2026年 8月30日

山崎ハコ【最新ライブレポート】デビュー50年!18歳までに書いた初期名曲を笛吹利明と再演

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山崎ハコのコンサート「1975デビューリサイタル CD発売記念 山崎ハコ アコースティックライブ」開催日
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チケットはたちまち完売、山崎ハコのアコースティックライブ


2026年8月30日、東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで『1975デビューリサイタル CD発売記念 山崎ハコ アコースティックライブ』が開催された。デビューアルバム『飛・び・ま・す』(1975年)と、セカンドアルバム『綱渡り』(1976年)がデラックス・エディションとして発売され、1975年のデビューリサイタルを収めた『1975デビューライブ〜飛・び・ま・す』もリリース。山崎ハコ再評価の機運が高まる中、この日のライブは、『飛・び・ま・す』『綱渡り』の収録曲に限定されたセットリストだった。そして『綱渡り』のレコーディングでアコースティックギターを弾いた笛吹利明も参加し、当時の空気感まで伝えようという趣向だ。この企画が発表されると、チケットはたちまち完売したという。

酷暑も少し収まってホッと一息つける感じの夕方の渋谷。109の横から道玄坂を少し上った場所にある渋谷プライム6階のSHIBUYA PLEASURE PLEASUREには、若者の街というイメージの強い渋谷だが、会場には年配の観客が多く集まっていた。もちろん僕もその1人だった。

オープニングは定番曲「望郷」、18歳までに書いた歌を披露


開演時間になり客席が暗転する。やや暗めにライティングされたステージに、ジーンズと黒のカットソーというシンプルな姿の山崎ハコが現れ、センターに置かれた椅子に座る。背後にセットされた2本のギターのうち1本手にして、ファーストアルバム『飛・び・ま・す』の1曲目「望郷」を歌い始めた。彼女のコンサートではオープニングの定番曲だ。

2曲目は同じく『飛・び・ま・す』収録曲の「橋向こうの家」。演奏後 “今日はようこそおいでくださいました。山崎ハコです” と挨拶。さらに、この日に歌う2枚のアルバムの収録曲はすべて18歳までに書いた曲であり、聴いた人がどう思うかなど考えたこともなく、むしろ人にしゃべれないことを歌にしていたと、これから歌う曲の背景をさりげなく伝える。

続いて “私はこのギターでデビューしました” と、手元に抱えたギルドのギターを紹介。デビュー時に買ってもらって、当時はいつもこれを弾いていたという。また、このギターはライン録りではなく、必ずギターの前にマイクスタンドを立てていることも明かした。そんなエピソードに続いて『綱渡り』収録曲の「ひとり唄」、さらに初期からライブでは歌われているが、スタジオレコーディングされていない「街」が披露された。

笛吹利明のギターが「歌いたいの」に生んだ新たな奥行き


弾き語りで4曲を披露した後 “ここからがすごい” と笛吹利明を呼び込む。笛吹のチューニングが終わると、2本のギターによる「歌いたいの」(『綱渡り』収録曲)は、まるでレコードの音がそのまま再現されたかのように響いた。

それまでの4曲からは、時に激しく突き進んでいくような、山崎ハコの真っ直ぐな感情が伝わってきた。しかし「歌いたいの」では、笛吹利明の柔らかくふくよかでありながら芯のあるギターが寄り添うことで、山崎ハコの音楽にさらに奥行きが生まれ、メランコリックな表情がより鮮明になった。決して悪い意味ではなく、ポップさと伝わりやすい情感がプラスされることで、聴き手が山崎ハコの音楽性に、より素直に浸ることができた。

2本のギターが躍動する「ハーモニカ吹きの男」


続いて演奏された「ハーモニカ吹きの男」では、笛吹利明とのアンサンブルによって、ブルージーな楽曲の世界がよりダイナミックに広がっていく。演奏中、2人が音で会話をしながら、曲をまるで生き物のようにスウィングさせていく様子が手に取るように伝わってきた。それは、まさにライブの醍醐味だった。曲のエンディングで2人が交わしたアイコンタクトも、僕は見逃さなかった。

「ハーモニカ吹きの男」が終わり、ステージにキーボード奏者のエルトン永田が呼び込まれる。エルトン永田は『綱渡り』のレコーディングには参加こそしていないが、その後の山崎ハコのレコーディングやステージでも演奏しており、気心の知れたミュージシャンのひとりだ。彼が加わることで、ステージはさらに厚みを増し、『綱渡り』のセッションを彷彿とさせる臨場感が高まっていく。



約7分の大曲「誕生祝い」の圧倒的な説得力


エルトン永田が加わって以降に演奏された曲は、『飛・び・ま・す』に収録された「さすらい」以外は、「ひまわり」「向かい風」「綱渡り」「誕生祝い」と『綱渡り』に収められている曲ばかりだった。なかでも山崎ハコ自身が歌うのが大変すぎるという難曲「誕生祝い」は圧巻だった。『綱渡り』の最後に収められているこの曲は、メランコリックなギターサウンドで始まり、途中から次第にエモーショナルさを増していき、さらに一転して重い情念を感じさせて終わるという約7分の大曲だ。

「誕生祝い」は、彼女が好きだというピンク・フロイドの影響を思わせるプログレッシブ・ロック・ナンバーだ。そして演奏もさることながら、ボーカルも音域が広く、歌の表情の変化も多彩で高度な技巧を要するスキャットまであり、ライブで演奏するにはきわめてハードルの高い曲だ。それを、この日の3人は圧倒的な説得力で聴かせてくれた。この「誕生祝い」を聴くだけで、ライブに来た甲斐があったと感じた。

50年越しのセッションが実現した「ヘルプミー」


しかし、ライブはこれだけでは終わらない。最後はファンなら絶対に聴きたい「飛びます」と「サヨナラの鐘」(ともに『飛・び・ま・す』収録曲)で大きく盛り上げて本編を締めた。さらにアンコールでも、山崎ハコはひとつのサプライズを用意していた。

『綱渡り』に収録され、海外でも人気が高い「ヘルプミー」をスタジオ録音のオリジナル音源(カラオケ)に、3人の生演奏を重ねたのだ。『飛・び・ま・す』『綱渡り』のレコーディングセッションの後、メンバーと “またやろう” と語り合ったというが、まさにここで、50年越しのセッションが実現した。それこそが、この日のライブに託された最大のメッセージだったのだと思う。

コンサート中、当時の自分を “あの時のあの娘” と呼び、その早熟な凄さを客観的に捉えながら、現在の自分の中にも “あの娘” をちゃんと生かし続けている山崎ハコ。その一貫した50年の姿勢がステージから伝わってきた夜だった。


Information
山崎ハコ『1976 リリースライブ ~綱渡り』



1976年5月25日、セカンドアルバムの発売日に東京都市センターホールで開催された『綱渡り・発売記念リサイタル』を収録している。当日は会場に入れないファンが会場周辺に多数集結、騒然としたなかで開催されたという伝説的な公演をアンコール、トークまでフル収録して初商品化。
・発売:2026年9月30日(水)
・仕様:CD2枚組
・価格:3,850円(税込み)
・予約:
http://inn.lnk.to/tsunawatari-live1976

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2026.09.22
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カタリベ
1948年生まれ
前田祥丈
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