謹賀新年。元旦である。といえば “New Year's Day” である。
2020年のメジャーデビュー40周年に向けて、衰えるどころかますます活動の勢いを増しているU2。昨年は名作『ヨシュア・トゥリー』の発売30周年記念のワールドツアー、そして12月には新作『ソングス・オブ・エクスペリエンス』で全米1位を獲得したばかり。4ディケイド(80年代、90年代、00年代、10年代)のすべてにおいて1位を獲得したバンドは過去に例がないという。
そして今日、2018年の元旦は彼らの成功への起点となった「ニュー・イヤーズ・デイ」のリリースからちょうど35周年という記念すべき日にあたる。
80年代に入ってチャート市場が全体的にソフィスティケート(懐)されていた中、突如としてアイルランドから現れた彼らの硬質でポリティカルな曲はシーンに大きな衝撃を与えた。当時のTVKや『ベストヒットUSA』などの限られた洋楽の映像ソースで、どれだけあの雪原の演奏シーンと戦争のモノクロ映像が交互に映し出されるMVを観たことか。
ただ、この曲がリリースされた当時、中学3年生のわたしは音楽を楽しむのにいちいち深く意味を考えるような年齢ではなかった。ポーランドのワレサ(ヴァウェンサ)委員長のことは社会の授業かニュースなんかで聞いていたかもしれないが、この曲のテーマになってるとは知らなかった。MVを観て勝手にアイルランドの戦争についての歌だと思っていた。
周囲の友達も同様で大半は「ボーカルの声がいいね」や「ドラムが美男子!」といった程度のものだった。せいぜい、ギターに詳しい奴が「ソロがカッコいい」などと適当な知ったかぶりをしていたくらいだ。しかし、わたしがこの曲に惹かれた理由はちょっと違っていた。
「ピアノがいいい!」
この曲で繰り返されるピアノの陰影を感じるフレーズ、そして氷点下を思わせるその冷ややかで透明感のある音色。イントロと間奏のピアノパートがわたしの頭のなかで延々と回り続けた。
このピアノパートがイントロでフィーチュアされた「USA Remix」というバージョンが出た時は、その部分だけをテープで繰り返しつなげてさらにRemixしたくらいだ。
それからしばらくして、U2ファンの中では伝説となっている「夜ヒット事件」が起きた。人気歌番組『夜のヒットスタジオ』にU2が出演した際、外タレとしては珍しく生でこの曲を演奏したのだが、機材トラブルによってジ・エッジのギターがほとんど聞こえなかったのだ。
このせいで、その後『夜ヒット』では外タレの生演奏を一切封印したし、挙げ句の果てには「U2の日本嫌い」の理由だと言い出す人も現れた。たしかに、本人達からの遺憾のコメントは出ていたが。
しかし、本人の評価や世間の感想はともかく、ギターレスでピアノがフィーチュアされることになった「夜ヒットバージョン」は、前段の理由によりわたしの中では「いいいいい!」となった。東芝のビデオデッキで録画したテープの音声のみをカセットにダビングしたほどだ。
人の好みはそれぞれ。多くの人にとって失敗と思われていることも、受け取る人によっては成功の場合もあるのだ。
というポジティブな結論に帰着させてこの投稿を締めようと思う。
みなさまが今年もこのサイトで楽しくリマインドできるように祈りつつ。
2018.01.01
YouTube / tbshockwave
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