シブがき隊・薬丸裕英は、元ジャニーズとしてやっていけるのか?
元ジャニーズ。他の芸能事務所であれば、元バーニングとか、元ホリプロとか、ほとんど気にならない。なのに、ジャニーズ事務所に所属していた芸能人だけは、「この人、元ジャニーズだよね」というのがなんとなく頭の片隅にある。所属タレントはほぼ男性(過去には女性タレントもいたらしい)、しかもアイドル中心という特殊性がそう思わせるのだろう。
ジャニーズ所属で売れっ子まで上り詰めたタレントの場合、所属していたグループが解散するなど、アイドルからの脱皮を余儀なくされたことをきっかけに退所…… という例が多い気がする。
80年代にジャニーズ所属のアイドルグループとして、大人気だったシブがき隊。彼らが解散したとき、正直「うーん、モックン(本木雅弘)は美しいし、ドラマにも引っ張りだこだけど、ヤックン(薬丸裕英)フックン(布川敏和)はどうなるかねぇ」と思ってしまった。
あのヤックンがレイプに殺人!? 衝撃展開のドラマ「もう誰も愛さない」
実際、トレンディドラマで活躍し、主演映画が大ヒットした本木と比べると、ジャニーズ事務所退所後の薬丸はパッとせず、迷走していたように思う。
薬丸出演のドラマでかなりの衝撃だったのが、1991年にフジテレビで放送された『もう誰も愛さない』だ。復讐をテーマに、ドロドロの人間関係を描いたこのドラマ、残酷なシーンも多く、伊藤かずえの生首ゴロンが忘れられない人も多いだろう。
このとき薬丸が演じたのが、ヒロイン山口智子の元婚約者。エリート証券マンとして爽やかに登場したが、つらい体験によって性格や態度が豹変。“立派” な悪役となり、レイプはするわ、人は殺すわで、「え、あのヤックンが? 元ジャニーズだよ! シブがき隊だよ!」と何度もギョッとした。
この頃、クイズバラエティ番組『なるほど! ザ・ワールド』では、堺正章とのコンビによるおもしろ解答で目立ってはいたものの、今後は2時間ドラマの悪役とかになるんだろうと、私は勝手に予想した。だって、シブがき隊時代から、薬丸のイメージはずばり “悪ガキ”。やや巻き舌気味の「♪ジタバタっするっなよっ」である。
「はなまるマーケット」の司会で大成功! 実は几帳面だったヤックン
だが、そんな私の予想は大ハズレ。元アイドル石川秀美と夫婦円満で、少子化の時代に順調に子どもをもうける “良きパパ” のイメージが薬丸の軌道を修正する。そう、1996年にスタートした朝の生活情報番組『はなまるマーケット』の司会である。
オウムビデオ事件でワイドショーを廃止したTBSテレビが半年のつなぎとして始めた番組だったが、なんと2014年まで17年半も続く長寿番組に。朝から事件や芸能スキャンダルは観たくない、生活情報で爽やかに朝時間を過ごしたい、という視聴者がそれだけ多かったのだろう。
番組長寿の要因の一つが、司会の薬丸と岡江久美子コンビにあったことは間違いない。大雑把でサバサバした岡江さんに対し、几帳面で神経細やかなヤックンというコンビバランスが番組のアクセントになっていた。ヤックン、こんなにキッチリした人だったねというのがすごく意外だった。
『はなまるマーケット』終了後は、テレビ東京の番組『なないろ日和!』にするっとシフトし、今も生活情報を私たちに届けてくれる几帳面ヤックン。世田谷区成城に豪邸を建て、2021年にはついに初孫が生まれたと聞き、もう人生いっちょ上がり感さえある。
とはいえまだ56歳、「もっとジタバタしてくれていいんだよ、ヤックン」と言いたくなるが、余計なお世話だろうか。そしてフックンに触れぬまま、紙幅が尽きてしまったことに気づくのだった(ウェブだけど)。
▶ シブがき隊のコラム一覧はこちら!
2022.10.08