3月13日

等身大のジョン・レノン、メリーゴーラウンドからは降りられたのか?

32
0
 
 この日何の日? 
ジョン・レノンのシングル「ウォッチング・ザ・ホイールズ」が米国でリリースされた日
この時あなたは
0歳
無料登録/ログインすると、この時あなたが何歳だったかを表示させる機能がお使いいただけます

 
 1981年のコラム 
片岡義男&南佳孝、今も憧れるスローなライフにスローなブギ

滑舌の悪いおじさん、天龍源一郎の入場は「サンダーストーム」と共に!

祝40周年!ユーミン「SURF & SNOW in Naeba」かけがえのないホームグラウンド

ポートピア’81がやって来る、テーマソングはゴダイゴだけじゃない!

80年代イントロなんでもベスト3 ~ その2「EEAB イントロ」

父母会の敵、沖田浩之の功罪!? ABC、ABC、ABCDE気持ち!

もっとみる≫




アルバム「ダブル・ファンタジー」40歳を迎えた等身大のジョン・レノン


「ウォッチング・ザ・ホイールズ」は、ジョン・レノンが生前にオノ・ヨーコとの連名でリリースしたアルバム『ダブル・ファンタジー』に収録されたナンバーで、第3弾シングルとして全米10位(2週連続)を記録している。

このアルバムに収められたジョンの曲は、どれも思慮深く、40歳を迎えた男の等身大の姿が投影されている。中でも「ウォッチング・ザ・ホイールズ」がもつ諦観にも似た佇まいに、僕は強く惹きつけられた。

それは個人が自由に生きることについての歌だった。

ジョン・レノンは『ダブル・ファンタジー』をリリースするまでの約5年間、音楽活動を休止している。10代でバンド(後のビートルズ)を結成して以来、激しい野心と情熱をもって音楽と向き合ってきたジョンにとって、シーンの中心からドロップアウトしていた5年間は、初めて経験する「何も生み出さなくていい」穏やかな時間だったのかもしれない。

「ウォッチング・ザ・ホイールズ」の歌詞にみる、ジョン・レノンが手にした自由


しかし、世間がジョン・レノンを放っておくはずはなく、メディアはジョンの動向を追い続けたし、それはジョンの友人たちも同じだった。「おい、ジョン。どうしちゃったんだよ」、「なぁ、早くそこから出て来いよ」、そうした誘いやアドバイスは「本当にたくさんあった」と、ジョンもインタビューで語っている。

だから、「ウォッチング・ザ・ホイールズ」の歌詞はこんな風に始まる。

 最近の僕は狂っていると誰もが言う
 僕が破滅しないように
 いろいろと警告してくる
 僕が「大丈夫だよ」と言っても
 彼らは怪訝な顔で僕を見る
 「君がハッピーなわけないだろう
 もうゲームから降りちまったんだから」

こうしたやり取りは、ジョンが音楽活動を休んでいた間も、途切れることなく繰り返されたのだろう。そんな彼らへのジョンの回答が、サビで歌われるフレーズだ。

 僕はただここに座って
 車輪が回るのを眺めている
 回っているのを見るのが好きなんだ
 もうメリーゴーラウンドに乗る気はない
 後は勝手に回っててくれ

デモテイクでは「車輪(Wheel)」を「世界(World)」に替えて歌っているものも残っている。つまり、ジョンはかつていた世界から自分はもう「抜けた」と言っているのだ。音楽業界、虚飾、誇大広告、自分を縛り付けるすべてのイメージ、ビートルズ、ラヴ&ピース、ジョン&ヨーコ、えとせとら、えとせとら…。

そして、メリーゴーラウンドとは、かつていた世界の象徴だ。一度乗ったら、降りるまで回り続けることになる。それがこのゲームのルールだからだ。でも、ジョンはそんな世界を外から眺めている。気ままに。ただ座って。ジョンが大切にしたのは、この「自由」だったように思う。そして、再びギターを手にしたのもまた、ジョンの自由だったのだ。

自分の人生を生きたいと願う、歌に込められた正直な気持ち


「ウォッチング・ザ・ホイールズ」には、強がったところが見当たらない。ジョンの歌声は凛としていて、腫物が落ちたかのような清々しさがある。そして、歌に込められた正直な気持ちが、静かな説得力となって、僕の心を今も揺さぶるのだ。

自由に生きようと決めたはずなのに、いつしかシステムに組み込まれ、しがらみに捕らわれたまま、身動きができない。こんな僕でさえ、そんな気持ちになることがある。だからといって、仙人のようには生きられないし、もしそうなれたとしても、また別のルールが自分を待ち構えている。どんな風に生きたところで、結局、そういうものなのかもしれない。

それでも自由に生きたいと願う。何ものにも捕らわれず、走らされることなく、自分の時間軸の中で、信じる道を進みたい。立派でなくても構わない。この歌を聴くといつも、僕は自分の人生を生きたいと思うのだ。

2019.12.08
32
  YouTube / johnlennon
 

Information
あなた
Re:mindボタンをクリックするとあなたのボイス(コメント)がサイト内でシェアされマイ年表に保存されます。
カタリベ
1970年生まれ
宮井章裕
コラムリスト≫
15
1
9
8
1
共有感満載の80年代洋楽ヒット!ビルボード最高位2位の妙味 vol.10
カタリベ / KARL南澤
76
2
0
1
9
奇跡の “ビートルズ新曲” 35年越しの「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」
カタリベ / 宮木 宣嗣
70
1
9
8
0
スターティング・オーヴァー、ジョン・レノンの死で始まった1980年代
カタリベ / 藤澤 一雅
17
1
9
7
8
偉大なるパロディ「ラトルズ」を見ずしてビートルズは語れない!
カタリベ / DR.ENO
10
1
9
8
7
村上春樹のノルウェイの森を読み、ビートルズのノルウェーの森を聴いた夜
カタリベ / 太田 秀樹
21
1
9
8
0
究極のトリビュート?トッド・ラングレンによるビートルズパロディの傑作
カタリベ / DR.ENO
Re:minder - リマインダー