4月21日

僕の前にいきなり現れたロック・シンガー、佐野元春で忙しかった夏

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佐野元春のコンピレーションアルバム「ノー・ダメージ」がリリースされた日
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photo:OTONANO  

佐野元春のコンピレーションアルバム『No Damage(14のありふれたチャイム達)』が発売されたのは1983年4月21日、僕が高校3年生の時。“14のありふれたチャイム達” とある通り、14曲が収録されていて、選曲は佐野元春本人だ。

A面をBoy's Life Side、B面をGirl's Life Sideと題していたり、アルバムとしての完成度を上げるために追加でレコーディングした曲があったり、曲間を短くするなど編集に手が入っていたりするので、ヒット曲をただまとめただけのベストアルバムとは一線を画す、ベストアルバムなんだけどオリジナルアルバムに等しいアルバム、と僕は思っている。

そして、僕にとって忘れられないアルバムでもある。

僕が佐野元春を聴き始めたのは、彼の3枚目のアルバム『SOMEDAY』から。『NIAGARA TRIANGLE Vol.2』に参加した彼の「彼女はデリケート」を聴いて、そのカッコ良さに衝撃を受けた僕は、すぐに友&愛(当時の僕の住んでいるエリアにあった貸レコード屋です)で『SOMEDAY』を借りた。

1曲目の「シュガータイム」でゾクッとして、2曲目の「ハッピーマン」でゾワゾワして、3曲目の「ダウンタウン・ボーイ」で僕は完全にノックアウトされた。

当然の流れで、またすぐに友&愛に走り、1枚目のアルバム『BACK TO THE STREET』と2枚目のアルバム『Heart Beat』を一緒に借りたんだ。この2枚のアルバムの完成度の高さは実に素晴らしく、僕の中では『SOMEDAY』より上だ。こんな日本人のミュージシャンがいたのかと感動したのを覚えている。

とにかく、この年の夏は、今まで知らなかった佐野元春という、日本人離れしたロック・シンガーが、僕の前にいきなり現れたとても忙しい夏だった。

あくまで僕の個人的な見解だけど、佐野元春はデビューアルバムの『BACK TO THE STREET』からこの『No Damage』までの4枚が一番いい。ニューヨークから帰ってきてからの佐野元春にも素晴らしい曲はたくさんあるけど、アルバム単位でみると退屈になってしまった気がする。

都市に暮らすティーンエイジャーたちに捧げられたこの時期の佐野元春の真っすぐな熱いビートは、今聴いても全然色褪せない。僕の精神年齢があの頃のままだ、ということなのかな。それはそれで困ったものだけど。

さて、『No Damage』に話が戻るけど、このアルバム、実は甘酸っぱい思い出のあるアルバムなんです。高校3年生の時、僕にはお気に入りの女の子がいて、どういう経緯でそうなったか覚えていないのだけど、このアルバムを録音したカセットテープを僕は彼女にプレゼントした。

『佐野元春の入門アルバムとしてはこのアルバムが最適だよ、ベストアルバムだし、選曲も元春本人だし、アルバムには収録されていない「スターダスト・キッズ」と「彼女はデリケート」も収録されているしね。まずはこれを聴いてみて、気にいったら他の3枚のアルバムも録ってあげるね。』的なこと言った気がする。

初めて女の子にプレゼントしたアルバム『No Damage』。そりゃ忘れられないです。


脚注:
■ BACK TO THE STREET(1980年4月21日発売)
■ Heart Beat(1981年2月25日発売)
■ NIAGARA TRIANGLE Vol.2(1982年3月21日発売)
■ SOMEDAY(1982年5月21日発売)

2016.08.26
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  YouTube / 佐野元春 - DaisyMusic
 

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うり坊
前後は細かく記憶してないけど、宇崎竜童のファイティング80で毎回アンジェリーナやグッドタイムスバッドタイムスを調子っぱずれに歌ってた姿や、甲斐よしひろのサウンドストリートで「アンジェリーナ」を初めて聞き、隣の部屋で勉強していた妹が「スプリングスティーンの新曲?」と言いながら部屋に入ってきたことや、初めて買った元春のアルバムが「HEARTBEAT」で1曲目の「ガラスのジェネレーション」をレコードが擦りきれるまで聞いたことなどがゴチャッとひとかたまりで高2か高3くらいの思い出です。ティーンエイジャーの男子が抱きしめるように聞ける元春としてはそこまででしたね。それ以降、「SOMEDAY」のアルバムは少し気取ってて自分たちの元春がちょっと遠くなった感じがしてたし、NoDamageに入っているナイアガラトライアングルに提供した一連の曲はさらに気取ってると感じて(それはカフェボヘミアで完全に決定的になるんだけど)元春に夢中になることから卒業しました。18歳とか19歳で元春の1枚目とか2枚目に出会えた幸福と、否応なく元春も僕らも大人になって時の残酷さを味わう不幸と両方を体験することになりました。つまらない大人になりたくないと本当に思ってたな。
2020/02/22 18:40
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カタリベ
1965年生まれ
藤澤一雅
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