2026年 8月26日

小泉今日子や森高千里が再解釈【ピンク・レディー50周年】名曲が甦るトリビュートアルバム

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ピンク・レディーのトリビュートアルバム「ピンク・レディー伝説 Now and Forever -50th Anniversary Tribute Album-」発売日
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スーパーデュオ、ピンク・レディーが登場して50年


ピンク・レディー登場時の記憶はあまりにも鮮明だ。最初はクラスの男子たちが、インパクト抜群のユニット名と “股開きステップ” に食いつき、頭サビの「♪ペッパー警部!」を口ずさむ。程なくすると女子たちが休み時間に振り付けを真似し始めた。その勢いは、まさに燎原の火(りょうげんのひ)のごとく。いつの時代も子供たちは面白いものに敏感だ。彼女たちの姿がテレビや雑誌に溢れるまで、そう時間はかからなかった。

ミイ(未唯mie)とケイ(増田惠子)がピンク・レディーとしてデビューしたのは1976年8月25日。意外なことに「ペッパー警部」のイニシャル(初回出荷枚数)はわずか3,000枚だった。当時、多くのアイドルを輩出していた『スター誕生!』(日本テレビ系)の出身なら、日本テレビのバックアップを見込めることもあって、新人でも3万枚以上が相場だったというから、異例の少なさだ。

しかも、各局が主催する音楽祭が華やかなりし昭和の歌謡界において、8月25日は遅すぎるデビュー。各社イチ押しの新人歌手は新人賞の獲得に向けて、春から初夏にかけて売り出されるのが常だったので、その点からも期待されていなかったことが分かる。

そこからの快進撃や時代背景は拙稿、「8月25日デビュー!ピンク・レディーはテレビ黄金期が生んだ “はじめての味覚”」に詳述したので、ここでは省くが、今年はそのスーパーデュオが誕生して50年の節目にあたる。

大ヒットチューン10曲を中心に構成されたトリビュートアルバム


ビッグアニバーサリーに合わせて、西武渋谷店では特別催事『ピンク・レディー50周年祭』(8月20日〜30日)を実施。デビュー日の8月25日にはLINE CUBE SHIBUYAでトリビュート・コンサートが開催された。そのコンサートとともにトリビュート・プロジェクトの中核をなすのが、8月26日にリリースされたトリビュートアルバム『ピンク・レディー伝説 Now and Forever -50th Anniversary Tribute Album-』だ。

同アルバムは “おもちゃ箱をひっくり返したような” ピンク・レディーの世界を創り上げた阿久悠(作詞)と都倉俊一(作曲・編曲)の手による全11曲の構成。デビュー曲「ペッパー警部」からオリコンで9作連続1位を達成した「カメレオン・アーミー」までの大ヒットチューン10曲と、ラストシングルの「OH!」が原曲の発売順に収録されている。

森高千里と渡瀬マキが歌う「ペッパー警部」


オープニングを飾る「ペッパー警部」はともに1969年生まれの森高千里とLINDBERGの渡瀬マキが歌唱。同曲の発売時、7歳だった彼女たちはミイとケイに憧れて振り真似に熱中した、ど真ん中世代で、特に森高は1990年の『森高ランド・ツアー』でピンク・レディーの楽曲をメドレーで歌い踊ったこともあるほど、筋金入りのファンとして知られている。2人は1987年デビューの同期生でプライベートでも親交があるだけに息の合ったユニゾンを披露。少女時代に聴きこんだオリジナルに忠実なサウンドで、リスナーをピンク・レディーの世界へといざなう。

2曲目は一転、斬新なジャズアレンジが施された「S・O・S」を、20歳のシンガーソングライターAKASAKIと、超絶技巧のピアノトリオ、H ZETTRIOとのコラボで楽しめる。2024年リリースの「Bunny Girl」がSpotifyで1億2,000万回以上再生されているAKASAKIは、H ZETTRIOが奏でる躍動感溢れるサウンドに乗せて、バックコーラスも含む軽妙なボーカルを聴かせてくれる。トリビュートアルバムに参加したアーティストのなかでは最年少で、Z世代によってピンク・レディーの音楽が新しい装いで甦ったことが嬉しい。



抜群の歌唱力を持つ城田優と田村芽実の「カルメン’77」


次の「カルメン’77」はジプシー・キングスを思わせる情熱的なラテンサウンド。歌うは、ミュージカルを中心に幅広く活躍を続ける城田優と田村芽実である。抜群の歌唱力を持つ2人だけにBメロ「♪これで~きまりです~」のハーモニーも、サビの「♪カルメ~ン」のユニゾンも絶品。城田はプロデュースも担当しているが、舞台上での官能的なパフォーマンスが浮かぶような仕上がりとなった。

そして「渚のシンドバッド」は、ももいろクローバーZのリーダー百田夏菜子によるトロピカルポップス。ピンク・レディーの2人と同じ、静岡県出身の百田は親子2代にわたる大ファンで、2023年大晦日に開催された第7回『ももいろ歌合戦』では増田惠子と「UFO」をコラボした縁もある。今回はソロ歌唱だが、フィル・スペクター風の厚みのあるサウンドに負けない、力強くもキュートなボーカルが聴きどころだ。

深い余韻を残すUAの「モンスター」


ここまで新録音源が続いたが、5曲目の「ウォンテッド(指名手配)」と8曲目の「モンスター」は既発音源の収録。前者は吉井和哉のカバーアルバム『ヨシー・ファンクJr. 〜此レガ原点‼〜』(2014年)、後者はUAのカバーアルバム『KABA』(2010年)が初出である。ともに自身が幼少期から聴いてきた、お気に入りの楽曲をセレクトしたアルバムだが、1966年生まれの吉井と、1972年生まれのUAにとって、ピンク・レディーは琴線に触れる存在だったことが窺える。

とはいえ、カバーバージョンはともに “らしさ”全開だ。吉井の「ウォンテッド(指名手配)」はベースとギターがディストーションを効かせたヘヴィなサウンドと、レイジーな吉井のボーカルが調和したファンクロック。吉井自身がギター、パーカッション、アレンジ、プロデュースを担当している。一方、UAの「モンスター」はTBS系オーディション番組『イカ天』(*三宅裕司のいかすバンド天国)出身バンドでクロスオーバーサウンドを特徴とするLITTLE CREATURESとしても活動する鈴木正人のプロデュース&アレンジ。ジャジーでアコースティックなサウンドに包容力のあるUAの声が乗って、深い余韻を残す。

小泉今日子はクラブミュージックに再構築した「UFO」を歌唱


日本レコード大賞受賞曲にして、ピンク・レディー最大のヒット曲である「UFO」は、ビクターの後輩でもある小泉今日子が、ミュージシャンの高木完、上田ケンジと立ち上げたプロジェクト “シン・コイズミックスプロダクションズ” 名義でカバー。“大人が楽しむ音楽”を標榜する60代の3人は原曲よりテンポを落としたクラブミュージックに再構築し、かつて「UFO」に夢中になった元・子供たちに、新たな解釈を提示している。



続く「サウスポー」は日本中がピンク・レディーの新曲に注目していた時期にリリースされた日本歌謡大賞受賞曲。現在では高校野球の応援歌としても定着しているが、今回は卓越したダンススキルとボーカルでオーディエンスを魅了し続ける倖田來未がストンプ風のアレンジで届けてくれる。アニメ主題歌のカバー曲「キューティーハニー」で、エロかっこいい世界観を確立した彼女だけに、本作でも恋の心理戦をダークかつセクシーに歌い上げ、聴く者を悩殺する。

AKB48に受け継がれたピンク・レディーのDNA


9曲目の「透明人間」はAKB48の新井彩永と伊藤百花が担当した。2025年に選抜メンバー入りした新井は20歳、今年のシングル2作連続でセンターを務める伊藤は22歳で、原曲リリース時点のミイとケイと同じ年頃。次代を担うフレッシュな2人が、アイドルの大先輩の楽曲に挑戦している。サウンドは原曲を生かしながらもバンド色を強めたロックンロールで、令和のアイドルにもピンク・レディーのDNAが受け継がれたことを感じさせる。

続いては、前出の田村芽実と同様、ハロー!プロジェクトOGの鈴木愛理が「カメレオン・アーミー」を歌う。鈴木はソロデビュー当時に、これからは何色にも染まれるので、カメレオンを自身のカラーと称していたことからも不思議な縁と言えるかもしれない。難曲の「アイドル」(YOASOBI)をカバーした動画が1,900万回以上再生されるほど歌唱力に定評のある実力派だけに、今回もオリジナルに寄り添ったアレンジでメリハリの利いたボーカルを披露している。ミイとケイが “いちばん踊りがハード” と語る同曲だが、彼女なら完璧に再現してくれることだろう。

一青窈が温もりのある緩急自在のボーカルで「OH!」を歌唱


エンディングは解散前のミイとケイに、生みの親である阿久悠と都倉俊一が愛を込めて贈ったバラード「OH!」が配された。歌う一青窈は台湾にいた少女時代、ピンク・レディーのビデオを食い入るように観ていたという。デビュー曲「もらい泣き」以来、長年タッグを組んでいる音楽プロデューサー武部聡志によるゴスペルアレンジを温もりのある緩急自在のボーカルで歌唱。大合唱となるコーダで「Thank you, ピンク・レディー!」と叫ぶ愛に溢れたカバーとなった。



以上11曲、いずれもアーティストの個性と、オリジナルへのリスペクトが感じられるカバーになっているが、どうアレンジしても成立するのがピンク・レディー作品。彼女たちのヒット曲で育ったリアタイ世代は “あの曲がこうなったのか” と楽しんでもらえることだろう。そして推しのアーティストがカバーしたことで、今回初めて本格的にピンク・レディーの世界観に触れた若いリスナーにはぜひ原曲にも耳を傾けていただきたい。初回限定盤CDには、オリジナル音源とオリジナルカラオケを全22トラック収録したCDが付属するので、聴き比べてみるのもオススメだ。

Information
ピンク・レディー伝説 Now and Forever -50th Anniversary Tribute Album-


▶︎ 発売日:2026年8月26日
▶︎ 初回限定盤(2CD)/ ¥5,500(税込)
通常盤(1CD)/ ¥3,500(税込)
▶︎ 収録内容
01. ペッパー警部 / 森高千里&渡瀬マキ(LINDBERG)
02. S・O・S / AKASAKI with H ZETTRIO
03. カルメン’77 / 城田優&田村芽実
04. 渚のシンドバッド / 百田夏菜子(ももいろクローバーZ)
05. ウォンテッド(指名手配) / 吉井和哉
06. UFO / シン・コイズミックスプロダクションズ(小泉今日子・高木完・上田ケンジ)
07. サウスポー / 倖田來未
08. モンスター / UA
09. 透明人間 / 新井彩永&伊藤百花(AKB48)
10. カメレオン・アーミー / 鈴木愛理
11. OH! / 一青窈
▶︎ 初回限定盤 ボーナスディスク(ピンク・レディーベスト・アルバム)
上記11曲のピンク・レディーオリジナル音源+各オリジナルカラオケを収録(計22トラック入り)
▶︎ ライナーノーツとして、各参加アーティストからのコメントを掲載

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