ちょっと気が早いけど、個人的に来年2020年東京五輪の NHK五輪放送のテーマソングが気になるこの頃。
ウィキペディアを使って “NHK オリンピック歴代テーマソング” で検索すると、2020年 NHK 五輪放送テーマソングはフーリンの「パプリカ」となっていますが、これってもう正式決定なんでしょうかね? たしかに NHK のサイトでは、『NHK 2020応援ソングプロジェクト』という事にはなってるけど、まだ “五輪放送” テーマソングとまでは書かれてないんだけどなぁ…。
NHK の五輪放送のテーマソングって、毎回好評なんだよね。アーティストにとっても、4年に一度の “栄誉” でもあるし、なにせ “天下” の NHK に認められたっていう向きもあるしな。暮れの『紅白歌合戦』も当確間違いなしっていう事もあるしな…。アーティストサイドにとって1粒で何度もおいしい… って訳ですわな。
だけどね、NHK 放送開始の昔から五輪放送で、アーティストの曲をテーマソングとして使っていたのか… というと “さにあらず” なんですよね。
初めて NHK の五輪放送にテーマソングが使われたのは、1984年のロサンゼルス五輪の時なんじゃないのかなぁ。ただし、この時は NHK 独自のテーマソングではなく、あくまでロサンゼルス五輪としての公式ソング。
そそそ、今でも時々聴くけど、ロス五輪「オリンピック・ファンファーレとテーマ(Olympic Fanfare and Theme)」。タイトルは知らなくても、聴けばだれでも分かりますよね。「あ、これか!」って。『スター・ウォーズ』『E.T.』『シンドラーのリスト』などなど、ハリウッド映画音楽の巨匠、ジョン・ウイリアムズ氏作曲のお馴染みのファンファーレですわ。
蛇足だけど、当時、吹奏楽部でトロンボーン吹いてたワタシャ、これが憧れでしたねぇ。いつかやりたいよなぁ… なんて思っていたものの、ここまで吹けるヒト達が集まった部活じゃなかったからなぁ…。と、話がずれた。
このロサンゼルス五輪は「商業五輪」元年なんて言われ、この「オリンピック・ファンファーレとテーマ(Olympic Fanfare and Theme)」を含めた、『L.A. オリンピック公式アルバム』なるアルバムまで発売されて、日本でもオリコンでベストテンに入る大ヒットを記録したもんだよな。
こんな理由から、NHK の五輪放送でも、このファンファーレが使われてた… ような気がする。ただ同時に公共放送、皆様の NHK が商業主義に加担するとは何事だ… なんて批判も受けたような気もする。
そんな流れを受けて、次の1988年ソウル五輪放送でアーティストの曲をテーマソングに… なんて事になったのかどうかは分かんないけど…(爆)。で、選ばれたのが、今回紹介する浜田麻里「ハート・アンド・ソウル」。
ただね、この曲… というか、浜田麻里が NHK の五輪放送のテーマソングに… って聞いた時は、意外だったよなぁ。いや、マジで意外だった!だって、浜田麻里といえば、日本での女性ヘビィメタルの草分け的な存在だったしさ。そんなハードロックの女王… いやいや、ヘビメタ界のアイドル的な存在だった訳で。
アイドル… なんて書くと、今の BABYMETAL か!? なんて思っちゃう方もいるかもしれないけど、そうぢゃない!“アイドルっぽいヘビメタ” じゃなく、“ヘビメタ界のアイドル” で、女性とは思えない、ハードかつパワフルなボーカルには定評があったヒト、それが浜田麻里ですわ。
まあ、それまでヒット曲らしいヒットはなかったんで、いわいるゴールデンタイムの歌番組にも出てなかったし、幅広く知られた存在ではなかったんだけどさ。
ワタシもね、この「ハート・アンド・ソウル」以前、たまたま、夜遅くやってた歌番組に、このヒトが出てて「コール・マイ・ラック」(…だったかな)を歌ってて、思わず引っかかっちゃったんだけど。だから、たまたまそれを見てなかったら、恐らくこの曲が出てくるまで、浜田麻里の事は知らなかったと思う。
そのくらいの知名度だった… ってこともあるけど、何より驚いたのは、天下の NHK が “ハードロック” のアーティストを起用したってところだったんだよな。だって、それまでの NHK だったら、もっと安全牌… と言っちゃ失礼だけど、もっと国民的なアーティストを起用してきたはずだよね。なにせ公共放送 “皆様のNHK” なんで。
今でこそ、NHK がハードロックだろうが、アイドルだろうが、ジャンルを超えてアーティストを起用することに対して違和感を感じなくなった。… けど、31年前はまだまだお堅い “お役所” のイメージがあったからなぁ。だからね、浜田麻里を起用するにあたっては、相当な勇気が必要だったんじゃないか… なんて想像するんだけどね。大げさかもしれないけど、一大決心だったと思う。
アイドルからロックへ… っていう流れが加速して行っていた訳だし、その流れにうまく乗れたと言っても良いんだろうけどな。そんな時代の流れをしっかり見据えていたんでしょうかね、NHK も。でも、それまでの慣例を破り浜田麻里を起用したからこそ、ソウル以後の NHK五輪放送は、テーマ曲と映像が一体化した躍動感ある放送に変わったようにも思えるんだな。
まあ、この「ハート・アンド・ソウル」。それまでの浜田麻里の曲に比べると、ハードロックとはいえども、まだまだ大人し目に抑えた曲調だったんだけどね。今聴くとポップにも聴こえるし。そのあたりは、一応 NHK という事を意識したんでしょうかねぇ。いずれにしても、この曲がきっかけで、浜田麻里はブレイク!その次の「リターン・トゥ・マイセルフ」では、この曲以上の大ヒットに繋がりましたしね。
余談だけど、88年の浜田麻里「ハート・アンド・ソウル」に続く、92年バルセロナ五輪では寺田恵子「パラダイス・ウィンド」、96年アトランタ五輪では大黒摩季「熱くなれ」… と一貫して派手なハード路線を貫いた NHK 五輪放送テーマソングも、2000年シドニー五輪の Zard「ゲット・ユア・ドリーム」以降は、比較的大人しめな曲が続いてるんだよな。その中で、2004年アテネ五輪では、ゆず「栄光の架橋」のように、体操競技実況の中での名セリフも生まれたのはご承知の通り。
でも、個人的には2020年東京五輪では地元開催だからこそ、2000年以前のような “派手派手” な曲をテーマソングに持ってきて欲しいんだけどなぁ。
Song Data
■ 浜田麻里 / ハート・アンド・ソウル
■ 作詞:浜田麻里
■ 作曲・編曲:大槻啓之
■ 発売:1988年9月7日
■ 発売元:ビクター
■ オリコン最高位:7位
■ 売上枚数:15.3万枚
■ タイアップ:NHK『ソウル五輪放送』テーマソング ■ かじやんの THE HITCHART HOT30 最高位:9位
■ HOT30 ランクイン期間:1988年10月31日~11月7日付
2019.10.24