私の祖母は敬虔なChristianであった。日曜ごとに教会に行き、ミサに参加する。私も物心ついた頃から、教会へ連れて行ってもらい、お祈りの真似事をしていた。キリスト教の教えは全く分かっていなかったが、きれいなレースのベールをかぶり、ワインにひたしたパンを食べ、美しい讃美歌の旋律をきくのが楽しみだった。
建築としての教会も好きで、アメリカやヨーロッパに旅行した際には必ず土地土地のChurchをみては、荘厳な立たずまいや一体どのくらい手間がかかったのか想像できない繊細な彫刻にしばし見とれる。ほどなくして、教会に行くよりも友達と遊ぶほうが楽しくなった私は祖母のお供をやめてしまった。
「天使にラブソングを…」という映画と出会ったのが、第二の教会との出会い。今度は讃美歌でなく、ゴスペルだった。
N.Y.を舞台にウーピー・ゴールドバーグ演じるクラブ歌手が、事件に巻き込まれ修道院に匿われる。そこで、下手な聖歌隊をめちゃくちゃかっこいいモータウン風アレンジに変えてしまう。「アイ・ウイル・フォロー・ヒム」のシーンが一番好きだが、「おお、マリア(Hail Holy Queen)」もいい。歌うことで自分たちに自信を持っていく気持ちがすごくわかる。
映画の公開された1992年はちょうど高校受験の年で、自分なりに環境の変化やプレッシャーと戦っていた。寒くて厳しい冬に感じていたが、この映画の主人公の豪快さとかっこよさ、仲間たちの温かさ、プラスの力を与えてくれるこの聖歌隊の歌にパワーをもらって受験を無事に乗り越えた。
クリスマスシーズンになると、サントラを子供たちと聴いて今は亡き祖母を思い出す。本音では、私が清楚なお嬢様になるようにと期待して教会に連れて行ったのかもしれない。そんな気持ちを裏切ってしまう人生になってしまった私に、一言も否定を言わず愛を与え続けてくれた祖母に感謝。
寒さもせわしなさも増すこの季節、楽しみながら今を乗り切って明るい新年を迎えたい人にオススメの映画とサントラである。
2016.11.24
YouTube / MrMoonligtt
YouTube / 新濱義弘
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