1993年 11月11日

快進撃はここから始まった!SMAP「$10」国民的グループ誕生のターニングポイント

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ブレイクの下地を固めていたSMAP


「あ、これはオトナの曲だな」

『ミュージックステーション』でSMAPの新曲「$10」を初めて聴いたとき、直感的にそう思ったのをおぼろげながら覚えている。1993年、小学2年生の時の記憶だ。

当時といえばJリーグブームの真っ只中。子供たちが少ない小遣いで「Jリーグチップス」のカード集めに没頭する一方で、世のオヤジ達は13年ぶりに現場復帰した巨人・長嶋茂雄監督の雄姿に歓喜。芸能界では貴乃花の婚約破棄や、酒井法子と脚本家・野島伸司との熱愛が話題になった。また今上天皇であられる皇太子さまと雅子さまの御成婚もこの年の出来事だ。

こうして並べてみると随分昔のことのように思えるが、この時点で既にSMAPはバラエティやドラマを中心に活躍する “スター” の地位を築きつつあり、見ない日は無いという程にその存在はお茶の間に浸透していた。

ただ肝心の音楽の方では今ひとつヒット曲に恵まれず、どちらかと言えば「カッコいい」よりも「おもしろい」寄りのグループになっていた感が否めない。バラエティ番組に活路を見出したのは、音楽番組が減少する中でなんとか売り出すための苦肉の策でもあったようだが、そろそろ明確なヒット曲を出したい時期に差し掛かっていたのも確かだろう。

とはいえデビュー3年目を迎えてメンバー個人の活躍の幅は着実に広がりつつあった。たとえば稲垣吾郎がフジテレビの月9ドラマ『二十歳の約束』で主演を張れば、負けじと木村拓哉も『その時、ハートは盗まれた』『あすなろ白書』といった話題作に出演。その容姿とカリスマ性でたちまち世の女性を虜にし、イケてる若手タレントの代表としてファッション誌やドラマ、CMと引っ張りだこになっていた。各メンバーの人気も上昇し、SMAPはいよいよグループとしての本格ブレイクを目指す段階に来ていたのだ。

聴いて実感。SMAPの新しい魅力


そうしたタイミングでリリースとなった10枚目のシングルが「$10」である。「テンダラーズ」と読むタイトルは、「$(ドル)」が読めるかどうかも微妙な小学2年生には難解すぎたし、歌を聴いたら、やっぱり歌詞もチンプンカンプンだった。

 Oh, lady!
 A-1 dollar B-2 dollars 淫ら No,no,no…

ワケが分からない…。分からなさ度合いで言うと、サザンオールスターズの「シュラバ☆ラ☆バンバ」と同じくらい分からない。どちらも、ほんのりと “エロ” の香りが漂うのが共通点だろうか。

ただこの曲が凄いのは、分からないなりに耳に残るという点だ。「ワンダーラビッ、ツーダーラビッ」なんて言いながら、意味も分からないくせに口ずさむガキがクラスに一人はいたものだ。

またSMAPのシングルを時系列に並べると、「$10」から明らかに楽曲の性質が変わっていることに気付く。曲調、歌詞もそうだが、大きく変化したのが歌唱面だ。それまでのシングルは全パートをユニゾンで歌うのが基本系だったのが、この曲から明確にソロパートが振られるようになり、とりわけツートップを張った木村と森且行の色気を感じさせるボーカルは、グループに新たな魅力を吹き込んだのである。

それに加えてダンスが、これがもう凄まじくカッコいい。たしか歌番組では赤い照明下で歌うことが多かったと思うが、それがまた大人っぽくて、洗練された世界観を演出していた。ここで初めて世間は「あれ? SMAPっておもしろいだけじゃなくて、カッコいいグループだったんだ!」と気付いたわけだ。

「$10」から始まった大きな飛躍


どうやらこのシングルはジャニーズ上層部の意向に反して現場サイドが強引にリリースに踏み切ったという裏話もあるようだが、お茶の間サイドはそんなことは知らないので、SMAPがいきなり垢抜けたように感じたものだ。

セールス的にも30万枚を超える自己最高のヒット作(当時)になり、ここからSMAPの快進撃が始まるわけだから、「$10」はまさに国民的グループ誕生のターニングポイントになった作品だと言えるだろう。

それまでの正統派アイドル路線から、ちょっとアダルトな方向に舵を切ったことがうまくハマったのは間違いない。しかし、だからといって私は初期の伸び悩んでいた頃が不正解だったとは思わない。デビュー時点で最年少の香取慎吾は14歳。さすがにその年齢で「$10」のような曲を歌っても、背伸びを通り越してお笑いになりかねない。

だからデビュー3年目を迎え、満を持して正統派アイドルから脱皮を―― という時期に「$10」と出会えたことは、SMAPにとってベストなタイミングだったように思える。早すぎず、遅すぎず、やや背伸びした曲を歌っても違和感なく、カッコよく決まるのが、ちょうどこの時期だったのだ。

振り返ればSMAPは節目節目で代表曲に巡り合える幸運なグループだった。バラエティ番組やドラマで大活躍する一方、「青いイナズマ」「夜空ノムコウ」「らいおんハート」「世界にひとつだけの花」など、グループの飛躍は必ずと言っていいほどヒット曲とセットで語られる。

その最初のキッカケになったのが「$10」。もしこの時、それまでと同じく正統派アイドル路線を続けていたら……。その後の活動も、ひょっとすると違ったものになっていたのかもしれない。

余談だが「$10」がリリースになった1993年11月の為替レートは1ドル106〜109円だそうで。SMAPが解散したという事実と共に、時代の移り変わりを感じずにはいられない。

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2022.11.11
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カタリベ
1985年生まれ
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