日本でも大盛況に終わったV&Aの『DAVID BOWIE is(ボウイ展)』。
展示の終盤、ベルリン時代を総括するパートにこの展示全体を通して僕が一番好きな展示があった。『NHKスペシャル 新・映像の世紀』でも放送された1987年のベルリンの映像。
隣が『戦メリ』コーナーで大盛況だったが家庭用テレビ位の画面に映し出されたこの映像は注意していないと見落としてしまう程であった。しかし、その映像と物語はデヴィッド・ボウイという人の本質を表していた。
ボウイは2003年のインタビューでこう言った。「自分が演ってきた中でも最高に感動的なステージの一つだった。あのときは目に涙が浮かんだよ」
彼が一貫して表現し続けたのはアウトサイダーの視点、弱者の魂の救済だった。そして、ボウイはアウトサイダー達の守護聖人となった。
ところで、ベルリンと言えば守護天使ダミエルが主人公の映画『ベルリン天使の詩』。そして、ニック・ケイヴとブリクサ・バーゲルト。
豪州出身のニックは80年に荒涼とした故郷を飛び出し英国で活動するが、当時豪州人は受け入れられなかった。まだメン・アット・ワークもインエクセスもカイリー・ミノーグもデビューしていない時代。彼はノイバウテンを頼って82年にベルリンに移住しているが、「ベルリンに来て初めて自由になれた気がした」と語っている。
DavidとNick
全く接点のない様に思える二人だが、ベルリンへの移住は、ボウイへの憧れがきっかけだったと思う。
ボウイのベルリン3部作はベルリンのハンザスタジオでレコーディングされたが、ニックもこの同じスタジオでニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズ名義で84年と86年に録音している。
ベルリンの壁を挟んで西側からスピーカーを東ベルリンに向けて歌ったボウイ。『ベルリン天使の詩』の終盤、ライブハウスで圧巻のステージを魅せたニック・ケイヴ。この対比も興味深く、とにかくベルリンに行ってみたくなった。
2017.10.19
YouTube / nightwalk
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