4年に1度のワールドカップの季節がやって来た!
サッカーファンお待ちかね、4年に1度のワールドカップの季節がやって来た。日本代表はなんと、初戦で優勝候補のドイツに逆転勝ちを収めるという快挙をやってのけた。ぜひこの勢いでグループリーグを突破してほしいところだ。
ところで、今回も大迫勇也がまさかの代表落選、という事態が起こったけれど、ナショナルチームの代表監督というのはつくづく大変だなぁ… と思う。海外組があれだけいて、Jリーガーもいて、その中からメンバーを厳選しなければいけないのだから。
カタールに連れて行ける人数は限られているので、自分のやりたいサッカーに沿わない選手は、いくら優秀でも選考から外さねばならない。そうすると「なんであの選手を選ばないんだ!」とSNSで文句を言う人が必ず現れる。どの選手を選ぼうが… である。監督はつらいよ。
かく言う私も昨年、代表監督と同じ気持ちを味わった。拙著『昭和レコード超画文報1000枚』(303BOOKS)を執筆したとき、その前に準備として、自分が所有するレコード5000枚の中から本に載せる1000枚を選ぶ作業があった。
「1000枚なら、かなり趣味的なのも入れられるな」と調子に乗ってあれもこれもチョイスしていたら、アッという間に1000枚を突破。再び選び直すハメになり、しかもかなり悩んだために、選ぶだけで1ヵ月もかかったりして(笑)。
1000選ぶのでもそれだけ迷うのに、ワールドカップ代表は、各クラブの優秀なプレーヤーの中からたった26名しか選べないのだ。しかも日本代表となれば、納得の行く理由が求められる。それで負けた日にゃ……
「ロックW杯制覇」も決して夢ではないベストイレブン選出!
つくづく、サッカーの監督にならなくて良かったと思っていたら、今回はなんと「80年代の邦楽男性ロックアーティストで、イレブンを選考してほしい」という激ムズな依頼が来た。Re:minder編集部さん、アナタ方、どこまで「S」なんですか?
とはいえ、無茶振りをされるとつい血が騒ぐ「M」な私。森保監督の気持ちになって、80年代男性ロックボーカリストから、なんでそのポジションなのか、しっかり理屈も付けて11人を選んでみた。選考基準は完全に私の趣味なので、文句が出るのは先刻承知。だが、この布陣なら「ロックW杯制覇」も決して夢ではないと信じている。
では、さっそく発表といこう。ただ11人並べても面白くないので、森保ジャパンと同じ「4-2-3-1」の布陣を組んでみた。後ろから順に紹介していく。(カッコ内は所属クラブ…… じゃない、バンド)
GK:大友康平(HOUNDDOG)
「♪守備がすべてさ 今こそ誓うよ」
―― ということで、敵のシュートを防ぐのは、とにかく打たれ強い大友康平に任せたい。バンドのリーダー兼フロントマン兼マネジメントも担当。ワンマンという批判を受け、今やHOUND DOGはメンバーが大友1人の “ソロバンド” になってしまったが、キーパーはそのぐらい我が強くないと務まらない。ただしご本人、熱狂的な巨人ファンなので、キャッチャーミットとプロテクターをつけてゴールに立ちそうなのが懸念材料だ。
DF センターバック:吉川晃司(COMPLEX) / 藤井郁也(現・藤井フミヤ、チェッカーズ)
自陣に攻め込んできた敵のフォワードに対し、体を張って攻撃を食い止めるセンターバック。これはケンカが強そうな2人に任せたい。吉川は広島、フミヤは久留米出身。どちらも血の気の多い土地柄で、2人とも若き日の武勇伝が漏れ伝わっている。
吉川が「♪ビーマイベイベー ビーマイベイベー」とリズム良く相手を止め、フミヤが「♪ナイフみたいにとがって」いれば、そうそう得点は許さないはずだ。
DF サイドバック:岡村靖幸 / 尾崎豊
かつては守備的ポジションだったが、現代サッカーでは攻撃の起点にもなる重要な役目のサイドバック。両サイドを素早く駆け上がる運動量が必要だ。となると、80年代にステージを所狭しと駆け回ったパワフルなこの2人が適任かと。
岡村ちゃんはEPICソニー、尾崎はCBSソニー。レーベルは違えど同じソニー系列の2人は親友同士だった。ステージで一緒に「Young Oh! Oh!」を歌う映像も残っている。
岡村ちゃんがロングシュート決めたら、尾崎はどんな顔するだろう?
MF ボランチ:佐野元春 / 大沢誉志幸
続いては、守備的ミッドフィルダーのボランチ。ポルトガル語で「ハンドル」を意味し、いわばチームの舵取り役だ。ボランチは、高い技術を持つだけでなく、一歩引いてチーム全体を統括する能力も必要。自身のソロ活動だけでなく、他のアーティストのプロデュースなど裏方も経験した2人が最適だ。
偶然だが、元春も大沢も所属はEPICソニーで息もぴったり。両サイドバックの2人と合わせ、ソニー勢で後方を固めるこの並び、なかなかいい布陣じゃないすか?
MF ウイング:どんと(BO GUMBOS) / 奥田民生(UNICORN)
サイド攻撃を仕掛けたり、クロスを上げたり、時には自らドリブルで中央を突破し、シュートを決める両ウイング。変幻自在、多彩なスタイルを持つプレーヤーを据えたい。となるとやっぱこの2人だなぁ。…… あ、またソニー勢を選んでしまった(笑)。両者とも揺るぎない「自分」があるので、どんなスタイルでやろうと、どんとの歌、民生の歌になるのが素晴らしい。
私は大学時代、BO GUMBOSのファースト『BO&GUMBO』(EPICソニー)とUNICORNの『服部』(CBSソニー)ばかり聴いていた時期がある。どちらも1989年リリース。80年代ラストイヤーを締めくくる名盤なので、まだ聴いたことがない人はすぐ聴かないと、“人生の損失” でっせ。
MF トップ下:桑田佳祐(サザンオールスターズ)
桑田佳祐というボーカリストを「80年代」という限定的なワードでくくるのは少し抵抗があるが、やっぱりこの人はチームにいてほしいので選出。ポジションはもちろん「背番号10」のトップ下だ。
今年は「桑田佳祐 feat. 佐野元春、世良公則、Char、野口五郎」という同世代ユニットを結成したり、オールド世代と若い世代をつなぐ役割も果たした。クセの強いメンバーも桑田の言うことなら文句は言うまい。独特のフリーダムな歌唱法で、日本語と英語の枠を取っ払った強引な「突破力」は勲章モノ。
FW ワントップ:甲本ヒロト(THE BLUE HEARTS)
最後に、敵陣を切り裂くワントップは甲本ヒロトで決定。80年代後半、THE BLUE HEARTSが与えた影響はあまりに大きかった。大学時代、サークルの部室に行くと、必ず誰かがラジカセでブルハの曲をかけてたもんなぁ。
ドブネズミみたいに
美しくなりたい
―― はロックの殿堂入りさせるべき名フレーズ。好き嫌いは別にして、彼らが演っていたのは、どんな人の心にもズカズカと踏み入ってくる「突破力の高い音楽」であり、ヒロトの声には有無を言わさぬ力強さがある。毎試合ハットトリックを決めてくれそうな、そんなボーカリストは彼しかいない。
FW スーパーサブ:忌野清志郎(RCサクセション)
「イレブン」と指定されているのに、12人目を選んでしまった私を許して(笑)。やっぱ、80年代で、清志郎がいないのはおかしいっしょ。彼にはいちばんいい場面でゴールを決めてほしいので、あえてベンチに置きたい。
リードされている場面でも、清志郎が出て来たらスタンドは自然と総立ち。劣勢を逆転ムードに変えてくれるはずだ。
―― 他にも選びたかったボーカリストがたくさんいて実に悩ましかったが、楽しいひとときだった。あなたも自分流の「○○ジャパン」を選んで、プレイリストを作ってみてはいかがだろうか?
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2022.11.27