10月26日

バクチクのメジャー初シングル「JUST ONE MORE KISS」とCDラジカセ・シーディアン

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photo:buck-tick.com  

結成は1985年! 秀逸すぎるコピー「バクチク現象」


BUCK-TICK(バクチク)には「80's感」が希薄だ。だが、不動の現メンバーによる結成は1985年。ロンドン郊外で『ライヴエイド』が開催された年である。

メジャーデビューはZIGGYやPERSONZ、レピッシュ、ザ・プライベーツ、ユニコーン、ブルーハーツらと同じ1987年―― 僕のいちばんのBUCK-TICKの思い出は80年代にある。

1987年9月、BUCK-TICKは『バクチク現象 at THE LIVE INN』というVHSのライブビデオでメジャーへ進出した! 今思い返してみても “バクチク現象” というコピーセンスは秀逸だと思う。バンド名同様に、ビジュアル優先で中高生の心を鷲掴みにする、これしかないと思えるわかりやすいワンワードだ。僕も力いっぱいその現象に乗っかった。

さらに翌1988年、BUCK-TICKならではのイカしたキャッチコピーが思わぬところから登場する。それはブラウン管の中からやってきた。ビクターのCDラジカセ「CDian(シーディアン)」の TV-CMにBUCK-TICK が出演したのである。

メジャーでのファーストシングルとなった「JUST ONE MORE KISS」が流れる中、空港のロビーを闊歩する髪を逆立てたド派手な5人のメンバー。彼らにいぶかしげな視線を向けるサラリーマンのオッサンたち。その強烈なCMのキャッチコピーは――

「重低音がバクチクする。」

いやー絶妙だ。この言葉にもシビれたが、ラジカセで重要なのは重低音!それこそ、バクチクなるものなのだ!と僕は信じて疑わなかった。そして使いもしないダイエースプレーを買ってきて学習机の上に飾った。

そんなわけで、僕は中学生の一時期、BUCK-TICKとCDianを同時に追いかける日々を過ごした。カセットテープでBUCK-TICKを聴きながら、いつの日かCDianを手に入れることを夢見ていたのである。



斬新だったBUCK-TICKの音楽性


その頃のBUCK-TICKの音楽性は、大きくくくれば、BOØWY解散後に雨後の筍の如く出てきたメロディアスなビートロックの範疇ではあったが、YMO好きを公言する今井寿の弾くニューウェイヴなギターの音色とフレーズには斬新なものがあった。TV-CMにバーンっと登場するメジャー感も気に入った。

たとえばクラスで「メトロファルスが好き」と言っても誰も理解してくれなかったが、「光GENJIよりもBUCK-TICKが好き」と言えば、ロック少年の趣味趣向が伝えられたのだ。

一方、ラジカセCDianは、4万円台半ば~8万円台後半、僕にとっては価格が高すぎた。結局手が届かなかったけれど「ダブルカセットデッキ + サブウーハー」という、今聞いてもワクワクドキドキするような仕様には本当に憧れた。とにかくBUCK-TICKとCDianは、僕の記憶の中では80年代における切っても切れない関係で、今となっては本当はどっちのファンだったのかわからないくらいなのである。

不動のメンバーで今もロックし続けるスゴイ奴ら!


あれから30年以上の時を経た今、高級CDラジカセはほぼ役目を終え、CDまでもが市場から存在感を失いつつある。僕だって中学生からアラフィフになり、正直、妙な若者から目をそらすこともある。気がつけばTV-CMで見た空港のオッサン側に片足を突っ込んでる。

その間、BUCK-TICKはメンバー変更もなくずっとメジャーでロックし続けてきた。ヴォーカル櫻井敦司はあの頃の美貌をとどめたままだ。

そして2022年はメジャー・デビュー35周年にあたる。35年というと、新卒で入社したサラリーマンが定年退職まで勤め上げた年数とほぼ同じ。改めて考えると、なんとスゴイ奴ら! なんたる働き者たち! これからもバクチクしながら唯一無二のゴシックな輝きを放ち続けてもらいたい。われらの「バクチク現象」よ―― 永遠に。


※2018年11月22日、2019年10月26日に掲載された記事をアップデート

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2022.10.26
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1974年生まれ
吉井 草千里
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