カラオケへ行き、喉が疲れてきた頃によく歌う曲が、中島みゆきの「悪女」。
この曲がリリースされた 1981年は、悪女と聞けば “魔女か悪魔か意地悪な子” ぐらいの認識しかない小学二年生でしたから、リアルタイムに知っていたのではなく、はじめて歌ったのが大学生のときです。チョイスの理由が、心地よいメロディラインと、初めから終わりまで力を抜いて歌えるからだったので、歌詞の意味を考えたこともなく、十八番のわりには今も字幕を見なければ歌えません。
ところがつい先日、久々のカラオケでいつものように「悪女」を選び、歌いながらふと、“スマホ時代の今ならばどうなるのだろう” という思いがよぎり、いまさらですが歌詞をよく読んでみました。
まず固定電話を使いませんから、マリコのスマホにLINEを送り、ウザイと思われない程度でやめておき、フェイスブックやインスタでリア充のふりをする。スタバでスマホをいじりながら暇をつぶし、“帰れるあてのあなた” も既読がつかず、ファミレスのドリンクバーで「行かないで」とLINEを書いては消し、一夜を明かして一番電車。という感じでしょうか。
中島みゆきが29歳の時の歌なので、30歳前後のあの頃を思うと、わかるわかると泣けてきます、、、スマホもLINEもありませんでしたが。失恋を前にした、ひとりぼっちの休日を過ごす女性のいじらしい見栄と、浮気男を嫌いになれないけなげさは、悪女というよりも可愛さに共感! 連絡手段や時間の潰し方に違いこそあれ「悪女」は今の20代、30代にもカラオケで歌われる世代を超えた失恋ソングの傑作です。
だんだん主人公のその後が気になってきたので、勝手にテレビドラマ的な妄想をしてみました(中島みゆきワールドを壊してしまい、すいません)。
■涙をひとりポロポロ流している姿を “帰れるあてのあなた” が見つけ、涙目で「行かないで」とつぶやき、ハッピーエンドな石原さとみ。
■頭の中で「行かないで」と言いながらも、振られるように仕向け、泣きながら一人酒の後は仕事に邁進する天海祐希。
■月夜に微笑み、“帰れるあてのあなた” もしくは “あなたの隠すあの娘” に毒を盛る米倉涼子。
次にカラオケで悪女を歌うときは、力をこめて歌い上げます。
2016.09.01
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