4月25日

戻ってきた竹内まりや!80年代を代表する神アルバム「VARIETY」

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photo:Warner Music Japan  

もう9月になってしまった…

あまりにも時の過ぎるスピードが速い。早く竹内まりやを聴かないと秋も終わってしまう。

ここ数年、仕事があまりにも忙しくて休みも取れない。季節を肌で感じることが出来ない残念な日々… 仕事をしながら聴く曲で季節を感じるしかないという悲しい現実に直面する。

今年の夏は、サザンオールスターズばっかり聴いていた。しかもリマスタリングされ再発された全アルバム(CD)を買い直して。もちろん、そのアルバムの曲順通りにじっくり、しっかりと聴いていく。まあ、好きな音楽を聴きながら仕事をするなんて、サラリーマン時代には出来なかったわけで、これはこれで幸せなのかもしれない。

僕がもっとも “秋” を感じて、この時期好んで聴くアーティストはもちろん「竹内まりや」だ。彼女との出会いは、Re:minder 世代の大方の人がそうだと思うのだけど、1979年発売の「SEPTEMBER」。この時、僕は中学2年生だった。ちょっと悲しい失恋の曲だけど、TV やラジオから流れてくる林哲司の軽快な曲調の虜になり、以降この曲が秋の定番となっている。だからか、なんとなく秋になると竹内まりやを聴きたくなるのだと思う。

そして、1980年に発売された次のシングル「不思議なピーチパイ」で僕の竹内まりや好きは決定的なものとなる。

安井かずみ・加藤和彦夫妻が手掛け、80年の資生堂春のキャンペーンソングとして使用されたこの曲は、またもや一瞬で僕を虜にした。「竹内まりやは、日本を代表する女性ポップスシンガーで、日本のオリビア・ニュートン・ジョン」だとか、僕はプロデューサー気取りでガールフレンドに自慢気に話したりしていた。今思うと、まだ中学生のくせに生意気だったなぁ~。

それほど夢中になっていた竹内まりやが、活動休止を発表したのが1981年だ。その理由は、喉を痛めたとか、アイドル的な活動のオファーが続き、自身が希望する活動とのギャップに悩んでのこととか言われている。彼女の当初の世間の評価は「ぽっと出の女子大生シンガー」だったとのことだけど、少なくとも僕はそうは思っていなかったので、もの凄く残念で仕方がなかった。

活動休止中、河合奈保子に「けんかをやめて」を提供してヒットを飛ばしたという事実は、竹内まりやファンとしてはうれしいことではあったけれど、曲を歌う立場(シンガー)から詞や曲を提供する立場(ソングライター)になったのかという諦めもあって、彼女の声が好きだった僕には、ちょっと複雑な気持ちだったんだ。でも、竹内まりやは戻ってきてくれた。自ら作った曲を自ら歌うシンガーソングライターとして。

1984年、その素晴らしい出来事は起こる。4月25日に発売された6枚目のアルバム『VARIETY』は、本格的に活動を再開した作品というだけではなく、全曲が自身の作詞・作曲という、「シンガーソングライター・竹内まりや」を宣言した記念的作品。

そして、全曲のアレンジ&プロデュースに山下達郎。二人が結婚したことで、活動を開始した際はこうなるだろうと、こうなったらいいなとは思ってはいたけど、実際にこのクレジットを見た時は、全身に鳥肌が立った。

1曲目は「もう一度」。いきなり山下達郎の神コーラスから始まり、竹内まりやの伸びやかで瑞々しい歌声がそれに続く。初めて聴いた時の感動は、そりゃこうなるだろうという期待の遥か上を行っていて、ちょっと涙ぐんでしまったほどだ。

戻ってきてくれたうれしさからの加点があったとしても、このアルバムの出来は実に素晴らしい。彼女のソングライターとしての能力の高さも見事に証明しているし、夫の山下達郎だけでなく、親衛隊として参加している大物ミュージシャンの面々から言っても、80年代を代表する神アルバムだ。

そして、竹内まりやが本当の意味で竹内まりやとなったアルバムとしても殿堂入りだ。だから僕はこのアルバムがとても愛おしい。

さて、もう一度聴こう。今日も朝まで仕事だ…


最後に――

『VARIETY』にも収録されている名曲「マージービートで唄わせて」に、バックコーラスで参加されている伊藤銀次さん。9月24日に開催される Re:minder のトークイベント『Re:spect vol.2 ー 人間交差点 ♪ 伊藤銀次』がとても楽しみです。日本のロック&ポップスが生まれたあの時代の宝物のような裏話が聞けると思うだけで、僕は今からワクワクしています。

2018.09.14
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  YouTube / 竹内まりやVEVO
 

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カタリベ
1965年生まれ
藤澤一雅
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