12月5日
誰も褒めないポールの「パイプス・オブ・ピース」最高傑作は誰が決める?
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photo:The Paul McCartney Project  

巷には最高傑作! とか、絶頂期の録音などの言葉が溢れている。たいていは宣伝文句なのだから、同意するならそうだそうだと相づち打てば良いし、反対でもフンフンと適当に聞き流しておけば世界は依然平和だ。

人はどこかで音楽に出逢う。だから他人の評価も参考になる。うんちく傾けられると時にめんどうだけど、博識な人や専門家や同業者なんかはたいがい有難い。時間もお金も労力もかけた人の意見は、理由というか根拠というか一本筋が通っていて、それなりに納得する。

僕なんて豊かな個性とも、独自な感受性とも無縁な、そこらにいるただのおぢさんだ。だからこそというか、しかしというのか、世間の評価と僕の趣味が一致しないこともまま結構ある。

例えば、ポール・マッカートニー。彼との出会いは80年代にロックを聴き始めた頃だから当然ビートルズではなくてソロ時代。それもカルチャー・クラブやデュラン・デュランで幕を開けたロック視聴人生は、文字どおり視ると聴くを一致させたPV全盛期。

当時の大ヒット曲「セイ・セイ・セイ」は、ポールとマイケル・ジャクソンが『明日に向って撃て』を思わせる西部を舞台に旅して、がまの油(のようなもの)を売り歩くテキ屋稼業というストーリー。同じ組合わせの「ガール・イズ・マイン」、少し遡ってスティーヴィー・ワンダーとの共演「エボニー・アンド・アイボリー」とか、なにせよく流れていた。

ところがその大ヒットシングルを収録したアルバム『パイプス・オブ・ピース』と同タイトルのシングルカットがぱっとしない。

1914年、始まったばかりの第一次世界大戦中のクリスマスに敵味方の兵士が一時休戦してサッカーに興じ、チョコレートを交換したり、妻の写真を互いに見せあい打ち解ける。ないない、それないと思わず突っ込みたくなるような、楽観的で<感動ポルノ>まがいのベタなPVだった。

全英チャートではそこそこ、全米ではB面「ソー・バッド」をA面にひっくり返してシングルカット。周到なはずの戦略が裏目にでまくった。識者、愛好家、ファンたちからは総スカン、アルバムの位置づけは未だ低い。本サイト『Re:minder』でもやっぱり正面きって取り上げる人が出てこない。

それでもド素人のまるで根拠のない、趣味まるだし・ひいきの引き倒しでいうと、僕は「パイプス・オブ・ピース」がポールの最高傑作だと思う。単なる好みの放言で意味はない。当時のロボとかコンピュータといえばこの音という効果音にナゼ? と首を傾げはしてもどうにも胸が締めつけられる。

遡って聴いたウィングスの「心のラブ・ソング」でも、大方のビートルズの傑作でもなく、この曲の叙情性に僕は涙する。

直前のアルバム『タッグ・オブ・ウォー』は全米1位。「パイプス・オブ・ピース」の次にリリースされたシングル「ひとりぼっちのロンリー・ナイト(No More Lonely Nights)」とそれが収録されたサントラ『ヤァ!ブロード・ストリート』にはコアなファンがいる。プリンスと『パープル・レイン』、リック・スプリングフィールドと『ハード・トゥ・ホールド』のように、ミュージシャンがPVだけではなく映画と音楽のシンプルな結びつきを信じていた時代の代表的産物の一つだし、これはこれでとても美しい曲だと思う。

数えきれないほどあるポールの曲の完成度がどうだ… なんて考えてみたこともない。「パイプス・オブ・ピース」の歌詞は平和賛歌、PVは陳腐。でもこれが好きだ。それはひとえに、僕がポールのこの曲と出会ったからとしか言いようがない。

でもそんな諸事情をよそに、人は自分の経験を特別なものと思いこむ。それで他人が同じように思わないことを不思議に思うだけでなく、時に非難したり、自分の主張を押し付けたりさえしてしまう。何でもありなんていったらいい加減だけど、時には感傷的に自己満足に酔いしれるのはどうでしょう。

「君たちの正当な異常さをくりひろげたまえ」は、詩人ルネ・シャールの言葉。独りよがりは困るけど、喧々諤々それで発見があるから面白い。

2017.09.12
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  YouTube / Eduardo Robles
 

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カタリベ
1970年生まれ
ジャン・タリメー
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