書のようなシリーズは、文字通り公開ごとに観客の度肝を抜いてきた。ちなみに。『ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者』ではシリーズ初登場の恐竜たちの勇姿も存分に楽しめるが、スクリーンいっぱいに映し出される巨大イナゴには好き嫌いが分かれるかも。なぜか『エクソシスト2』(1977)のイナゴシーンを思い出してしまったのは自分でもびっくりしたが……。
過去作を知ることで楽しさもアップ! 歴代の主人公たちが勢揃い
大迫力の映像もさることながら、ジュラシック6作のシリーズとしての魅力は連続するストーリーが映画公開の時間軸とほぼ同時進行していること。『スター・ウォーズ』や『X-メン』シリーズとは異なり公開順が時系列になっていることで、再登場する過去作のキャラクターを抵抗なく受け入れることができ、歴代監督から先代へのオマージュも劇中でわかりやすく表現されている。『ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者』では歴代の主人公たちが勢揃いするが、全員が平等に30年という時を経てきたことがその容姿や台詞から伺え、やはり感情移入しやすい。
筆者に原稿発注することが多い某出版社の編集担当は『ジェラシック・パーク』が親に連れられ初めて劇場で観た映画だったらしい。今年の夏休みは初めて娘を連れて『ジュラシック・ワールド / 新たなる支配者』を映画館で観るとのこと。今からでも遅くはない。家族でシリーズの総復習をお勧めする。
過去作を知ることで、より最新作=最終章を楽しめることを約束する。そして原題の『Jurassic World Dominion』の「Dominion」の英単語の意味も再チェック。 「新たなる発見」があるかもしれない。ニヤリ。
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2022.07.29