プリンスが世を去ったなんて、いまだに信じられない。デビュー以来、ほぼ毎年のように新譜を発表し続けた精力的なアーティストだけに喪失感もディープだ。もうこの天才の新作を聴くことができないとは……
きっと多くの人が“天才”と認めるだろうから、そう呼んでみたものの、これは音楽誌等のメディアによる刷り込みが大きいのかもしれない。思い返せば、個人的にプリンスに興味を持ったのは “エロい人” だったから…… のような気がする。
初めて聴いたプリンスのアルバムは、高校2年のときにビルボードのチャートを賑わせていた『1999』。当時の国内盤には歌詞も訳詞も付いていなかったが、シングル “リトル・レッド・コルヴェット” や “夫婦のように” がヒットしてラジオでかかるようになると、これらがどうやらエロい歌であることがわかってくる。
今となっては尻の軽い女性との一夜のロマンスを歌った曲であると知ってはいるが、歌詞も訳詞もない当時、プリンスの切ないうめき声も手伝い、妄想は膨らみっぱなし。他にも『1999』には扇情的な女性コーラスをフィーチャーした “オートマティック”(後で知ったがSMのことを歌っているらしい)のような曲もある。ベッドの上で半ケツをさらすプリンスの写真もインパクト強烈で、“確信犯的にエロ路線を狙っているのでは…” と、思ったりもした。
もちろん、単にエロいからプリンスが好きになったワケではない。シンセのヒンヤリした響きはニューウェイブにも近く、それでいてファンクでロック。予備知識ナシで聴いていたらイギリスの新手のバンドと思ったかもしれない。音楽性の奇抜な融合こそが天才の証しと言えなくもないが、それを理解するのはもう少し先の話。煩悩の塊のような高校生を導き、30年以上にわたり音楽の旅を体験させてくれたことに感謝したい。さよなら、ありがとう、プリンス。
2016.04.27
YouTube / CNN
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